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[ こぽり ]
[ こぽり ]
[自身の崩れた魂が、水に溶け行く音を聞きながら、低い呪詛の声を這わせる。]
犬の様にまぐわう、男同士も有る。
こんな、呪われた土地で、何故、おんなの贄が穢れ損なうのだ………。
[それではあれとの契約が成せない。
漂流物なのか、錆びて貝殻がこびり付いた大きな長い銛を杖がわりに、ヘイノは海から贄の檻の場所へと現れた。]
[猿轡の男を見遣る眼に侮蔑を浮かべたあと
ヘイノの姿を見るや 足は地を蹴る
手にした手首からの鎖を振り被り
滑る足元に 四足の獣のような姿勢で
手で地面を後ろへと 押しやって]
…――あなたが、…!
[古びた鎖が杖代わりの銛を薙ぎはらおうと
男に向け飛び掛かる姿勢は 低い]
[溺死体になって膨らんだ大股開きのおんなの脚。贄と、鼻先を陰部に埋めんばかりの男に、向けるヘイノの眼差しはギラギラとした憎しみの黒色。
弔いを成さんとする僧を見つけると、壊れたように激しく首を横に振った。]
………否、否、否だッ!
何故、成されるべき事がされずなぜ弔い等が始まる。
この石女は、贄に成るべく育てられたと自ら語って居たッ………。
ああ、そんな目で見るな、見るな!
[桟橋ごと叩き壊さんばかり、蒼白な男は、錆びた銛を振り回し、僧に、猿轡の男に、あるいは傍観者達に叩き付けようとする。
集まった者達の顔を全て見ているようで何もみていないかのよう。]
………グッ、ァああァッ!
[あなた、と言う呼び掛け。
素早く飛び掛かられ、ヘイノは銛を滅法に放った。]
[刹那――斧の天地が翻る。
がぼッ と石突が鎖骨に嵌る音と共に、
長柄が色狂いを強かに弾き飛ばす。]
…
這う場所を間違えるなよ *濡れ蜥蜴*
[男は佇み魔を待ちて…迎えには行かず。
あるいは、届かせてみせるかと
この地での常のように斧担ぐ姿ではなく、
片手に立て斧を携える――かつての*不動*]
ボデ…、ィル!
この恥知らずの密告徒ッ
裏切り者めうらぎりめ。
俺は、お前に復讐する為なら、何者にでも…──ッ
[押さえ込まれ、首には罪の鎖。
だが、化け物の異様な力で仇敵の胴に抱きつく。ただただ男を海へ引き摺り込もうと。
故郷の家の暖炉脇のあたたかな光景が甦る。しがみつくヘイノの両手はすでに──体温を感じるてのひら、では無く*。]
──………ッ
[仇敵とあいまみえ、しがみつくだけしか出来なかった。
無念を滲ませながら、頷くような気配。
おそらく、領主の息子としてだけでは無く、復讐者としても半人前なのだ。]
[走馬燈あるいは思い出にひたる少しの時間。ただ、望郷の念だけが冷たい海水で満たされたはずの胸を締め付ける。]
[ こぽり ]
[こぽり ]
[それは何処から紛れ込んだものか。
見開かれたままのヘイノの右眼球に、冷たく透明で溶ける気配も感じない氷の欠片が突き刺さる。──涙の代わり。]
……サンテリ、せんせい。
あなたは、どうし、て……
[おのれよりも先にこの村に辿り着いて居たのか。何故、暗い暗い海の底で、我々は凍える眼差しを向き合わせ、囁く事が出来たのか、答えは──。]
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