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あー、そうなんだー。
俺もちょっと連絡取りそびれてるけど、
トロワ・シティにもう着いてるだろうね。
[出遅れる理由が思いつかない。]
ふふっ、警察なんて何処にだっているじゃないか。
[おかしなことを言うね、君は、と言わんばかりの声色で。]
…どんな警察がいるかはわからないけどさー。
多分きっと長年悪事を働いてるのなら、
お年寄りでも容赦しない勤勉な警察だろうね?
俺はひとっとびに
ミル・シティに行かせてもらうよ。
[…巻き込まれたくは、ないからね。ぼそりと呟く。]
…一緒に乾杯しようねー。シーユー。
[一転、陽気な声で別れの言葉を告げて切った。発車ベルが鳴り始める中、特急に乗り込んだ。途中、乗り換えもしたかもしれないが、あまり迷うことなく目的地へと着くだろう…?*]
― トロワ・シティの駅 ―
本当に?
[地団駄。
その言いぐさに、楽しげに笑い声を伝えながら。
損はない、と続く言葉に、口角を綺麗に持ち上げ笑う]
忘れちゃいやよ?
そう、「あれ」
……そうね、やっぱり私にとっては「あの方」かしら。
[「あれ」に直接ご執心なのは自分ではない、と、ほのめかしてみるのは、相手がこんなことには興味がなかろうと、想像するが故]
そうね。
[勤勉な警察。
思い浮かべて、くすりと笑う]
たとえば――
10年前にやり合った、因縁の警部さん、とか?
[年代物の腕時計の文字盤が、きらりと光った]
[ぼそりとした呟きは、運悪く、発車のアナウンスにかき消える。だから、陽気な別れの言葉にのみ、答えて]
ええ。待ってるわ――
[聞こえた発車ベルの音に、ひとつ、瞬き。
右の耳はスマホから、左の耳は生の。タイムラグはあるものの、同じ、発車ベルの音。
はっとして顔を上げる。目の前の赤い電車の影、向こう側のホームの列車が、発車しようとしていた]
……っ
[きゅ、と引き結ぶ唇。
途切れた電話の先、相手はずいぶんと近くにいたものだ]
――ぷ。
あははは!
[ホームの客が全員振り返る様な高笑いを上げる。
人の目など気にしない。見られることには慣れている]
シーユー、ブレスト。
[ちゅ、と携帯電話に投げキッスをひとつ*]
─警察署長室─ >>3:+8 続き
嘘のつけない性格だのう。
[自分がその名前を口にした途端『知らない』という男に笑う。
そのままブラック・キャットについて、嘘の情報を混ぜつつ相手から情報を引き出そうとして、自分の仮定が正しそうだなと思う。
ここ、も、ブラック・キャットが目的ではない、というもの。
ネギヤが捕まった時点で、そしてザクロが内通者である時点で目的地は分かっている。
けれど、そこに向かっている様子は無い。
そうであるならば警察の目的は……このメンバーにあると考えるのが妥当だろうか。
まさか、こちらがブラックキャットを入手した後、漁夫の利を狙うなんてことはあるまい]
[部屋の外にざわついた気配が走り、内線が鳴る。
男は短い相槌で電話を切った]
ヂグが捕まったか?
[その問いには黙り込む]
やれやれ、そうすると、みんな、ミル・シティに向かったのかのう。
うん?
