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[消えてしまったネギヤのもとから、白い蜂はまた飛び立つ。
ぶぶ ぶ… 先刻まで、ギンスイが居たまさにその場所へ。]
ギン スイ―― 「 其処 」か。
[ぎこちなく、手を虚空へと差し出す。]
なに 『透けとる』…
[此方を睨み上げる態のンガムラを、途方に暮れた態で見遣り]
仏さん なっとる…
[目的地はないようなものだったが、ただ、走る。途中の道でタカハルを見つければ]
あ……! タカハル君……!?
[探していた人物というわけではなくも、少しだけほっとしたように、大声で呼びかけた。気が付かれたなら、敵意はないが鋭い目付きでその姿を見据え]
ンガムラさん、ンガムラさん!
ワシ、ここにおる!ここに……!
なあ、そうじゃろ!?
ヌイ!
[差し出された手>>14を掴もうとする。つい先ほど触れた筈の手指が、するりと通り抜けた]
「仏さん」……?
……っひ、
[喉の奥から、叫びにすらならない*軋んだ音*]
状況を整理しよう。
ネギさんが消えた。
ネギさんがここで死んでいた。
ネギさんが再び消えた。
ギンスイも消えた。
ここから導き出される、未来予想図は?
[『仏』と口にしたヌイへと薄く笑みを浮かべる]
冗談じゃねーぞ。
……あれ。
ここ、どこだろ……おかしいな、
山にいたはず……だよね?
夢でも見てるのかなあ……お兄ちゃんを探さないといけないのに。なのに。
[突然変わった寂れた光景はどこかの室内だろうか。
辺りを見回すとこの部屋には人影はないようで]
なんだろうここ……。
だれか、いませんかー?ネギヤお兄ちゃんー?
[部屋の外に出てふらふらと*彷徨う*]
[内心で、先程聞いた声が、繰り返し繰り返し響いていた。消えた。気を付けろ。狙われる。疑え。
疑え。その声と共に、頭に浮かんだ姿は――
ボタン。
どうするべきかもわからず。誰かに伝えるべきなのかもわからず。それでも、家でじっとしてはいられなかったのだった]
キクコちゃん、とりあえず駐在さん呼んで来て。
俺はギンスイ探しとく。
あー、いや、ダメだ夜道ひとり歩かせらんねーか。
ヌイ運転出来るか?
ん……うん、具合はもう大丈夫だよ。
[顔色は言葉と裏腹だったが]
えっとね、その……
ネギヤさんが消えた、って聞いて。
いてもたってもいられなくなったんだ。
昼間からなんだか嫌な予感がしてたから……
[タカハルの問い掛けに、ぽつりぽつりと返す。話し方は普段と変わらないので、三白眼と不似合いだったか]
[ざああああああ
いつしか、廃屋の屋根を叩く雨音。
移民の男は、はっと我に返ったように辺りを見回す。]
嬢ちゃん…
濡れっと いかんで、これ。
あー… 見せたくない の が、消えっしもたな…。
[サマーセーターを脱いで、戸惑う様子のキクコへ渡す。]
ネギヤさん ときとは、ちっと 違うような――
たましいが、匿われとる ちゅう 感じで。
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