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男に告白されても、勃たねぇよ。
[止まった足を動かし売り場から離れていく。
また報せると聞けば、ポールを持った手を上げて返事にした。衣擦れの音だけが耳に届く。
一度も振り返る事はなく、階段に向かえばそのまま下の階へと下って行く。]
んー……私、後悔はしたくないんだ。
どうなるか分かんないし、負ける試合かも知れないけど、……だからこそ、やれるだけやりたい。
……それだけだよ。
[苦しげな表情を見るのは、辛い。
でも、それも多分、目を逸らしちゃいけないものだと思うから、私は目を逸らさない。]
カノウくんもさ、……したいようにしたら、いいと思う。
なるべく悲しい顔しないで済むように。ね。
[言いながら、カノウくんのほっぺたを軽く抓ろうと、手を伸ばした。
やっぱり、苦しげな顔を見てるのは、嫌だったから。]
[3rdと11thが一緒にきたことをまだしらないまま。
彼女がこちらにやってきて初めて気づくことになる。
だから11thが駆け下りていった3rdをおっかけるのなら、出会うことはなく]
……ネギヤ、どうする?
[知っている人に似た人の死体の傍にいるネギヤに尋ねる。
転寝していたから、どうやって死んだのかはみていない。
0thの日記らしきものが壊れて落ちているのが視界に入る]
世界が一つ壊れた、か。
[小さく呟いた]
……うん。俺も後悔はしたくない。
俺が守れるのは自分の世界だけで、
でも助けられる世界ならば、きっと他にも……
……って!?
[細い指が伸びてきて、頬を抓られた。
慌ててクルミを見返して、その表情に眉を下げる。
悲しんでるのだか笑ってるのか、分からない表情になった。]
俺、多分、クルミの世界にも壊れて欲しくないよ。
[2階のフロアについた頃、開店前の準備か店員がちらほらと姿を見せ始めている事に気付く。
目的の人物を探す為、タブレットへ視線を落とす。]
「**分後 2F 1stと3rdと会う」
ここにいるのか、
…1st。
[相手にも似た未来が更新されるだろう。
どこにいるのだろうと、フロアの売り場と売り場の間の通路を歩き始める。]
…クルミ、ちょっと。
[右手を示してみせる。
袖を捲ってモニターを確認すれば、日記が更新されていた。]
”*分後、2Fフロアで10thと出会う”
10thがこっちに来ているみたいだ。
気をつけて。
[彼女が既に10thと面識あることは知らず、
声を掛けて辺りを見回した。]
[カノウくんが驚いた様子に、私は笑う。
さっき人が死んだばかりなのに、この場に漂う穏やかな空気は、それを忘れようとしてるみたい。
でも、そんなの長く続くわけもない。]
……大丈夫。
簡単には、壊させないよ。
― 屋上 ―
[アンの胸にはナイフが突き刺さっていた]
××××…!!
[意味をなさない叫びを太った男は上げ、彼女の頬を叩く]
[彼女は反応を示さない]
かわらなかった…!
[普段ならば。「お悔やみもうしあげます」の一言で済む。
彼女は不滅だから。
でも、今、彼女の命とともに、彼女の世界もまた失われていった]
[口の中に血の味がにじんだかと思えば乾いていった]
ん……?
[示されるままに見たカノウくんの右手。
そこにあるモニターの文字を確認して、私はちょっとだけ、眉を寄せた。
悪い人だとは思ってない。けど、警戒しちゃうのはやっぱり、ソラさんとの遣り取りのせい。
それと、下ネタも。]
……おじさん。
[私が呟いた声と、カノウくんの視界におじさんが入るのと、どっちが早かっただろう。
私の日記には、『10番さんと1番さんが遭遇したよ!』って、書かれてた。]
ああ。そうだな。
ソラは強いし。
[きっと一緒にいれば大丈夫だろう。
細い指先が頬を離れていく。
ほんの僅かな温もりが、今は何だか随分と大切に思えた。]
[日記は、1日目の供述が変化していた。
あがらなかったはずの風船は上がり、ネギヤはそれを目撃した]
[いなかったはずのマシロもいて、そして]
クルミ……が。
そうか、彼女も、知って、るから
[盗み聞きをしていた内容だから]
[そっと彼女の目を伏せさせ――]
おいらはしばらく、ここにいる。
風船の、出所。
ナイフの存在。
下手人は、いろいろ残していってるから。調べるんだな。
[日記を拾い上げる。こちらもあわせて破壊されていた。
ぎゅうと、自分のオレンジロゴのタブレットを持つ]
[フロア内を見渡すには長身は役立つが、
相手からも見つけやすいだろう。
婦人服売り場へと足を踏み入れてると、]
…逢引中悪いね、ご両人。
クルミは案外、面食いだな。
[ポールを縦に持って肩に掛けるように持つと
左手の指輪にあたり、こつ、と鳴る。
茶のコートと帽子を被った姿で2人を見下し]
俺は、10th。宜しく、1st。
[10thが現れる。
その姿に、クルミと少し離れて立つ。
男の長身に目を眇めて、彼女を庇う位置を占めた。]
逢引中と思うなら、遠慮すれば良かったんじゃないか?10th。
…はじめまして。1stだ。
[名乗らなかったのは何のことはない。
向こうが名乗ってこなかったからだ。]
ここに、用があったとは思わないけど。
[ぐるりと示したのは婦人服売り場。
彼が物を調達しに来たとは思えない。
つまりは、彼はわざわざここに会いに来たのだろう。]
[
2日目。日記の内容は長い。
1500pt分がいきなり放り込まれるから仕方が無い]
[それから、ナイフを引き抜いて、太陽へとかざしてみた。これが現代社会に即したものか確かめるように]
障害があった方が燃えるだろ。
[口髭の奥、口元を緩ませながら1stに言い]
クルミを口説きに、…は 冗談。
話があってきたんだよ、1st。
[一度、眼鏡の奥の瞼を落としてから、
少し息を吐いてから、静かに言う。]
…… 出来たら、2人で話をしたい。
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