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うん。
戀ちゃんが言うなら、効くかもなぁ。
[顔を上げて、サングラスの奥の目と目が合うかは分からないけれど。
否定が無かったから、またその名を口にして、昔みたいに笑う*]
[悩んでいた一瞬のうちに、友人は、シンちゃんの傍にいた男性に声をかけられ、なんだか邪魔出来ない雰囲気に、そろそろと後ずさる]
[ふと藤の木を見ると、樹村くんが真剣な眼差しで、語りかけているのが見えた]
[ゆらり、ゆらゆら、回りの藤が、どこか嬉しそうに揺れる]
[その後、再会を喜んだ勢いで告白されたり、一足飛びに将来を約束しちゃったりしてるのを、横目に見つつ]
[ゆっくり、よちよち、相変わらずの歩きにくさに閉口しつつ、藤の木に歩みよる]
[藤模様の扇子 開いて 差し伸べる]
『たとえ、やがて散るのがサダメとしても、花は開いて香るもの』
[あの時は 造花の藤を 振ったのだったか]
『だから、咲きましょう。大好きな、あの人のために』
[ひとを愛した 藤の精の それが願いだった]
きっと大丈夫、みんな、居るから。
[ね? と 見やったのは]
会えて良かったね、キクちゃん、シンちゃん。
[にこり 笑った *ちょっと羨ましいけど*]
もう、もしかしたら私の名前、アズキかもしれないのに。
[それは飼ってるデグーの名前だ。
変わらない笑顔を見せる真昼につられるように綻んで。
けれど直ぐに、はっとする。
そうしてまた、顔を逸らすの繰り返し。*]
え、だって戀ちゃんやろ。
変わんないもん。
[ちょっと素直じゃないところとか、と口にはしなかったが。
隠れきれていない赤みに少し、可笑しそうにまた笑う]
へぇ、そーなんかぁ。
……まぁこの不思議空間やしなぁ。有り得るかも知れん。
[現実世界なら豆腐の効能などたかが知れているが、此処ならありな気がしてくるから不思議なものだ]
えー、アズキちゃんより戀ちゃんの方が可愛いと思うけどなぁ。名前。
うん、まぁ、とりあえずは、元気そうで良かった。
[顔を逸らされても気にした様子はなく。
この期に及んで人違いの可能性など考えなかったから、返事もちょっとずれていた]
ちょっと待っててな、綴木に食わせてくるわ。
[そう言い残して、進矢のところへ向かおうと踵を返した*]
[藤の木の傍 もう一人 見つけたのは]
あ、お弁当屋さん!
[まだ 名前は 覚えてなかった]
ごめんなさいね、怪我してない?
[よちよち 近付いて 手を取ろうと]
[伸ばされた手 両手で 握って]
あなたも優しいのね。
ほんと、ごめんなさい。私ったら、逃げてばっかりで。
[ここに 呼ばれた人は みんな優しい]
[そろそろ後ずさる視線の先、友人が手にした豆腐を、話しかけて来た男性に渡すのが見えた]
[顔は隠れていても、微妙に照れているのが、仕草で判る]
[すると、あの絹ごし豆腐は彼へのプレゼント用の豆腐だったのか、と、納得した...してしまった]
[両手で握られると、またほんのり赤くなる。
美しい花嫁さんにされたら誰でもなるはずだ。妙齢の女性と触れ合う機会が皆無なせいばかりでなく。
さておき]
優しい?
俺は…良く分からなかっただけで。
[見つけても自分から何が出来たわけではない。分からないまま突きつけて、ツキハナを、彼女の近くにあった藤を怖がらせただけ]
それに、逃げたようには見えませんでしたよ?
何かやるべきことがあるんだろうなって。
藤にも頼られてるみたいだったし。
[最初に「視えた」時、綺麗だと、似合っているとも思った。その理由を考え添えて。
握られた手を軽く握り返した*]
頼られてるっていうか、ほんとに同調しちゃってたのよね。
[咲きたくて でも 怖くて]
でも、今までは気付いてなくて...気付けたのはお弁当屋さんのおかげもあるから。
[鍵と言われた その時に だから]
ありがとうございました。
[にこり 微笑んで お礼を言って]
何かお礼したいんだけど...あ、お弁当!
今のロケ弁、あんまり美味しくなくて、不評なのよー。
レンさんが通ってるお弁当屋さんなら、間違い無く美味しいわよね。
[友人は 良い物を見分ける 感性を持ってるから]
監督に頼んでみるから、戻ったら見本のお弁当お願い出来るかしら?
[一石二鳥 私って 天才、かも?**]
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