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ここへ来て、また何か思い出しそうなんですよ。
ああ、やっぱりここだ。
[返事も待たずに立ち上がり、仕立て屋と流れ者が使っていたマグカップから、それぞれ書き付けを摘み上げる。
棚の奧から見つけ出したココアを人数分仕立てると、広間へと戻って行った。]**
[ことんと首をかしげ幼女のように澄んだ瞳で尋ねた]
しすたー!しらない人がきたよ。しすたーのお友だち?
(それは求めても目の前になかなか現れなかった恋人の事も、やっと和解したその眼の前で消えてしまった父親の事も、自分が誰かも死んでしまった事すら全て“記憶から消去してしまった姿”だった)
キャロルってだあれ?あなたのお友だち?
[そう言うとまた布にギュッとくるまりハミングしながらスノードロップをちぎり続けた]
―自分の記憶を
思い出をちぎり捨てているかのように―
…… ………。
[何度か開きかけた口は、言葉を紡げずに震えて閉じる。
抱き寄せるように一瞬伸びかけた手の先が、中途で拳に握られて止まった。]
[そのまま力なく落ちた拳の先だけが、白い。]
[ココアをことりと各人の前に置く。
その後「これ―」と厨房で見つけたメモをキャロルに差し出そうとして異変に気づく。]
これは…救いなのか…。
だとしたら、何のため、彼女はここに?
[痛ましげに眉をしかめる。]
[暖炉の前の定位置に腰を下ろし、ココアをすする。
目の前の竪琴を撫でさすりつつ]
誰か、私がこの部屋と厨房以外に居るのを見た記憶のある人は居るだろうか?
そしてこの竪琴。
おかしいと思わないか?こんな大きな物、とても旅に持ち出せない。
これは牧師館にあったものだ。
さて、私の竪琴(リュート)はどこだと思う?
(厨房から、墓守は追って出てきたろうか…?)
みな、聞きたくないか?
村がどんな風に、幕引きされたのか?
[と、突然長い話を語り始める。]
―その時・集会場―
(会話を続ける振りをして、暖炉に薪を放り込むのを装い。
相手の急所に銀のナイフを突き立てた。
万一の際、反撃されぬためには、この方法が一番良い。
これが結論。
吊り台を立てる人手がなくなり、注射する薬物も底をつき―それより先に医師が消えた―、屠殺工や肉屋をはじめ、依頼できそうな職業の人物も皆、居なくなり。
私はもういっぱしの執行人になっていた。)
果たして、これで良かったんだろうか…。
(びゅっとナイフを振って汚れを落とし、ゆっくりと振り向く。
残った一人の表情は、まだ解らない。
しかしやがて小刻みに肩が震えだし…、ついにそのリズムは大きな波を描き出す。
にやりと、顔半分にも広がった口に、びっしりと見えるのは白い牙。)
ああ―。
(飽いたように呻く。恐怖は感じない。)
食を娯楽にまで高めたのは人間だけと言うがー、あなたにも「人」とつく以上、日々の糧を摂りつつ、ゲームを楽しんでいたのかー?
しかし長すぎたよ。
(だが私は「しくじった」と思っている。
つまりゲームに乗っていた証拠だろう。
相手が何と答えたのかは解らない。
その体躯は、見る間に膨れ上がり部屋の空気を制圧する。)
(がっ―!と。
それは突然やってきた。
お喋りには飽き飽き、とばかりに黒い影が目にも止まらぬ速さで突進しぶつかる。
慌てて避けるが、肩の辺りに衝撃を受け、その部分がかっ、と熱くなる。
確かめる余裕は無いが、きっと酷いことになっているだろう。
しかし、徹底的にいたぶるつもりらしいのが、こちらには幸いした。
まだ動けるーー。
私は部屋を横っとびに走り、愛用のリュートを手に取った。
そしてそのまま、相手に向かい振り上げる。
そんな物は効かぬと、相手はひるまず向かってくるが、殴ることが目的ではない。
私は相手の肩越しにリュートを暖炉に放り込むと、そのまま相手に向かって全体重を込めて突っ込んだ。)
(備え。
旅の途中、必要から武器を扱う職人を訪ねたことがあった。
何かの役に立つかと、雑多な物と共々、火薬を手に入れたこともあった。
足りない分は、これまで得た知識で、村で手に入る物から密かに精製した。
リュートの腕は中空。
私はその中にぎっしり火薬を詰めておいた。
そして集会場の各所に配置した、二重底のワイン樽にはやはり火薬が入っている。
また、村の各所には「魔除け」と称して香油も配置しておいた。
果たしてリュートは暖炉に飲み込まれ、我々はその後を追う形になる。
―相手の背後で巻き起こる閃光、轟音――。)
(最後に見た、あの赤は―。
炎の色?それとも、まともに覗き込んだ相手の瞳―?)
(薄れ行く意識の外で、連鎖して爆発音が起こり、安堵する。
相手はしっかりと抱えたまま、離さない。
燃えろ、燃えろ―。
呪われた村。
全ての怨みも悲しみも、焼き尽くせ。
きっといずれ、黒く焼け爛れたこの村を、
白い雪が覆い清めてくれるから―。
だから―。
燃えろ―――。)
[気づけば飲み物は冷え切っている。
詩人はふと、沈黙した。]
―少し前・暖炉前―
[ハーヴェイを見、寂しそうな笑顔を向けた。
こちらへと願うように、キャロルの傍に居るべきは自分ではないと言いたそうに]
―――眠れ眠れ 可愛し緑子
母君に抱かれつ ここちよき 歌声に
むすばずや美し夢
眠れ眠れ 慈愛あつき 母君の 袖のうち
夜もすがら 月さえて 汝が夢を 護りなん
眠れ眠れ 疾く眠りて 朝まだき覚て見よ
麗しき 百合の花 微笑まん 枕もと
[一節を歌う度にこちらへと踏み出すハーヴェイに、嬉しそうにキャロルの背を撫でながら歌い続ける]
[自分の歌声に合わせてハミングが乗って来た事に肩の力を抜き、ヒューバートを見上げた。]
(良かった、ですわ)
[その後のキャロルの言葉でその安堵は崩れて落ちる。
歌が止まり、暖炉の中の薪が小さく爆ぜる音だけが耳に入る]
……ええ、そうですわ。ヒューバートさんはお友達ですの。
でも…誰のお友達、なんてきっとありませんのよ?世界の人々は皆お友達なんですもの。
ですから貴女とも、今からお友達ですわ。
[そう告げて、再び子守唄を歌い始めた。
周囲に散るスノードロップの花は一つ一つ拾いながら]
……いやですわ、ハーヴェイさんがお友達ですのよ。
…私も、ちょっと落ち着いていないのでしょうか。
[コーネリアスが運んで来たココアを最後に受け取り、キャロルが何らかの反応を示さない事を祈りつつカップに口をつけた]
弟と、思っていた相手を、
手にかけたときの気持ちだとか…… ね。
[じい。と心の裡を計るように目を向けて、
それから、僅かに、身体を引く。]
… 心残りがあるんでしたら。
お早めに……
… 思い出されることを…お勧めします。
[マグカップから書付を拾い上げる様子を見やると、
男の後について、広間へと戻り]
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