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[詰め寄られて>>1:121、少し仰け反るような体勢になり]
俺がここで穂積さんを騙す利点がどこにあるってんですか。
[憤慨されるとまた困ったように頭を掻く。実際すんなり信じられるような話ではないが、状況はそれを許さない。タイムスリップしたとしか考えられない証拠を説明すると、相手も少しずつ理解してきたようだった]
えっと……今んとこ、穂積さんのお子さんらしき子供は見かけてないです。
ただ、俺らの他にも何人か、同じようにタイムスリップした人は居るみたいですが。
[不安そうな穂積>>1:123に対し、気の利いた言葉が出てこない。きっと無事だ、なんてことも無責任には言えず、ただ確認した状況のみを伝えておいた]
1人で大丈夫ですか?
何なら、送って行きますが。
[穂積も家に帰る>>1:126と聞いて、同行を申し出たが、相手からは丁重に断られてしまった。無理矢理ついて行くのも、と言う部分はあったから、それ以上食い下がることはなく、その場で別れることになる]
分かりました、何があるか分からないので、お気をつけて。
……ああ、それと。
兎が言ってた「ワスレモノ」、探してみてはくれませんか。
見つけないと、元の時間に戻れないとも言ってたので。
[あの取り乱しようでは兎の話を聞いてたかも怪しく思え、別れ際にそう穂積に告げて。自分は家がある方へと歩いて行った]
何しろって、『仕事』しろってんだろ。
[返す言葉は呆れで淡々としていた]
「ワスレモノ」を探すのと、兎が言ってた『仕事』の2つ。
とりあえず、やるべきことらしい『仕事』っての、やってみっか?
[自分の中にあるはずの『力』。それを使おうと試みる。ただ、どこかに向ける、と言う風な目標は全く定められて居なかったが]
だって拒否権ねーんだもんよ。
[悟りたくもなるわ、と言わんばかりに返す]
ん〜〜〜〜〜〜〜。
[とにかく力を使おうと念じるが、傍目何か変化してるようには見えない。今は1人だから良いかもしれないが、道の真ん中で力んでる様子は変な人と思われて差し支えない様相だった]
っと、っわ!
[その最中、すぅっと念じていたものが身体から抜けて、直後、誰かを捉えるイメージが頭に入ってきた。驚いて声を上げる]
……これで良いんかな?
[とりあえずどっかに向かったみたいだし、と祐樹に確認を取ってみた]
へっくしょん!
[穂積と別れて家へ向かう最中。急に鼻がムズついて盛大にくしゃみをした]
っかしいなぁ、花粉症は持ってねーんだが。
悪寒もしねぇから風邪じゃねぇ。
誰か噂でもしてんな?
[話題にはされていたのできっとそのせいだろう]
んーーーーー。
よっし、良いことにしちまおう。
失敗してたにしても、ちゃんと説明して行かなかった奴が悪い。
[そう言い切って良いことにしておいた。それからもう一度使ってみようとしてみるが]
ぬ、連続しては使えないっぽい?
後でまた試してみるか。
[コントロールが出来て居ないためか、念じてもさっきのような感覚にはならず。時間を置いてからまた試してみることにした]
[住宅街を抜けて、更に少し坂道を進んだところにようやく店が見えてくる。その少し奥には母屋の姿も見えていた]
さって、と。
親父達はどうなってんだか。
[一度店の前で立ち止まり、建物を見上げる。昔ながらの家屋、10年経った今でも変わらないもの。元の時間でも同じ姿で建っている店をしばらく見詰めてから、引き戸をガラリと開けた]
親父ー、居るかぁ?