大福? わしには要らんよ。
あいつにたんとくれてやりなさい。
[どっこいしょ、ソファから腰を上げる]
わしは帰るよ。
ああ。
大丈夫『何も話していない』と、きちんと広めておくから。
[警察の無能を広めるような噂であるが、別に表向きに流す情報ではない。
そうして、のんびりとした様子でウミは警察署から出て行った**]
― ミル・シティ ―
[列車での旅は快適なものだった。
それもそのはず、警察は、自分を狙わない。自分が彼らに協力するうちは]
……そろそろおじいさまたちにはばれちゃうかしらね。
[ネギヤ、ウミ、ヂグ、と。
警察に捕まった人間たちには、警察からの情報が――自分が内通者であることを口止めしてはおかなかったから、まあ伝わっていると思っておいた方が懸命だ]
[自分が警察に協力する羽目に陥ったいきさつは、騙れば……おっと語ればいくらでも話すことができるが、今はやめておこう。ただ、ちょっとだけ興味を惹かれたのだ。その男に。
警察の内部状況は大まかにこうだ。
あの方を恐れつつも、あの方の持っている「ブラックキャット」を手に入れようとしているものが大多数。これは、ブラックキャットの非合法性がうんたらかんたら長い話をされたが、飛んでくるつばが汚かったので聞いていなかった。
そしてごく少数、具体的には二人。ブラックキャットを追う大悪党を追っている人間。この二人もブラックキャットをその大悪党に渡さないことが目的だから、大筋警察本体の目的とは違わない]
実際のところ、ブラックキャットがなんなのか。
よくわからないのだけどね?
[よくわからない、というよりは興味がない。いや、なくはないし、調べたこともあるが、まあ、やっぱり興味がないんだろうと思う。
ウインドウショッピングしながら歩く、大通り。
窓硝子越しに愛嬌を振りまく子犬に顔を近づけて、笑う]
[警察から出て、やれやれと肩を叩く]
……もう少し考えて尾行する発想はないのかのう。
[ホームタウンなのだから。
ご丁寧に跡を着けずとも、警邏や監視カメラを使えばいいのに、生真面目と言うか、頭が固いと言うか]
まぁ。ハエ避けにはなるか。
[突っ込んできた車の寸前で足を止める。
窓から銃を突き出されても通行人の後ろに隠れる。追ってきた刑事が車を押さえようとしたが、車は嫌な音を立てて走り去った]
物騒な世の中を生きるには……鍛え方が足りんのう。
[刑事に嫌な顔をされながら、楽しそうに笑う。
思考は襲われかけたところにはない、ミル・シティに向かっている]
(ザクロとユウキ、どちらが先にブラック・キャットにたどり着くのかのう)
準備は万端、あとは誰かが「そこ」に行けばすべてが手に入るように準備してある。
逆に言えば「そこ」に行かなければ手に入らない]
頑張れ若者。
[のんびりと呟いた横を銃弾がかすめた。
あんまりのんびりしている隙は無いらしい]
……この街から出ようかと思うんじゃが。
ヘリコプターか何か借りられんかのう?
公共交通機関を使うと、世間のみなさんに迷惑がかかるんじゃないかと思うのだよ。
[この街の迷惑になりつつある人物は、のんびりとした笑顔のまま脅した*]
[鼻歌を歌いながら準備する。
さすがに大通りでというわけにはいかないので、ホテルを借りた]
……あー あー
[ひとつ、咳払い。
使うのは普段のスマホではなく、一代前の携帯電話]
『Eより本部。
ターゲット補足』
[今まで取引していた警察の声色を真似て、警察本部へと連絡をとる]
『ブラスとはDと接触後、メインストリートを東へ移動中』
[了解、尾行継続せよ。
返答があって、通話は終わる]
……なんちゃってね?
[通話が切れると、肩をすくめた]
ま。こうなっちゃうと私の方が囮よね。
[警察と接触していた分、騙すのも自分の方がやりやすい。どれだけ信頼されていたかにもよるが。
先刻、メインストリートで出会った観光客、ユウキに似ているのは慎重程度の男に二言三言話しかけ、意味ありげにチケットを渡す。それは本当に、ただのオペラのチケットだが、疑ってかかればいくらでも怪しく見える行動だ。
ちなみにオペラハウスはメインストリートを東へ進んだところにある]
ごめんなさいね。
警察が無能じゃなければ、すぐに解放されるわ。
[くすくすと笑いながらうそぶく。
本物のユウキがどこにいるのか。
未だミル・シティでは遭っていない。
迷子になっていなければもうこの街にいるだろう。もう、ブラックキャットの元に向かっているだろうか]
あとは仕上げをご覧じろ。
だっけ?
[古い言い回しで言って、やはりくすりと笑った*]
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