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えへへー。ケンくんはクラスのおにーさん的存在って誰かが言ってたのね。六花、ちゃんと覚えてるのね。
[覚えててくれたという笑顔に嬉しくなって得意気に他にも覚えていることを言う。
部活をやっていたと言いながら動かされる弓に目をやり]
部活?キュウドウ?弓大きいのねー。
[言いながらテレビ等で見たことある弓を射るポーズをしてみせる]
用事?落し物なのね。
[寺崎が誰かの生徒手帳を取り出すのを見つつ、だが思い直して職員室への同行の誘いに笑顔で頷いて答えた]
うん、行くー!
―玄関→職員室―
[寺崎と連れ立って職員室に向かう途中、話しながら歩いている櫻木奈央と弓槻臣哉が歩いてくるのが見える。話の内容に気を惹かれ二人に近寄って声をかけた]
ねえねえ、なんの話してるの?
キシャ?遠足行くの?
[面識ある無しに関わらず屈託なく話かける。名前を聞かれるなら名乗るだろう**]
―回想―
[偶然のふりをして松柏駅に行く、という話がまとまった直後。
いつもは引っ込み思案な女子生徒――三枝小春の唐突な挨拶を背中に浴び、驚いて振り返る。]
お、おぉ? さよなら。気をつけて帰れよ。
……って、もう居ないのか。
[駆け去って行く小春の後ろ姿を見送りながら、聞かれたんじゃなかろうな、と一瞬ひやりとする。目の前に居た賑やかな生徒たちに気を取られていて、近藤の死角に居たらしい彼女の存在には気づいていなかった。]
[小山内と同様、内気で周囲とあまり交わらない小春に対し、近藤は何かにつけ声をかけるようにしていた。近藤が声をかけても彼女はすぐに俯いてもじもじしてしまうので、あまり会話が続いたことはなかったが。
それでも、彼女が忙しく働く母にかわって弟妹の面倒をみていること、細かいことに気配りのきく優しい子だということは、少ない会話と彼女の教室内での振る舞いから読み取っていた。
だから、つまり]
……仮に聞かれてたとして、こいつらに聞かれてるより100倍マシだな。
[まだ無責任にはしゃぎ続けている賑やかグループに目をやって、そう結論づける。
松柏駅に行くことについては教室内に居た小春にはじゅうぶん聞こえていただろうが、彼女がその話に興味を示すとも思えなかった。
だから、それっきりそのことは近藤の思考から抜け落ちていた。
ただ、あの日の小春の挨拶だけは、新鮮な驚きとともに印象づけられていた。]
/*
小春ちゃんが絡んでくれて俺(の中の人)歓喜。
ありがとうー!!マジ縁故レスになるかと思ってびくびくしてた。
そしてみんなキャラ描写上手いなー。メモの設定で補足しないといまいちよくわからん俺涙目。
小春ちゃんの指がふっくら、らしくて可愛い超可愛い。家庭的なとこもラブい!そんな生徒からちょっと好意を寄せられてるっぽくて俺幸せ!!
(※あくまで中の人発言です。たぶん←
[それはともかくとして、放っておくといつまでもダベり続けていそうな生徒たちをいいかげん解散させることにした。楽しくおしゃべりしてもらうのはいいが、居残り勉強でもないのに生徒を家に帰さないというのは近藤の立場上よろしくない。
どうもこのあたりの線引きが甘いのが、自分のいけないところだ。自覚はあったが、その性格のおかげで生徒から人気があるらしいというのも一方の事実であり、こうした勉学以外での交わりを楽しいと思うからこそ塾講師という仕事を選んだわけでもあり。
僅かな逡巡を頭から追い払うかのようにわざとらしく咳払いをして、しかつめらしい表情を作る]
あー、お前ら。今日はいいかげん帰れ。
先生を引っ張り出せて満足なんだろ?
それに――お前ら、土曜日は学校で補習だとか言ってなかったか?
[『忘れてたー!』と、またぞろ騒ぎ出す生徒たちを一瞥し]
言っておくが、学校の補習サボって駅に来てたりしたら後々困るのはお前らだからな。
俺の後輩がお前らの学校の先生してるって話、前にもしただろ?
[『生徒を脅迫するなんてシュミわるい〜』とからかう生徒たちに、にやっと笑って]
先生も脅迫されたからな。意趣返しってやつだ。
ほら、わかったら散った散った。気をつけて帰れよ!
[やっとのことで三々五々帰途につき始めた生徒たちを見送ると、教員室にある自分の事務机へと向かう。
近藤の性格を表すかのように、机の上にはノートパソコンと必要最低限の書類ファイルだけが置かれており、他にはちり一つ見当たらない。
この日は近藤が受け持つ授業が最後で、他の教員は既に帰宅していた。
ふぅ、と大きくため息をつき、少しだけネクタイを緩めて椅子に座る。
鍵のかかっていた引き出しを慎重に開け、そのまた奥から一冊のファイルを取り出す。他の書類ファイルは几帳面に印刷されたラベルが貼られているのに、そのファイルは表紙にも背見出しにも、何も書かれていなかった。
ゆっくりとめくられたその中に入っていたのは、青玲学園の「あの事件」が報道された記事の切り抜きの数々。]
[興味がないなんて、嘘だった。
近藤が持っていたクラスの生徒が1人、死んだのだ。――いや、正確には死んだ“らしい”のだ。
塾長も警察も、言葉を濁して多くを語らなかった。近藤は未だに、真実を知らない。
「あの事件」は当初こそセンセーショナルに報道されたものの、あまりにも不明点が多く、生還者たちもほとんど情報を語ることはなかったため、今では報道熱はすっかり収束していた。]
――小山内。お前が、誰かをコロシタとか。その報復として、クラスメイトにコロサレタとか。
嘘だよな? そんなの。
[校内裁判。生還者たちの異常行動。ショッキングな煽り文句が踊る紙面を指でなぞりながら、近藤は独りごちる。]
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