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「貴方は、ライデンですよ」
私は……
「忘れてしまいなさい」
思い出したいんだ、
「思い出す事が幸せとは限りません。
……気分が悪いのは、頭をぶつけたせいでしょう。
あのドクターに診て貰った方がいいのではありませんか?」
[話をそらすカナメの声は奇妙に優しく]
……Since brass, nor stone, nor earth, nor boundless sea, But sad mortality o'ersways their power,……
[今度は歌ではなく、台詞のようなものを口にして。カナメの囁きに誘われるよう、そのまま目を閉じ、通路の半ばで*眠り込んだ*]
[ぬいぐるみを抱いた少女に呼ばれ、眠る女に跪く。
脈をとり、聴診器を当てるも、困惑するばかり。]
眠っているだけみたいだね。
せめて部屋までいけばいいのに。
[少女を安心させるようにやわらかな口調で言い、
女を抱き上げて部屋へと運ぶ。]
[胸が、頭が、ずきりと痛む。全て思い出しそうで、何も思い出せなくて、胸が苦しくなる。手向ける、眠らせる、それがどういう事なのか、わかっている。そして、自分の心が叫んでいるのもわかっている。けっして、眠らせてはいけない者がいる。もし、その者が眠ったなら、自分は………]
心が、叫んでいる。
胸が、張り裂けそうに痛い。
何処だ?
あいつは………何処だよ?
[辺りを見回せば、その姿をみとめて。ゆっくりと、その者に歩みより。だけど、何をしたらいいかわからないから。]
…こっちもか。
突発性入眠症候群としか言いようがないな。
[異常が無いことが異常とばかりに首を傾げ、ライデンの体を毛布でくるむ。]
ねぇ、キミ!
手を貸してくれないか?
彼を運ばないと…
[近くにいた少年に声をかけた。]
─自室─
[サイドランプが付いた中、
ベッドの上で身じろぎをする]
……思い出したわ。
ダーリン……カナメ。
アナタは私の最愛の人じゃないのね。
[両手で肩を押さえるように、震える声]
運命の赤い糸なら、嬉しいんだけどな。
ただ、それに命をかける気になるかどうか。
[クスクス、やはり笑って]
夢は、記憶の塊だから。
青も赤も、黄色も桃色も。
みんなある。
おかげで、少しだけ思い出したよ。
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