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[ちゃりん、と音がした。
卓上には、六文銭が二人分]
足りないのは……
此処にいろってことなのか、
それとも、他に理由でもあんのか。
[首の後ろに手をやり、コキと鳴らす。
欠伸をして、居間を出て行った。
貨幣は置き去りのまま]
[戸惑いながら、震えるチカを抱きとめる。]
……思い出した?
[何があったのか判らず、問いに答えることはできず]
チカ。チカが向こうで一番怖いものはなに?
[ベックの問いに、ぽつりと答える]
・・・ひと。
ひとの、こころ。
[あれほど人との交わりを求め、温もりを求めていたのに。
巡り巡った答えは、全く正反対のものだった]
ねえ、じいじ。
じいじはどうして、”ここ”にいるの・・・?
あなたに捧げていたのね、私……?
[仏壇の一つ多い草団子を見つめて独りごちた]
あなたはここへは来なかったんでしょうねぇ。
後ろを振り向かない人でしたもの。
[苦笑を噛み潰して、花嫁衣装を脱いでいく。
未だ、彼の男の名も顔も*思い出せてはいない*]
[うん。と弱く肯んじて]
そうだね。怖いね。
騙されたり、傷つけられたり、とても怖いね。
[どうしてあげれば良いんだろう、
そう考えながらチカの質問に答える]
じーちゃんは死にたくなかったから。かなあ。
[ふとちかは、庭の笹に視線を向けた。
微かにゆらゆらと揺れる短冊が、悲しげに晒されていた]
かぞく・・・・。
[ずっと願っていたもの。そして一度は叶えられたもの]
できない・・・忘れられないよぅ・・・。
[もはやちかにとって”家族”とは”ここ”に集った人々と同等の意味でしかなく、唯一無二だった。
しかし既に殆ど失われ、回復の見込みは無い。
ちかの想像の及ぶ限り、これ以上の家族はありえない。
ちかの中では思考が堂々巡りをして、出口を見失っていた]
ずっとあるよ。
[痛々しいチカの様子に、それでも笑ってみせて]
家族。会いたいなら、会いにいこう。
なくなったわけじゃないから。
チカが怖いものからは、じーちゃん達が守るから。
[囁いて、頬を撫でた]
じいじ・・・やさしいね。
[ちかは悲しげにベックに微笑んだ。
”向こう”に行った人たちには、それぞれの新しい人生と新しい家族があるのだろう。
それは”ここ”の家族ではない。
会いに行くということは、その事実と向き合うということ]
わたし、わがままだね。
よくばりだね。
優しいの一言ですませるんじゃありません。
[ぺち、と柔らかくチカのおでこを叩く]
良いよ。わがままでよくばりで。
伝えなきゃいけないことのほうが、多いよ。
[桜色の着物を羽織り、小花の刺繍が施された茜色の帯を締めた]
初めて買って下さったのがこれでしたねぇ。
[おぼろげな懐かしさに顔をほころばせ、慣れた手つきで身支度を整えると仏間を後にする]
[ああ、誤解されるかな、と思い。考え、付け足す]
……逃げるのだけはだめだよ。チカ。
爺ちゃんは誤魔化そうとする子にはスパルタだ。
[それ以外はのんびり待つけどね、とにっこり]
ほら、手出せ、手。
[父としてのときより乱暴な口調で、ちかの手に六文銭を握らせる]
使うか使わないかは好きにすればいい。
あとの一人分は、居間のちゃぶ台。
「なあなあで色々考えないようにして、形だけのんびり過ごそう」
そんな意味で言った言葉はない。ってこと。
……それ以外は、もう大体伝えました。たぶんね。
チカが決心したらその時言うことがあったけど、今はいいや。
[では写真とろう? と立ち上がって、カメラの前へ]
たぶん、簡単な話だよ。
じーちゃんは“千年かけて幸せになろう”くらいの心意気だよ。
みたいな話? かな?
[くすりと笑って、ツキハナの指示通り、並ぶ]
[よく分からないという顔で]
じいじ。
じいじは”どこ”へ行くの?
わたしは、”どこ”へ行くの?
[ベックの横に並び、手の中の冥銭とベックの顔を交互に見ながら尋ねた]
写真を撮るのはいつもあの人の仕事でしたから。
撮るわよぉ?
[タイマーを押し、自分もカメラの前へ移動する。
ちかの斜め後ろに立って、細い肩に両手を置いた]
千年経っても、家族ですか。
[浮かぶ笑みは、少しの寂しさを孕んだものだった]
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