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[パラララララララ――響く連射音。
硝煙の臭いというのか、鳴れない臭いがして。それより強く、鉄のような臭いがして。頬や髪や制服の一部に、ぴしゃりと生暖かいものがかかった]
……。
[腕をゆらりと降ろし、後ろ向きに倒れた人影を見下ろす。血にまみれたその姿には見覚えがあった]
セイジ。……酷いな、不意打ちだなんて。
[右手に握られたサバイバルナイフに、やれやれ、と]
[サブマシンガンに弾を詰め直そうかとしたところで、放送が聞こえた。
『おめでとう、たった一人の勝者ですよ』
その内容に、首を傾げ]
勝者? 僕が?
[疑問に応えるように送られてきたメールを読む。そこにはセイジが死んだ事で生存者が三人になった事。この時点で「狼」と紫が残っているため、紫の勝利条件が達成されるのだという事。
禁止エリア諸々が解除されたので、スタート地点の廃校に戻ってくるように、という事が書かれていた]
[廃校に戻り、教室に入ると拍手で迎えられた。君が唯一の勝利者、優勝者であり生存者だ、などと言われたので、やはり残った二人も死んだのだろう、と思った。
その後、総統直筆だという色紙を渡され、祝いの言葉と共に、「無期限の生活保障の代わりに他県へ移り、プログラムについては他言せずいるように」という旨を伝えられた。同意するかと確認する声に]
……別に、そんなのはいいよ。
同意するから……
とりあえず、終わったなら、寝てもいい?
[サブマシンガンを持ち、体に血を付着させた少年は、眠たげな顔と声で、そう*問いかけた*]
─屋上─
[彼の視界に映るのは、モノクロームとセピアと中間の色の世界。ぼんやりと立ち尽くしている]
アレですか。オレ死んだんですか。
[蛍のように、ふわりとまわりに人魂がまとわりつく]
ですよねーって突っ込まないでください。わかってるから!
久々に見たよ人魂とか。この島すごいな。銀河か!
[午前3時の暗闇の中、まるで地上の天の川のように島には無数の人魂がさまよっていた]
[カチリ。
首輪から音がした。鳴り出した電子音が徐々に大きくなる]
アハハ。困ったね。あー、もうどうしよう。
[慌てる様子も見せずにシンヤの携帯電話へ発信してみたが、耳に当てずに液晶画面を見たまま呟く]
沢良木、あんた白だったよ。
でも、アタシも白だよ。
[自分の言った言葉に、ふっと笑い出す。繋がっているのかとか、伝わっているのかとか、そんなのは心底どうでもよかった]
[長座の姿勢で空を仰いで、携帯電話も、打ち上げ花火も、ポケットから取り出した白いハンカチも、何もかも夜空に投げた]
好きですなんて言わない。
死にたくないなんて言わない。
悔しいなんて思わない。
[あぁ、でも、死ぬ前にもう一度イチゴ牛乳が飲みたかったな。食堂の自販機にあるやつね。
言って、意地の悪い笑みを浮かべた]
バカみたい。
[ゲームオーバー。
やがて訪れる*静寂*]
[廃屋の中で。表情の乏しい少年が、壁に凭れている。
何も見ていない瞳で、空を見ている]
いきるのは、たいへんだ よ。
[いつかも言った言葉。
少年の肩から血が流れている。]
[すぐ傍で。
とれなかった携帯から、吹き込まれた彼女の声が。 ]
わかりやすく 言おうよ。
[拗ねるように、ゆるゆると包帯を取り出す。
震える手で、それでも器用に巻いていく]
遠いよ。
[携帯が何度も何度も声を繰り返す。
指が震えて、包帯を落とす。 ]
なお。
[顔色を変えないまま、ただ名を呼んだ。
瞼を閉じて、名を呼んだ。 ]
あぁ。
[寝坊した朝のような様子で、座っていた。ぺたりと、いわゆるお姉さん座り。
制服で、携帯電話を手にして]
チクショウ。
[顔をひくつかせる。視界には、バラバラの]
アタシ。
あははははは!!
[盛大に笑う。
何がおかしいのかわからなくても、しばらく笑って、それから飽きたようにピタリと真顔になった]
元気?
[問い掛ける先には、つい先刻殺したつもりのヨシアキの姿]
ザマァミロ、バチが当たったんだよって思った?
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