[家族も飛ばされて来て居るのか、居ないのか。それとも10年前の家族が居るのか。様々な可能性を頭に巡らしながら声を張り上げる。けれど、返って来たのはシンとした静寂だけ*だった*]
そーそー、考えるだけ損だぜ。
で、家に着いたんだけど。
…どーも誰も居ない感じがするわ。
親父達は巻き込まれなかった、って考えて良いのかね、これ。
[張り上げた声に返る静寂に、首を傾げながら言葉を*紡いだ*]
ん、そーだな。
家族で面倒事に巻き込まれるとかマジ勘弁…。
海は他いねーか。
案外確認出来た人数くらいしか飛ばされてねーのかもな。
……つーか俺らが探さなきゃならんのは人じゃなく「ワスレモノ」か。
忘れてるからワスレモノなんだろうに、どー探せってんだか。
[言いながら大きく溜息をつく。付き合いの長い祐樹なら、癖のように頭を掻く様子が想像出来たかもしれない]
[返る静寂から、店には誰も居ないと言うことが知れる]
親父らは居ねぇか。
……そーいや、10年前の軸の人も居ない、ってことなんかな。
[別の場所では立体映像のように10年前の様子が目撃されてるとは知らず、そんなことを呟いた]
…おお、マジで10年前だ。
[店の中を見回すと、壁にかけられたカレンダーが目に入る。その日付はやはり10年前を示していた]
10年前だと……まだじぃちゃんもばぁちゃんも生きてる時だなぁ。
……マジで居ねぇのかな。
[祖父は5年前に、祖母は7年前に他界した。祖父は自分にとって先々代の店主でもある]
60になったら確定で代替わりって、どーゆー方針だったんだろう。
[父が祖父から店を譲り受けたのは自分が6歳の時。自分が幼かったため、祖父が店であれこれする姿を見た記憶はかなり薄かった。ちなみに現在父は60歳。今年息子である自分に店を譲った形となる]
じぃちゃん居ねぇかなぁ。
会えたら話出来るかもしれねぇのに。
[居たとしても話せる可能性は低い気がするけれど、そう望んでしまうのはじぃちゃん子だったためか。慕った祖父の姿を探し、母屋の方へ移動してみることにした]
……ちょっと待て、聞いてねぇぞそんなこと!
「想いが強かったんだね!」で済んだら世話ねぇよ!
これでもし時計とやらが修復出来なかったらどうするつもりだ!!
[一方的に言って走り出す兎を捕まえようと手を伸ばす。けれど、身軽な相手に簡単に避けられ、掌は宙で握り拳を作るに留まった]
くっそ、あんにゃろ………ぉ?
[走り去る兎の後姿。それが少し掠れたように見えて、思わず動きを止め、目を瞬かせる。握った拳で目元を擦ってみたが、その間に兎は姿を消してしまっていた]
空間の狭間って……大丈夫なのかよ。
[問うても、返る言葉は無い]
ところで祐樹君よ。
今、例の兎が現れてとんでもねーこと言ってくれやがったんだが。
[話を切り出したのは相手も話を聞いた後だったか、前だったか。自分が得た情報だからと、やや重い空気を漂わせつつ言葉を紡く]
『時計に力をもらうと、そのひとは空間の狭間に落ちちゃうみたい』
だと、よ。
これってさ。
『時計に力をもらう』ってのは、さっき俺らがやった『仕事』のことなんじゃないっけ?
ものすげー厄介なことになってる気がするんだが。
[またネガティブりそうになっていた]
/*
早々に落ちる気がするので思い出す切欠を早めに得に行きたいところではある、が。
確実に思い出すのは元の時間に戻ってからでも良いんだよねぃ。
そのための切欠をこの場所で得たい。
しかしそれをやると一人遊び万歳になってしまう(
何かあの様子だと予想外の結果だったみてぇだけどな。
[こちらも、はぁ、と大きな溜息が零れ落ちる]
俺達が落とすと考えると、気が重いけど。
やらにゃ進まねぇもんな。
ほんっと、よくもまぁこんな面倒事に巻き込んでくれたぜ。
[悪態のような言葉を紡いだ後、大きく息を吐いて気分転換。全てを兎のせいにして罪悪感を消すことにした]
ああそうだ。
さっきカレンダーみたらさ、やっぱ日付が10年前だったぜ。
思ったんだけどよ。
ここが10年前なら当時の人とかが居てもおかしくねー気がするんだが。
何か見かけたか?
