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―屋上―
[屋上に行くと、だれかがいました
ここの患者さんでしょうか
わたしはそのひとの邪魔をしないように、端の方へいきました
そうして、ハイライトに火をつけます
風に揺られながら空たかくのぼる煙を、わたしは眺めていました**]
[食べ終わったサンドイッチ。
重圧から逃げる理由がなくなって、仕方なしに立ち上がる。
たしか、896号室。
軽くノックして、部屋にはいったはいいけれど。]
…―――
いないじゃないか
[私の変な汗を返せ。
心の中で、そう呟いた。
しまった、部屋以外に彼女の行きそうな場所がわからない。
探そうにも、探しようがないな。
途方にくれた結果、メモ帳を破いて。
ここに来た旨を書いておくことにした。]
[背景クルミ様…―――
いや、それは違うだろう。
親愛なる?
それも違う気がする。
結局、形式にこだわっても意味がないと思い。
数枚のメモの廃棄の後、簡素なメモを残した。]
宿題を持ってきたけれど
いないようなので改めるよ
もしメモを見たら、呼んでくれると嬉しい
ユウキ
[うん、これだけで十分意図は伝わる。
きっと、たぶん、大丈夫。
自分でいくつか頷いて、メモを残して病室を出た。]
‥‥?
[「風に、拐われるよ。」
聞こえた声に、わたしは振り返ります
そこにはマフラーをした、女の人がいたのでした]
こんにちは。
[わたしはたばこを口から離して、にっこり笑ってそう言いました]
[私と同じくらいの年頃に見える女性は、
風に遊ぶ煙草の煙の中に居て。
笑う顔が少し現実離れして見えた。
からりと車輪を回し車椅子を進めて、
彼女の方へと距離を詰める。]
…こんにちは。
その煙は、美味しいもの?
[喫煙の経験は無いけれど、
彼女が持っていると煙草の煙は
甘いものかのように見えたから。
訊ねてみる。]
[この人が乗っているものを、わたしは知っています
車いすと言うのです
そがさんが乗っていたから、わかります]
わたしは、すきです。
かみさまが好きだったから。
[美味しいものかどうか、考えてみました
おいしい、よりは、好き、かなぁと思いました]
…かみさま。神様?
…神様は、あなたを救ってくれる?
[私を救う神様は居なかった。
信仰は太陽にしか
向けたことは無いのだけれど。
煙草の煙を追って空へと向けた目を細め、
再び見つめるのは彼女の顔。]
かみさまがいなかったら、わたしは今、ここにはいられなかったから。
[「神様は、あなたを救ってくれる?」
そう訊ねられて、わたしは頷きました
かみさまが、みつけてくれたから
かみさまに、ロッカと呼んでもらえたから
だから、わたしは今ここにいられるのです]
…素敵だね。
私の前にも現れれば良いのに。
神様とか、天使とか。
[非現実的な存在感の彼女が言う神様が
何者なのかを私が知る由もなく。
ただ、何かを信じる心は羨ましい。
少しだけ微笑んで、
マフラーに顎先まで埋めてしまう。]
‥‥でも、かみさまは、いっちゃったんです
わたしを置いて。
[わたしはもういちどたばこを咥えて、すうと大きく息を吸いました
重たいけむりがいっぱい溜まって、かみさまがいないさみしさをほんとうに埋めてくれたらいいのに、と思いました
それからふうと吐き出した煙、真っ白です
わたしはその煙がのぼっていく空を見あげました
かみさま、かみさま、
わたしのことが見えていますか。]
…いつもキミの中に居るから
神様と呼ぶのではないの?
離れていても傍に居るというやつ。
でも、寂しいね。
置いて行かれるのは。
[煙草の煙は何を満たすのだろう。
喫煙は緩やかな自殺だと誰の言葉だっけ。
彼女は何を見上げているのだろう。
儚げな彼女の傍へ。
もう少しだけ近付いて。
私は、巻いていたマフラーを外して、
煙草の火を避けて
彼女に巻きつけようとする。
少し、屈んでくれないかな?]
…あげる。
「…いつもキミの中に居るから
神様と呼ぶのではないの?
離れていても傍に居るというやつ。」
‥‥。
[女の人の言葉に、わたしはうつむいて、たばこを灰皿に落とし、ポケットに手をやりました
そこには、煙草の箱と、ジッポと、
それから、石が入っています
かみさまの、お墓の石です
お守りみたいに持っていたものです
これがあると、かみさまが傍にいてくれるような気も、時々はするのです
けれど、きっと、そんなわたしをかみさまは笑うでしょう
そんなただの石ッコロを後生大事にしてどうすんだ、と。]
[きぃ、と、車輪が音をたてました
顔をあげると、女の人はこちらに近づいてきていました
巻いていたマフラーが、今は外されています
わたしは、不思議に思って、彼女の目線の高さまでかがみました]
「…あげる。」
[そう言って、彼女は、わたしの首にマフラーを巻いてくれたのでした
それはほんわりとあたたかくて、なんだかあったかい気持ちになりました]
‥‥ありがとう、ございます
[でも、どうしてこれをくれたのでしょう?
お礼を言いながら、わたしは首をかしげました]
[珊瑚朱色のマフラーは、
彼女によく似合っていると思う。]
…私は神様にはなれないけど、
寒そうな首筋にマフラーは巻けるの。
どう、すごいでしょう。
[手紙だって書けるし、
お手玉だって上手に投げられるの。
少し前向きな気持ちになれたから、
首を傾ぐ彼女の顔を見上げて。
もう一度、微笑んで。
車椅子を動かして、屋内に引き返そうと。]
…手紙を書くの。宿題も待たなくちゃ。
だから、行くね。
また会おうね。キミ。
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