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「儀式を潰した」ことガ「儀式」。
それマデ含め一つの謀る流れだったト?
[おどけて見える黙礼に、三白眼は細くなる。]
ここでハ、とは。勿体つけタ言い方ダナ。
そういう意味ダ?
俺は不真面目に生きている。
唯、不真面目に対して、真面目なだけで。
[返す言葉は、もう自分以外には聞こえぬ響き。
ゴム底のブーツの踵を鳴らし、同じく慣れた夜街の闇へと溶けて行く*]
― 街の地下 ―
[腐るゴミ溜めの中。
汚れた生命はコンクリートに囲まれた暗い地下深くにも。
むしろ、弱者ほどここには溜まろうか。
その中に隠される『カレワラ』の武器庫の一つを、対異形のもの用にと開放するよう双子の使いに指示を出す。
拳銃やナイフ。ライフルや手榴弾、あるいは火薬。さほど高い威力のものも無いが、数は多い。
とはいえ、先代の後に長く使わなかった場所、どの程度現役に使えるものがあるかは知れないが。]
……っタク、とんでもネェ親父ダナ。
[それが弱者に持ち運ばれる様を少しだけ眺め、その場を後にする。
跡継ぎは、これを先代がどのように集めたのかも知らなければ、何の為に集めたのかも知らない。
重要だと、誰にも渡すなと、
死ぬ前に手渡された暗号で書かれた資料の内容は、解読の一枚目『研究所』の単語までで挫折し、ボロボロの店の奥、隠し扉の中に埋もれるまま。]
― 砂塵の街 ―
[地上は、闇の過ぎ行くのを待つ常とは異なり、寒々しい夜を奇妙な熱に支配されているようだった。
街の中の幾つかの『目』や『耳』によれば、激しい幾つかの衝突を知る。
有翼人と賞金稼ぎの対立の結末には、優先的に手伝うべきだったかと、退治失敗に僅か臍を噬む。
そのうち、蛇の群れや屋上庭園の崩壊は明らかに異能が関っているよう。]
やれやレ。騒がしイのは嫌いジャないガ。
……異能相手ニ気軽にどんぱちやれるホド、命知らズでも無いンだがナ。
[店に戻れば、独りごち。
しかしそうも言ってはいられないかと、普段のナイフばかりの軽めの武装に、ポーチにはグレネードや手榴弾を詰め込んだ。
それから、一振りの凹状に湾曲した刀身を手にし、合皮の手袋はその握り具合を確かめて。]
……まずは――……
[賞金稼ぎの遺体でも拝みに行ってみようかと、熱帯びる街へと踏み出した。]
[闇に飲まれる砂塵の街を照らすのは、むき出しの電光や、原始的な松明の灯り。
ずるりずるりと地を這う蛇の行方は、どの『目』が追っていく事か。
戦いの跡地には、僅かながらも遠巻きに眺める弱者の姿がちらほらと。
先人切って飛び掛るものが見えないのは、相手が天よりの使いのようでもあるからか。
そこまで辿りついた情報屋は、まず賞金稼ぎの様子を見やる。
転がる蛇の卵となった女は、あまりに赤く。
遠目からでも明らかな死を感じさせる無残さ。]
[臆病者共の脇を抜け、腰鞘のククリナイフに手をかけ、ただし牽制に見せ抜く事はせず。
その場を離れようとする有翼人へと言葉を向ける。]
……飛べるノカ。
[以前に見た白い翼は、痛々しい赤に染まり。
まるで罪を犯し堕天でもしたかのような、それ。]
俺ハこの街の一住人サ。
[警戒しながらも、卑しき地上人に丁寧に応えてくれる優しさに、内心の苦笑は貌にも漏れるか。]
飛ぶのガ有翼人であるとイウのなら。
見世物小屋に売ってモ、今ノあんたニ価値は無さそうダ。
[歪められた笑みに、小さく肩を竦め。
ゆったりと、蛇這うように右手の指先がナイフの柄をなぞって見せる。]
なア……アンタは、この街に、何故来たンだ?
つまり――穢れはお前自身だと。
[小さな呟きは彼女の耳へと届くのか。
有翼人が天仰ぐ様を見れば、左手は上着のポーチに伸び、取り出すは短い刃物。
10センチ程度の投げナイフ3本を、頭、胸元、足元へと投げつける。
同時に、後ろへと駆け出して、構える爆竹。
手早く点火すると、ナイフを投げた先へと放る。]
――敵ハ手負いダ!!!
全員でかかレバいけるぞ!!!
[連続した乾いた破裂音が、夜の街に響く。
銃に似た音と、鳥人の夜目と、導く群衆の勢いとに賭けて。
さらに音は、遠くの群衆を引き付ける為に。
それらの効果を確認するまで、遠距離からの攻撃を仕掛け。
――そうしていつの間にか。
『情報屋』は、狡猾に夜街に*紛れる*]
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