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[そこで一旦言葉を止め、三和土の方を見やった]
ホズミさん。お帰りなさい。
……どうかしましたか?
[呟きはよく聞き取れなかったが、その様子に首を傾げた。また同じような言葉が聞こえたならば、困惑したように眉を下げただろう]
いえ。
[マシロには小さく首を傾けて微笑み返し]
ええ、勿論。行ってらっしゃい。
気を付けて下さいね。
[集会所を出ていく姿を見送った]
ホズミさん。
無実なら……そんな事を言ってはいけません。
[ホズミが呟いた内容を繰り返して聞かせていたなら、そう言っただろう]
今は……犯人を捜さないと。
[内容を知れていなかったとしても、それだけは口にして。いつの間にかすっかり冷めた茶を飲み干すと、ゆっくりと立ち上がり]
少し、外に出てきます。
また後程お会いしましょう。
[そのように言い残すと、男も集会所を後にした。何かを考えるようにしながら、道を歩いていく。時々すれ違う村人は、複雑そうな視線を男に向けてきた。言を憚っているのだろう、話しかけられる事はなく]
確か、あの話の終焉は……
[断続的に独りごちながら。あてつけているかのようによく晴れた空の下を、*進む*]
[村の片隅。木陰の下の岩に腰掛け、周囲を見るともなく眺めていた。人通りが少ない道。時たま通りがかる村人は、此方を一瞥するだけで、やはり避けるように歩いていく。村は何処か静まり返ったようだった]
……
[男自身もまた、黙って]
――ワカバさん。……大丈夫ですか?
[現れた姿を見て、その名を呼ぶ。少し間を置いてから続けて問いかけた。土で汚れて見える白衣と、沈んだような様子に向けて。尋ねる男の声もけして明るくはないものだっただろうが]
大丈夫なら、良いのですけれど。
……こんな状況で、平気かどうかなんていうのも、妙な話でしょうけれどね。
[眉を下げて僅かばかり笑み]
私を?
……セイジさんの、お母さんが。
[続けられた問いかけには、瞬き、驚いたような顔をした後、困惑したような表情になった。じっと、思案するように沈黙していた後]
……本当のところは、知りません。
実際に何があったのかは。
ですが……
[何かしら躊躇うように、呟くように零した]
不慮の転倒による死亡。
……それだけにしては、奇妙なところがある事故だったという事は、覚えています。
当時は私も若かったですし……あまり真剣には考えませんでしたが。
……
もしかしたら、あれは……
「事故」では、なかったのかもしれない。
[曖昧な言葉は、しかし神妙に]
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