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『どうして――』
[微かに聞こえる声。
男は視線を漂わせ苦笑する]
どうして、俺がここにいることが不思議なんだ?
[そして、もっと遠くから聞こえる声に懐かしさを覚えて呟く]
いつになったら……。
穏やかな日々が訪れるのだろう。
*/
[救うとばかり思っていた、少年のたましいですら彼女は飽き足りない。
それどころか、渇きは益々増大しているように思えた]
君の名は、なんだった?
[今はただ、彼女の魂が安息の地へ辿り着くことを祈っている。
彼女がそれを望むのかは知らないが。
自嘲の笑みを浮かべ、少女を見守るしか出来なかった]
/*
エビコが、宇宙のお母さんみたいな感じがする。
ほわわん。
周りへの絡み方いいよなぁ。
あ、そうだ。スグルが多忙だっただけのようで、安心した。
せめてエピで会えるといいんだが。
>冬さくらの樹
なるほど!!
あー、鈴の音想像すると泣ける。
セーラー服で駆け抜けてるんだよしかも。いいよなー。
女やってたら、冷え切った湖に素足を浸すとかやってみたかった俺。
んで長い髪が風になびく。いい図だ。(妄想してる
[何度も聞いたはずの鈴の音。
悲しげに心細げに、それでいてどこか凛とした。
それはまるで、あの人の声のようだと、男は思った]
“一つめのたましい”の前に、ゼロが
あったのかもしれない。
[自らの魂は、既にあの桜の樹に、とうの昔に吸い取られていたのではないかと]
それなら、これまでの気が遠くなりそうなほどの記憶はなんだったんだ?
[走る少女は、やがて桜の樹の元へ辿り着きその花びらに包まれる。
男は、その画を残したくなり、あたりを見渡す。
しかしそこには画材が一つもない]
この地で枯れたとしても、どこかまた転生すると思う。
がんばれ桜さん!(人みたい)
墓下ってもしかして桜の中なのかなこれ。
狂信冬樹は、ナオに救いを与えるために吊るという判断なのだね。
[指を合わせて四角く枠を作り、風景を切り取る]
綺麗という基準じゃない。
俺が本当に留めておきたいのは、懐かしさに涙が出そうになる、そんなものたち。
[ひらひら、ひらひらと、音もなく降り積もるは桜の花びら。
あの人が、いきたいと叫んでいるような気がしてくる。
狂おしいほどに愛しいその姿を、男は眩しげに見つめる]
*/
『ふるえるゆびは 陽をすくう……』
[小さく聞こえた歌声に、びくっと動じて目を見開く。
湧き上がるのは、知らなかったはずの郷愁。
この地は故郷ではないはずなのに]
救う――?
/*
わらっているのか?
[風に揺れる桜。
ささやくようなその音が、男の耳に届く]
本当に恐ろしいのは――。
[目を閉じて、夜風に耳をすませた。
瞼裏に、あの景色が浮かぶ]
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