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― 手芸部 ―
…モデルさんにお願いしていたひとが今日倒れてしまって……はい、アンさん、です…
[白地に薄紅の雪輪と山桜を併せた模様の浴衣を手に事情を部長に伝える。
今日の学園祭の為に、連日遅くなるまで残ってやっと仕上げた浴衣。]
…はい。だから、光画部の方との撮影会は…皆さんで…
い、いいえ!私は全然、大丈夫、です。
だって、仕方ないことですし…こちらの都合で光画部の方をお待たせする訳にも…ですし…
うん、そう。アンさんが倒れてね。
ヤスナリさんに手伝ってもらって…
こっちも部室の中とはいえ、水分補給とかしっかりね。
[部員たちにアンが倒れた時の詳細を。あっという間に伝わっていたらしい]
…アンさんの短冊、なんて書いてあったのかしら。
[庭で拾得の『安全第一』と書かれた、
アンの字が並ぶ短冊を笹に括り]
仕事って、一応自分も学生ですけどなぁ…
[手を振るマシロに、苦笑交じりで歩む足を止め]
うちの団子は茶道部に卸してますねぇ…
と。あ、そそ、これ、うちの新商品です。
おひとつ如何です?
[天文部のビラと引き換えに差し出すは、桜色の団子。]
あは・・・ンガムラ先輩=団子屋さんというイメージが・・・
[差し出された団子を受け取り]
うわ、ありがとうございます!きれいな色のお団子ですね。可愛い。はむ・・・んーこの味は・・・桜と見せかけてさくらんぼ?
美味しいです、はむ。
その図式は間違って無いんですけどねぇ。
[頬張る姿に笑みを浮かべ]
美味しいですか? それは良かった。
「食べると恋が叶う」なんて謳ってるんですよ。
ほら、夏ですし。団子の売れ行き落ちるんで。
…あの、私…、皆さんに何か飲み物と食べ物、買ってきます。皆さんはそのまま準備、続けてて、下さい。
[着替えやら化粧やら慌ただしい部室。
畳まれたままの自分の着物の上、合わせて用意した銀の雪結晶の髪飾りを手に取ると、部長に一礼して少女は部室を後にした。]
あー、今準備で忙しいときか。
[ロッカの視線を追って見やった手芸部の部室からは、慌しく動く人の気配]
じゃあガムテで貼るかな。
ゴメンな、邪魔して。
[いじっていた耳が外れたので、ぐいぐい押し戻そうとする]
あ…いえ、その!
[自分の言い方が悪かったのか。
手にしていた髪飾りを握りしめながら、去ろうとするゼンジに精一杯伝える。]
駄目だって訳じゃないんです…
空いてる場所があればそこでって思って、思って…
私……ごめん、なさい*
[文化部繋がりで、廊下を歩いていれば手芸部の方で見覚えのある顔が幾つか]
ゼンジ先輩。手芸部に何か用でも……
[手にしたウサギの被り物と交互に見てクスリと微笑む]
ふぅ…疲れた。
[額の汗を拭いながらうろうろと一度保健室に顔を出した後、祭りのためうろついたところで見知った顔を見て少し固まる。]
…先輩…なんてーものを…茶道部の出し物でしたっけ
[うさ耳装着のゼンジを見て言葉に迷いながらいい、ロッカとナオにもやあと手を軽く降る]
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