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世界の終りですか。
それは気が付きませんでした。
常日頃、ひどく狭く、しかし、研ぎ澄まされた世界にいたもので…。
[首を傾け、袖を振る。
いつもそこに仕込んでいる音楽端末の重みは変わらない。そんなことにややほっとしたようなしぐさを見せてから。]
とかく、世を知るのは難しい。
[その世界では、棋界の魔王と呼ばれた男は、幾度が緩く瞬きをしたあと、正座を崩さず、そのまま佇む。]
[練習が終わって、濡れたタオルで汗を拭いて、服を着替える。
色んなものが機械化したけど、こういう単純作業はまだ全部、自分でやらなきゃいけない。
おばあちゃんが若いころの近未来予想図は車が空を飛んだりしてたらしいけど、そういうのはもうちょっと先の話みたい。
試験運用はしてるけど、実際に走ったりはまだしてない。
革の鞄にタオルと、ボールと、簡単な怪我の手当ての道具一式。
あとはノートに使ってる少し大きめの液晶端末と、個人認証データとか学生証とか、その他諸々が詰まってる手のひらサイズの液晶端末。
それから、おばあちゃんに持たされてる飴がいっぱい。
いつも通りの荷物が入ってるのを確認してから、端末の画面を付ける。
表示された時間を確認して、端末の鞄に放りこんで顔を上げたら……そこはもう、何だかよく分かんない場所だった。]
はい、皆さんお疲れ様でした。
明日の本番はしっかりね。
[古びて、けれど大劇場といわれる舞台でドレスリハーサル、
あたしの髪飾りが言葉と一緒にチリンと揺れる。
オペラグラス、ひらめく扇、紳士淑女達のさざめく声、拍手の音。
明日ここにひしめく筈のそれらはあたしにはいつものこと
あたしは舞台を降りても女優の仮面は取らないの。
けれど、今日だけはどうしてもそれを剥がさざるを得ない出来事
一瞬、舞台の奈落に落ちたのかとも思えたその時]
……えっ、ちょっと待って何の話?
ていうか、ここ……どこ?
[声が何処から響いてきてるのかとか、なんでこんなとこにいきなり居るのかとか、わけ分かんない事が多すぎる。
それを全部口にしてたらキリがないし、とりあえず何か重要そうな声に耳を傾けてみることにする。
世界を救うだとか、壊すだとか、死ぬとか生きるとか、……なんかどれもこれも、私には縁遠い言葉ばっかり、って感じ。]
世界を統べる者って……進路になるのかなぁ。
[だとしたら、ちょっと有難い気も、しないでもないけど。
結局、意味が分かるような、分かんないような。
そもそも、こんな現実味のないところでいきなりあれこれ言われたって、正直ぴんとこない。]
…え?
[舞台衣装のまま、気がつけば外は見慣れたそこではなくて。
あたしはきょとんとしてしまう。こんな顔、絶対人には見せないのに。
そして、人の気配に眉をしかめてしまう。
嫌なこと。眉間にシワがついてしまう]
なぁに、ここ…
[素の「あたし」が出てしまっても仕方ない。だって、何かご大層な、それこそ舞台セリフのような声が聞こえてくるんだもの*]
―――パァン
[銃声と共に跳躍する黒い影、
その黒くしなやかな肢体を弾丸が掠めた。
弾ける血色が、夜の闇の中に溶ける。
軽い音と共に草を踏みしめた四足、
後足をわずか引きずりながら獣は密林を駆けて行く。
湿った熱気にむせ返るような土の匂い。
南国の鳥のけたたましい鳴き声と羽ばたきに、
足音の行方は紛れるが、血痕までは消せはしない]
ラッテンフェンガーめ、
あの獣人風情が…!
[少年兵は嫌悪もあらわに吐き捨てる。
常であればヒトの追跡など軽く振り切るだろうが、
あれは文字通りの手負いの獣だ。
そう、人間ではないただの獣。
神に祝福されし人間と、忌まわしき亜人と。
相容れぬ二つの種族。
この世界は創生の時より憎悪と争いの中にある。
何故争うのか、そんな疑問は存在しない。
ただ神がそのようにこの世界を望んだのだ]
[やがて少年兵は血の跡を追って水際へと至る。
忌まわしき獣の密林の中での恐ろしさは知っていた。
月明かりに開けた視界に、一瞬緊張が途切れ――
次の瞬間、視界が反転した。
夜の闇に爛々と光る、金色の目。
毛を逆立て、剥き出しになった牙と、真っ赤な口蓋。
黒い毛並みの巨大な猫科の獣、ゆらりと揺れる太い尾に茶褐色の混ざるのはまだ成獣ではない徴だ。けれどそれがなんだというのか。
獣の首に下がる認識票が、目の前できらりと反射した。
震える指がようやく引き金を引く。間に合うはずが無かった]
[痛みを覚悟した少年兵が目を閉じて開いた後、
間に合うはずが無かったのに、血まみれで転がる獣の姿が目の前にあった]
……んでだ、
[凝視するその先、
獣の肢体から黒い毛並みが失われていけば、
まだ少年といって等しい人間の姿になっていく]
なんでだッ、
[問いに応えるつもりだったのか、
重く持ち上げられた少年の双眸の色にだけ獣の名残のある。その血まみれの手はゆっくりと“神の遺物”へと伸ばされた。
少年兵が目にしたのは、そこまで]
―水流れる柱―
っくしゅ、
[見上げた空の青さに瞬くばかりの少年は、くしゃみをした。なにせ、認識票と“神の遺物”以外は持っていなかったのだ]
……服が欲しい。
[音でなく脳に響く声に、ぽつとそんな言葉が零れる*]
[何か困ったり、迷ったりした時は、飴を食べて落ち着くことにしてる。
甘いものは頭にも心にも良いよ、っていうのは、おばあちゃんの教え。
鞄の中を探って、飴がぎっしり入ってるポーチから一つ取って、口に入れる。
しばらくしたら、しゅわしゅわのラムネの味と感触が口いっぱいに*広がった。*]
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