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―― ある半屍人の視界 ――
[黒ずんだ手が鍵盤を叩く。
左手の薬指には光るものが。
どこか懐かしさを感じるメロディ。
歌声は近すぎてくぐもった呻きのようにしか聞こえない。
楽譜はない。よどみなく指先は演奏を続ける]
告げ人 アンは、ここまで読んだ。[栞]
/*
>教誨所→御湯治場方面
ノギさんの一言メモは、ここに向かって欲しいという意味だと受け取り、目指しますよ…?
猿が温泉に浸かっているのかしら……
ていうか、赤いお湯がふつふつしている図が浮かんで、それなんて地獄絵図。
―回想・どこか―
[従姉は、赤い涙を拭って少年の前に現れる。
少年を燃やさない、と…
祟り神へ捧げないと言う。
まだあたたかく慕わしい半屍人の在りようが、
少年には悲しく恐ろしく――ほろりと涙が零れた。]
いやだよ
…廻り続けるなんて、いやだ
…おねえちゃあん…
[くるくる 従姉が触れた地球儀が、*まわる*。]
―― →御湯治場方面 ――
[ネクタイはバッドの柄に結びつけた。
月明かりと、家屋から零れる灯りを頼りに歩いていく]
温泉マークだと思うんです。
[地図にはほとんど目印が描かれていなかった。
十字、温泉、それから、赤い線で描かれた曲線。
川沿いは目立つので、それと並行する獣道を進んでいた]
の、ノギさん、あたし一度家に戻るので、先に行っててもらえますか……?
[ゆっくりと、間合いを取る]
―ジャック・カズヤの視界―
[姉と離れ独自に行動している。
追いかける相手は未だ人間の香を纏う、見かけぬ大学生風の女。その名ソラというかもしれぬ。
女を見失ったのは、川辺のネギヤの住居の前。教誨所の扉の印と同じものがそこの扉にも刻まれている。中へ入りこんだと判断してか、カズヤは住居へ。そこで視界に映ったは女でなく、ネギヤのものらしき日記帳。
興味本位でか、カズヤは境界の守護者の日記をめくる。年月日の記入は無い。
過去>>1:35よりサイレン響く時、逃れ得ぬ運命の儀式が始まる。そう悟っていた心情も綴られていた。]
―――――――――
[日記の頭の方の、カズヤの目に触れなかった古いページ。そこには――「境界は教誨に通ずる」と一文が記されていた ]
逃げられないこと位――
[ざわめく視界。ノイズ交じりの声。]
百も承知さ。この村に来るって決めたんだ。
腹は括ってるよ。
[鼻で嘲笑い、一蹴した。
知らない声。知らない、場所。
だけど内側越しに知っている。
視線の先の熱さは――…]
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