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地球って、もう狭いやろ?
あちこち場所とりあって、喰いモンも燃料もとりあって。
せやからなぁ、空の向こうに…
[窓の向こう、飛行機雲。]
火星ィあるやろ?
あそこ、な?
頑張れば人住めるようになるかもしれへんねん。
赤い赤い大地を、緑の若葉で一杯にしてな?
ウチの故郷はもう狭くてどーしよーもあらへんから…
そもそも、誰がいたかも思い出せねェ…。オレら以外誰もいねェ、なら…ぞッとすンな。男二人とか。
一応、少数精鋭の可能性は高ェか。
[結城に続き、室内に入る]
…通信室、だな。船内に連絡すンには、確か…。
[機器を操作し始める]
けどな?
そこ独り占めにしようとしてる奴らがおるんや。
なんや【JINRO】とか云うたかな?
そいつらが火星ィ独り占めんしてナ?
ウチの故郷の調査隊も、何回も行ってんけど…そのたんび機材ぬっ壊されておじゃんや。
…せやから。
[人差し指の先、とまるてんとう虫。]
そうなんだ……。夢かぁ。素敵だなー。
やっぱあれですか?宇宙飛行士になりたいの?
[ワカバの視線を追いかけて、飛行機雲を眺める。続く彼女の言葉には首を傾げて]
火星かぁ……。随分前に、調査団が入ったんですよね。
えっと。
故郷って、どこ、ですか?
【JINRO】……聞いた事あるような。
独り占めは良くないですよねっ。
みんなで仲良く分け合わないと。お菓子もそうです。
[ぐっと握りこぶし]
野郎二人で宇宙旅行なんて勘弁してくれよ。
美人船長とかいねぇのかな。
[軽口を叩くのは、いまだハッキリしない記憶に怯えているせい]
火星?
いや、違う。砂漠――。
[壁にあるモニタに映る映像に目を止めた。
画面には、枯れ果てた大地が広がっている]
どうだ、何かわかったか?
南パライソや。
太平洋の海のど真ん中。
宇宙船飛ばすにゃ最適な国やで。
[秘密やで、と口元に人差し指を立てる仕草。]
…ま、観光と宇宙船基地しかあらへんのやけど。
だからナ、そゆのんは死活問題やねん。
なんとかして火星分けてもらわなあかん。
…調査隊、また行くらしいしナ。
なんと!?郡上八幡さんは、生粋の日本人だと思ってましたが。
うんうん。秘密、秘密ね。
ほえー。調査隊また行くんですか?
今度はどこの国が飛ばすんだろ?
案外うちの学校だったりしてねぇ。あははー。
[まったくもって能天気に、空を仰いでいる]
オレだって勘弁願いてェぜ…。
[持てる知識を総動員しても、正しい反応は得られず舌打ちする]
……分かったのは、船の中にも、外にも連絡が付きそうにねェ事、だな。
やべェな…ついに、本格的な妨害工作が入っちまったかァ?
それにしても、随分詳しいですね郡上八幡さんは。
それに比べて勉強不足だなー私。
何となくこの学校来ちゃった人だから申し訳ない感じ……。
でも!今日からは、私も、郡上八幡さんの夢に協力しますよー。同じ転校生仲間としてもー。
頑張って火星行きましょう!
だったらえぇのになー。
[一緒に空を仰いで。]
もし、うちらでいけるんやったら、一緒いってくれる?
菊ちゃんみたいな素直で可愛ぇ子と…一緒に夢ぇ追えたらえぇなぁ思うねん。
多少メカに強いくらいでどうにかなるもンじゃねェよ。
訓練受けてるオレでさえ…。
[苛立った視線を機械に向ける。
尋ねられ、自然と口は重くなる]
あァ…。……火星の宇宙事業にはな、ちょっとした組織抗争があンだ。
オレは、日本の組織の人間で……。
[重く息を吐く]
悪ィ。アンタを巻き込んだの、オレかもしンねェ…。
あのさー……。
何で私ここにいるんだ?
身に覚えがないんだが。
[ヨシアキと同じように、トーンは徐々に落ちていく]
覚えっつーか、記憶がおかしい。
その抗争に巻き込まれてぶん殴られて記憶喪失か何かか?
[はは、と笑う声はかすれていた]
それも、思い出せねェよ。
…船医として、呼ばれたンじゃねェの?
[適当な口から出任せ]
二人して記憶障害なンざ、故意だろォな。
JINROに敵対してるどこぞの組織にナノマシンでも射されたかァ…?
……はッ。喋ってても埒があかねェな。
この船の構造には覚えがある。
食料庫漁りに行くが、どォする?
説明いンなら、ついてこい。
道すがらで、かつ、教えられる限りでいンなら、少しは話す。
[そう言って、部屋の外へ歩きだそうと*する*]
何だよJINROって。
大体、宇宙に行きたがる医者なんか他にいくらでもいるだろ。
何で私が。
[考え込んだが、心当たりなど浮かぶはずもなく口を閉じる]
食料があるなら、しばらくはどうにかなるか。
酸素ボンベとかあんの?
[部屋を出て行くヨシアキの*後を追った*]
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