[1] 絞り込み / 発言欄へ
[からりからりと下駄を鳴らして、屋台が彩る境内を一通り見て回る。
綿あめ、ベビーカステラ、金魚すくいに、型抜きなんてのも未だにあって。]
俺が子供ン時と全っ然変わんねえな
[中高と寮生活、そのまま受験して大学、と長い間正月しか帰っていなかった。
何故今更気が向いたのか、自分でもわからないが、来てみれば案外楽しみだ。]
[着物自体は好きで、村を離れてもよく着ていたから慣れたもの。
田舎は嫌だと飛び出したのに、妙な話だと自分でも思うが、好きなものは好きなのだ。]
あー、っと…何だっけ?
[鳥居を見上げると目に入った雲。
小学生の頃、同じ祭の時に見て、祖母に名前を教えてもらったのは覚えているけれど、肝心の名前が出てこない。
鳥居、雲、鳥居と交互に見て、首を傾げた。**]
[暮れゆく空に浮かぶその雲の名は諦めて、袖の中でちゃりりと小銭を鳴らす。
楽しみだ、でも自分はもう酒さえ飲める歳。
十何年も前の過ちはもう流石にしないし、する訳にはいかない、なんて一人笑う。]
かき氷の食い過ぎで腹下し…
あん時ゃガキだったな。
[その分、祖母の腰はシャンとしていたし、今よりずっと元気だった。
今では随分老け込んで、今日も病院に行く>>15と言っていた、筈だ。
それでも「あんたは楽しんどいで」なんて言えるのだからまだまだ元気な方だ、と思う。]
ばあちゃんも誘えばよかったかなあ。
あー、や、じいちゃんと行くっつってたか。
[まあともかく、そろそろ出店に品が並び始める頃だろうか?]
[鳥居の外から境内へ、まずは何から見ようか。]
お、おっちゃん、焼きそば一つとビールも。
……あ、まだか。ども、また来ます。
[吟味するより匂いに惹かれ近寄ったのは焼きそばの屋台。
生憎まだ売っていなかったが、まずはあれからにしようと決めた。]
[1] 絞り込み / 発言欄へ