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…………。
[空を見上げる。
雪は後から後から降ってくる。
自分だけなら、別に埋もれてもいい、なんて思ったりもしたけれど]
(……他のひとはなぁ……)
[やっぱりまずいと思うから]
(なんとか、出せれば、いいんだけど)
[そうは思っても、その方法が──多分、難しくないはずのそれが、わからない]
やっぱり遠いですよね。
[自分が手伝えるならともかく、動けないモミジを連れて移動するのは相当困難だろうとは分かる。
やがて近場を探していたバクが、屋根付きのバス停を見つけてきて、なんとかそこまで随原がモミジを抱き上げて運んで行く]
すみません、何も手伝えなくて。
[ただ後をついて移動し、傍で心配しているしか出来ることのない自分が腹立たしかった]
外へ...「たからもの」を見つけてってこと、ですよね。
[随原の声に、じっとモミジの顔を見つめる]
[「オーロラの国」「雪の精」「子犬のマール」......断片的に浮かぶ記憶]
[最初に書いた物語が、雪の国の話だったのは、何故だった?]
[「きっと、また会える」...それは、誰が誰に、言った言葉だった?]
...俺の、無くしたものって、もしかして。
[「最後には皆が幸せになるおとぎばなし」を、作ろうと、そう思った最初は?]
(モミジちゃん)
[そう、呼んでいたのは...]
まさか......
[そんな、おとぎばなしのような事が、本当にあるだろうか?*]
あそこには行きたくない。
[ぽつり零れた言葉に自分で驚き瞬いた。
骨董屋に行けば寒さは和らぐ。そんなことはわかっているのに。
経験したことのないような雪の中、踵を返して当てもなく歩き出す*]
[浮かんできた記憶に気を取られていたため、随原とオトハの会話は半分も頭に入ってきていない]
え?三輪さん、どこへ?
[急に踵を返したオトハに慌てて声をかけるが、今、この場所......モミジの傍から離れる決心はどうしてもつかなかった]
……行きたくない?
[道が分からないのであれば仕方が無いと思ったのだが、続き零れた三輪の言葉は別の理由があるよう。
だが、その言葉を零した三輪自身も驚いているようだった]
三輪さん。
[どこかへ向かおうとする三輪の背に声をかける]
忘れているなら、思い出して欲しい。
苦しいことなのかも知れない。
だが、それはきっと。
君のための一歩になる。
[人の心情を量ることは出来ない。
過去に何があったのかも知る由はない。
でも、それが『たからもの』へと繋がるものであるのなら、その人自身のために思い出して欲しいと思う。
三輪がどこへ行くのか気にはなったが、今は手が必要であろう七咲の傍に留まった]
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