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ゆーれい。……ゆーれい?
てことは、えと……。
し……。
[何気なく自分の口にした言葉の意味に、ふと気付く]
うわあ。
[ぶんぶん頭をふると、バナナジュースを勢い良くかき回す]
違うちがう。違うよきっと。
あ、大丈夫。
ちょっと驚いただけだから。
[謝るヤスナリに、気にしてないと返す]
その文章も、ちょっと意味が分からなくて。
昨日まではこんなのなかったのに。
もしかして、これが空に棲んでいるもの、かな。
[しばらく考えていたが、封筒をテーブルにおいて、話しはじめる]
本当なの?って聞かれても…何で私がアンちゃんとか攫わなきゃいけないのよ。
…私より、このいたずらみたいな手紙の事、信じるの?
[じっと、ポルテを見つめ返す。
目の前の彼女には、瞳が―光の加減か―紅く光ったのが、見えたかもしれない]
違うの?
[ルリの慌てているような様子に、鏡の中を覗き込む。しかし、ナオに何か変わったものが見えるわけでもなく]
……うーん。
[と、首を捻るだけで]
うん……。
[歯切れ悪く頷き返すと、ナオの制服をぎゅーと握り締める]
なんか。ヤダね。
みんな早く帰ってくれば良いのに。
[嫌な想像を振り払うように、また頭をぶんぶん振った]
[置かれた封筒に目をやり、モミジの話を静かに聞く。]
確かにモミジがアンっていう子を攫う理由は無いと思う。
でも――…怪か何かの類に憑かれていて、その手伝いをさせられているのなら、話は別よ。何とかしなきゃいけない。
それにこれは悪戯な手紙じゃない。うちの家系は代々異形を察知できる能力があるの。言うと怪しまれるから黙っていたけど。
この手紙はその能力が形となって教えてくれているだけ。だから悪戯なんかじゃない。
ねぇ、モミジ。貴女は本当に森下紅葉なの? それとも誰かに憑かれている?
[ルリの曖昧な返事に答えられない代わりに頭を撫でて]
ね。早く帰ってこないかな。
アンやフユキさんが戻ってきたら、皆で遊びたいよね。
何やるにしても大勢の方が楽しいよ。
……なんでこんなことになっちゃったんだろ。
[最後の一言は、呟きのように]
[テーブル席から感じる水の匂い―それが一際強くなったように感じ小さく笑う。そうしてまわりに聞こえないようにそっと呟く。]
―本性が出た、かな?
怪に憑かれてるって…言われても…
私は、森下紅葉だよ。ほかの何者でもないよ。
[困ったような表情を作り、返事を返す]
確かにポルテ、昔から不思議な事とか、そういうの縁があったとか、聞いてるけどさ。
悪戯じゃなければ、なんなのよ。これ。
[笑いながら話続ける。口の端が軽く歪む]
もし、私が何かに取り憑かれてたら、ポルテにどうにかできるのかしら。
[そこまで話すと、一瞬だけ、表情が変わる。
口が動く。何か言葉を話すように。助けを求めるように]
そうだよね。
大勢で遊ぶのが、私も好きだよ。
[ナオが頭を撫でてくれるので少し落ち着く。けれども、あれは本当になんだったのだろうか?自分は何を見たのだろうか?怖いもの見たさで、再び鏡に目を向けるけれど。そこには自分の顔しか映っておらず]
水の中に、空が……?
[その意味は分からなかったが、それでも、どこか頷ける気がして]
この事件って、その空に棲んでいる魚≠ェ関係しているってこと……?
[空に棲む魚の正体は、まだ分からないままで]
確かに…モミジだよね。
[返事をそのまま反芻する。
格段疑う部分もないから、手紙が来るまで気付かなかった。しかし通知が来てしまった以上、放っておく訳にもいかず]
悪戯じゃなければって言われても何とも言えない。けどもしそれでモミジがどっかで苦しんでいるなら助けたいよ…。
どうやるのって言われると困るけども、でもどうにかしてその怪には、元の世界に戻ってもらおうよ。人形みたいに紙にでも乗せて水に流して――…
[一瞬だけ表情が変わったのを、ポルテは見逃さず。ますます力になりたいと思いだけは空回って]
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