(つられて、てるてる坊主を見上げ)
この伝統もどれだけご利益があるのかしらね。
(そういいながら、マシロに続いて布切れを取り上げ、てるてる坊主を作り始めた)
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ところで体育祭って運動会みたいなものですか?
うちは球技大会で室内競技のみだったので、雨関係なかったのですが。
どんな競技をするのか、いまいちピンと来ない。
騎馬戦とかもやるの?
待て! マル!
[リレー用の黄色いバトンをくわえた犬が教室に飛び込む。
追って教室に飛び込んだら、犬は[文芸部 綾部 マシロ]を見上げて『バトン持ってきたえらいでしょ』の顔して待機中だった]
そうねぇ。
数が多い方が、ご利益が大きいかなと思って。
……布がある分くらいは、つくろうかな。
せっかく用意してもらったんだし。
……ベックも作る?
(そういいながらも、せっせと自分のてるてる坊主を*作っている*)
お前な。
[女子に向かって尻尾を振っている犬に大げさにため息をついた。
青空の下に並ぶてるてる坊主を、手で庇を作って見上げる]
――壮観だな。
今年のてるてる坊主の首はきっと安泰だ。
きゃあっ!?
[突然の来襲に、思わず持っていたてるてる坊主を投げつけてしまう。
しかしマルには当たらなかった]
びっくりしたぁ。
ズイハラ先生に見つかったら、おうち連れていかれちゃうんじゃない?
[恐る恐ると手を犬に伸ばす]
[頭を少うしだけ撫でやすいようにする]
ん、打倒二組!
[拳をむん、とてるてる坊主に突き出す]
それに
……女子サッカー部、初めての交流試合だもん
[引退前の、最初で最後の試合。
なんとか新入部員を獲得して、廃部をまぬがれたい]
[マシロが投げたてるてる坊主は、マルとゴロウの横を通り過ぎて飛んでいく]
いや、大丈夫だ。
ズイハラ先生はポルテ先生に捕まっていた。校庭の整備が終わるまでは戻ってこられまい。
[大型犬 マルは差し出されたマシロの手にバトンを乗せた。わん]
ああほらてるてる坊主が…
[飛んでいったてるてる坊主を追いかけ、窓辺を離れた。
入り口近くへ滑っていったてるてる坊主。
手を伸ばし、拾いあげる]
あの二人って、いつも一緒にいるよねぇ。
親分とその手下みたい。
[校庭を見下ろしたが、噂の先生たちは見つからず]
おりこうさん。
[マルに渡されたバトンにしばらく悩んでから、コハルを見つめた。
いわゆる一つの、雨の日の捨て犬のような目で]
ああ、すまん。ありがとな、コハル。
[飛んでいったてるてる坊主を拾いに行くコハルの動きは俊敏だ]
コハル、サッカーの試合も出るんだよな。
何時からだっけか、応援しに行くよ。
[プログラムは貰ったような気がするが、マルがどこかに埋めてしまった]
そうですねぇ
[1枚布を取り、首を作ると大きくへのへのもへじ]
マル アンド ゴロウもおひとつどうです?
[もうひとつ作ったのっぺらぼうのテルテル坊主をゴロウに放り投げた]
[それを手のひらで覆い隠して振り返る]
二時からなの
暑いし機能的じゃないけど、長ズボンでやらなきゃいけないのが、ちょっとね
[女子が足なんて出すもんじゃありません、だそうだ。考えが古い]
どうしたの、マシロ
[ゴロウマルよりずっと犬みたい。
てるてる坊主はポケットにしまいこんで。窓辺へ戻って、その頭を撫でようと]
さっきの、お返し
[そう、笑って]
わん。
[コハルにつられてくすくす笑う。
ベックがてるてる坊主を誘う様に、あぁ、と声を零した]
顔描いてあげないとだねぇ。
[もう一つ布を丸めて、首を縛る]
コハルちゃんの為に、いっぱい作るよ。