[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[見出された『鍵』と『螺子』。
見えぬ『時計』が開けられて、その螺子が巻かれていく。
綴られる言葉に突っ込みは入れなかった。
自身も思う所はあったから]
……って。
そこで、『多分』、かよっ。
[不安煽る言葉にだけは、突っ込みを入れて、舞い落ちる光に手のひらを向ける。
ふわり、と下りた光の粒が鎖で繋いだ二つの輪へとまた形を変えて。
それを懐に戻しつつ、円形に開けたままの海を振り返り]
おーい、無事かー?
[海へと引き込まれた者へ向けて、呼びかけた。*]
[海の藍に染まった鍵が空に浮かび、陽の光のような金色の光を放つ螺子が辺り照らして、やがて時は動き出す。]
会いに行こう。
[俺は、繋がった、そらとうみの底で、いつのまにか、立ち上がっていた娘に手を差し伸べた。
会いに行こう、君の会いたい人に、俺の、会いたい人に。]
きっと、それが、俺たちの最適解ってやつだろ?
[青い朝顔柄の浴衣を着た娘は、ふわり微笑んで光に溶けた。差し伸べた手には、深い青の朝顔の花一輪]
だいじょーぶ、生きてるぜー
[無事を問う夏神に、そう応えて、俺は朝顔を手に砂浜へと歩いて戻る。いつのまにか砂浜には人影が増えていた]
あんたらも、見つけたかい?最適解てやつ。
[答えはどうだったか、どちらにしても、俺の心は決まってた]
俺はそろそろ帰るよ。やんなきゃならないことが出来たしな。
ああ、もし、気が向いたら、ネットで「化粧師夏生」って検索してみてよ。そのうちブログに近況報告するからさ。
[じゃあな、と手にした朝顔を、挨拶代わりに振って…]
うっわあ、あっさりしてんなあ。
[気づけばもう、俺は美容室の前に居た。手の中には青い朝顔、うん、夢じゃない。]
よし!
[気合いを入れてまず最初にしたのは、懐の中の速達を引っ張り出して開くこと。そして]
ただいま、かーさん。俺、ちょっと明日店休んで出掛けてくるから。
[なんなの急に?と呆れ顔のお袋には構わず、朝顔をコップにいけて窓辺に飾る]
絵を見に行くんだ。
[速達で届けられたのは、ひとつの小さな新聞記事のコピー。長年行方知れずだった画家の絵が見つかったこと、それを記念する展示会が、明日から開かれること。
その場所は、絵が発見されたその建物。
若き日に、画家と駆け落ちしたという娘が、晩年を過ごしたという海辺の別荘だった]
あと、出来たら嫁さん連れて帰る。
きみをたづねて いつまでも**
[呼びかけに返る声。
歩いて戻って来た姿も、特におかしなところはなく]
ん、ああ。
……見つけた……って、言えるな。
[懐にしまった二つの指輪。
それをもう一度軽く握って、問いに返して]
……ブログ?
あー……だったら、そっちも。
気ぃむいたら、『夏神酒造』で検索してみてなー。
[別れ際の言葉に返すのは、縁の欠片、ひとつ]
……さて。
俺も、帰らんとなあ……あんまり遅くなるとダンちゃんぶっキレるし。
[色々丸投げしてきた従業員の事を思いつつ、おどけた口調でそう紡ぐ]
……夏祭りの準備。しねぇとなぁ。
[それが終わったら、もう一度。
途切れた縁を探してみよう。
見つけられるのか、見出せたとして再び繋げられるかはわからない、けれど。
知らぬままで沈めたら、ずっと悔いを引きずるだろうから。
そんな決意は、口にする事はなく]
……んーじゃ。
縁があったら、また、どっかでなぁ。
[そんな、軽い言葉ひとつ、残して。
揺れる朝顔、軽く見やってから。
帰るために、歩き出す。**]
[狭間へと落ちた後も、ウミはイマリを、彼女が合流した後の彼らを見守っていた。
待つと約束したことを体現するかの如く、ただ静かに。
それぞれがそれぞれの道を選び、『鍵』と『螺子』が現れると、ウミの目元が和らいだ]
…時に人は歩みを止め、流れから外れてしまうことがある。
だがその度に歩み出す切欠が現れるものじゃ。
今回はこれがその切欠だったのじゃろうの。
[あちらとこちらを隔てる壁が砕ける前、ぽつりと呟いたウミの表情は安堵の色を宿していた]
── 見つかって良かったのぅ。
[壁が砕けた後、皆と同じ空間に戻ったウミは青々とした海原を見詰めながら言葉を紡ぐ。
海には良い想い出も悪い想い出もあった。
その全てを含めて、己の人生だったと言い切れるのは、今は亡き妻のお陰**]
─ ニュース ─
[昨日午後6時ごろ、××市内で10代の女性が倒れているのを通行人が見つけ、119番通報しました。女性は搬送された病院で熱中症と診断され、意識不明の重体です。消防が当時の状況を調べています。
市内の観測所では午後3時に38度の気温を観測していました。今後、暑さが本格化することから、市では熱中症に十分注意するよう呼びかけています。**]
アタシも、帰らなきゃ。
合唱コンクール、ソロパート貰えるかもしれないし。
頑張って練習して、胸張って歌えるようにならないと。
[思えば、ずっと歌は好きで、頑張ってきた。
それはきっと、あの子が好きだってずっと言ってくれていたから。
記憶を封じ込めても、それだけはきっと、忘れることがなかったんだ。
そう思った矢先、聞き覚えのある鐘の音が鳴り響いて。
あ、帰るんだ、と過った脳裏、聞こえた声は間違いなく]
『イマリちゃん』
[驚きに目を瞠る。
姿は見えない、ずっと見えないけれど、ずっと聴こえていた歌声の]
『ボクね、
イマリちゃんが、だいすきだよ』
───、う、ん
[涙が零れる、止められなくて何筋も伝う、そのままに頷き、そして]
────アタシも、好きだよ。
ずっと、すきだよ。
いつか、ほかに好きな人ができても、一番最初にすきになったのは、キミだから。
キミに恥じない、負けないアタシになれるように、ずっと、がんばっていくから。
ひどいこといって、傷つけてごめん。
またいつか、会えるときまで。
──ばいばい、海くん。
[そう言って、微笑んだ先。あの、優しい笑顔が見えた気がして、手を伸ばす。
その指先に触れる直前、世界はかしゃん、音を立てて壁が崩れ。
目の前に広がる藍は、川の苔生す匂いを伴うそれに戻っていた**]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