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[目の前の惨劇とチェロの不思議な行動さらに前日からの疲労からとてつもなくひどい頭痛が私を襲う
私はその場に頭を押さえてしゃがみこむ…]
痛い…痛い…
頭が痛い…頭が痛い…
せんせ、輸血の用意ある?
確か、俺と親父は同じ血液型だから。まだ、間に合うから。
[顔を上げず、近くにいる筈のドウゼンに声をかけた]
……ううん、やっぱ、いい。間に合わない。
自分で、やる。
[親父の手に握られた尖ったペンを手にとって、
思い切り自分の腕を傷つける。
誰かに止められるまで、腕を伝う血を親父の口元に必死で注ごうとしていた**]
[倒れているペケレの側にいくと…]
御免ね君じゃなかったんだね。
[ポツリと呟き そっと傷だらけの遺体を自分のコートに包み 備前がまだ横たわっているだろう管理棟へと運び込んだ。]
[兎がテンマに答える]
ウデ…カラダ……イノチ……
スベテソロッタ……
スベテソロッタ……
ニキトイラレル……
ズットイラレル……
アトハ……
[ペケレの遺体を備前の横にそっと並べておくと メモボードをちらりと見て 外へ戻る]
タカハル君…佐藤杏奈に風の傷を作ったのは君?
[首を傾げて聞いた。]
……獏君。やめて下さい。
栗田さんはもう……
[自分を傷付けてグリタに血を飲ませようとするバクには、それだけを言って。助力を求めるようにドウゼンの方を見た。
テンマに(>>17)問われ]
僕が……? 違いますよ。
僕は「犯人」でもなければ、その協力者でもありません。
[はっきりとした調子で答える。
もたれるように意識を失ったニキに、その場に膝をついて座り、ひとまず支えるように]
……兎の声が聞こえる、と。
そう言っていたのが……その力が。
頭痛の原因、なんでしょうか。
[自己欺瞞の言い訳。かつてと同じた記憶のある、本能的な忌避感。
しかし、父の必死にすがるバクを見れば、倒れるニキを見れば、それを支える少年を見れば、逃げたら──それこそ次は4つの死体が生まれる気がした]
[戻ってきたテンマをじいっと見つめる]
お前は──天馬君は、孤独なのか。ここが、オレたちが誓いを──村を捨てたからか。
[子供の頃に聞いた言葉が思い出される。
──タァ坊。死んだらカミサマのところに行くのよ]
ここじゃァ、死者は、神のものだった。
誰もここでは死ななくなったからか?
[──ハナミズキの木になるの。カミサマは寂しがりやさんだから。
華やいだ甘い声は、もう顔さえも定かに覚えていない母のものか。確信を持てぬまま、寂しげに見えるテンマに問いかけた*]
[意識を失った私はまた夢を見る。チェロの過ごした長い長い悠久の話。
100年前、村で人間の罠にかかり傷ついた兎は足を引きづりながら山へと戻る。魂をハナミズキに還すべく木の下まで向かうと力尽き役目を終える兎は眠るように横たわった。
兎から木に戻った私は山を降りたことをひどく後悔した。
かつての大好きだった人間への思いは自分の愚かな行為で壊してしまったと思いこんだからだった。
木は人を避け鳥達とだけ触れ合うことにした。]
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