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―回想・どこか―
[従姉は、赤い涙を拭って少年の前に現れる。
少年を燃やさない、と…
祟り神へ捧げないと言う。
まだあたたかく慕わしい半屍人の在りようが、
少年には悲しく恐ろしく――ほろりと涙が零れた。]
いやだよ
…廻り続けるなんて、いやだ
…おねえちゃあん…
[くるくる 従姉が触れた地球儀が、*まわる*。]
―― →御湯治場方面 ――
[ネクタイはバッドの柄に結びつけた。
月明かりと、家屋から零れる灯りを頼りに歩いていく]
温泉マークだと思うんです。
[地図にはほとんど目印が描かれていなかった。
十字、温泉、それから、赤い線で描かれた曲線。
川沿いは目立つので、それと並行する獣道を進んでいた]
の、ノギさん、あたし一度家に戻るので、先に行っててもらえますか……?
[ゆっくりと、間合いを取る]
[教会と呼ばれる扉を開いたのは、
小一時間も前だろうか。
ひとの気配すらしない、がらんとした空間。
踏み躙られ続けた地面は、思ったより綺麗だった。]
教会を教誨と、ねぇ。
[誰かの視界。
同音語での訂正が文字として示される。
その後、その視界の持ち主がどうなったかは。
知る由もない。]
―教誨所近くの茂み―
[辺りは暗い。鈴虫が鳴いている。
意識を失った後で茂みに引きずり込まれたらしき
見知らぬサラリーマン風の男――ズイハラ氏の傍、
足のない少年の幽霊が立ち、見下ろして*いる*。]
灯りくらい、欲しいね。
[薄暗く、日に暮れて行く世界。
幾ら赤い色彩に覆われようとも、
闇は辺りを覆いつくすもので。]
――これは、使えるだろうかね?
[教誨内に灯される炎。
それは、文字通り明るさを保つものか、
それとも別のものか。]
いでででで……
[これはあれだ、上司の子供の運動会にかり出されて騎馬戦借り物競走綱引きあれそれあの人またでてるわと奥様連中にささやかれ続けた悪夢の日をようやく追えたと思った次の日にも訪れた悪夢]
ちくしょうなんだってんだ。
[ネクタイをゆるめようとして、それがとうになくなっていることに気づく。あぐらをかいて、乱暴に頭を掻いた]
まあ、最悪何か有った時の為に。
持ち歩いて悪いものでもなかろうに。
[やや物騒ではあるが、
炎を拝借し、持ち出すことにした。
根強い信仰の象徴なら、
この炎を楯に、ひとつ賽を投げる事も可能だろうと。]
あー ひでえ。
[頭がぐらぐらする。
顔をしかめて目をつむると、波の音の様な、静かな耳鳴り。
暗かった視界に明かりがともるように、何かが映る。霧の向こう。誰か、人のような、姿。見上げるような、角度]
誰かの視界にも別の地図があったの。
教誨所と湯治場、二宮尊徳像と火の見櫓。
[日記帳と誰かの巻物、それぞれに描かれていた場所を宙に打つ]
ノギさんも、赤い水にやられてしまうよね?
[『像』の下にあった梯子のような記号のことは口にせずに、道なき斜面を滑り降りる**]
ええ、まったくです。ただの観光客にこのような仕打ちとは。
[徐々に落ち着きを取り戻してきたのか、声音はいつもの無機質な調子を帯び始める]
私はあいにくと、「ないよりはまし」程度のものはなるべく持たない主義でして。
[男性につられるように肩を竦めた。
雑誌に関する追求はなく、次の質問。
顔を上げ、眼鏡の奥から淡々と男性を見据える]
あれは確かに化け物ですが、かつては―― どうしました?
そもそも存在しない村に、
学校なんて有る訳が無いのに。
なぜ、携帯電話の中継塔の話が、
湧き上がったのだろうね?
[ひとの足だけで踏み作られた悪路を進む。
轍に足を取られないように。]
――?
[そして奇妙な動きをする、
屍人と呼ばれるらしき姿を見かけた。]
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