[気を取り直して話題を変える。先程少し考えたことを祐樹にも聞いてみることにした]
………考えててもしゃーねぇ。
行くか。
[しばらく兎が消えたところを見つめながら考えていたが、答えは出ないために頭を掻きながら思考を止めた。改めて進行方向を母屋へと定める]
…お、あそこって確か…。
[目に留まったのは玄関より奥にある、開け放たれた縁側。当時そこは祖父の書斎がある場所だった]
うっは、あるある。
本の数すげー。
[縁側へと向かい、そこから家の中へと入る。入った先で目にしたのは、祖父の書斎に並ぶ薬学の本の山だった]
そういやこの辺のもの、じぃちゃんが死んでから蔵に仕舞っちまったんだよなぁ…。
小せぇ頃は訳分かんなかったし、大学じゃこの辺のは使わないから読んで無かったっけ。
[手に取って中を見ると、昔ながらの薬の精製方法や、薬効についてが書かれていたりする。物によっては古めかしい、手書きで書かれたようなものまであった]
………あれ、この辺りのって本じゃねぇな。
ノート……っつーか、帳面?
[ふと気付くと、本棚の途中から薬学の本ではなく手書きの帳面が並ぶようになっていた。先に進むにつれて、帳面からノートに変化している場所もある]
そっか。
こっちも家に誰も居ねーから確認出来てねぇわ。
…ワスレモノのヒント、か。
あるかもしんねぇな。
ま、会ったら会ったでその時か。
[ヒントについて言われると、少し考えるような間が空く。それも束の間、楽観的な言葉が続いた]
[帳面を1つ手に取りページを捲る。そこに連なる文字は、人の名前と病気の症状、それに対して出した薬について等、様々なことが書かれていた]
…じぃちゃんの字だ。
え。もしかして、これ全部こう言うことが書かれてるのか…?
[開いた一冊を手にしたまま、並ぶ帳面とノートに視線を転じる。これらは言わば客の治療歴のようなものらしい。この薬では効き目が薄かったから、今度はこのようにしてみた、なんてことも書かれていた]
じぃちゃんもしかして……店に立ってた時、ずっと欠かさず記録を…?
[思わず視線が背後の座卓へと向く。そこはいつも祖父が座っていた場所。その座卓は今、自分が部屋で使っていた]
……───え。
[視線を向けた先で、ぼんやりと、座卓の前に人影が浮かび上がる。その後姿に見覚えがあった]
じぃ、ちゃん?
[呼びかけるような、問いかけるような声。そんなに小さくもないそれに、祖父は反応する素振りは見せない。ただ黙々と、座卓に座って何かを書き記しているようだった]
なぁ、じぃちゃんって。
聞こえてんだろ───。
[会いたかった姿を見つけて、足早に傍に寄って祖父の肩に手を伸ばす。けれど、掴もうとした手はするりと祖父の身体を擦り抜けて行った]
っ!
……そっか、10年前の姿だから───。
[触れないし声も届かないのか、と。話も出来ないのだと知り、表情に落胆の色が落ちた]
[ヒントについては「だなー」と同意を向けて]
10年前よりは老けてるしな…気付かれないとかあったらショックだ。
[そう返したのは祖父の姿を見る前のこと]
あとあれだ、自分自身に会っちまったら何か変なことになりそうじゃね?
…じぃちゃん、何書いてんだろ。
[自分に背を向けたまま、黙々と何かを書き続ける祖父。どうせ気付かないんだからと横から覗き込んでみたが、何故か影になって内容を読むことが出来なかった]
ちぇ、見れねーとかなんだよこれ。
……ん?
[覗き込む姿勢から背筋を伸ばして、つまらなそうに唇を尖らせる。視線を別へと向けた時、座卓が置かれている側の壁に張り紙があることに気付いた]
「薬師の道は日々是精進」
………なんだこりゃ。
つか、薬師って───……あれ?
[訝しげに眉根を寄せたあと、何かが引っかかり僅かに首を傾ぐ]
…そーいや、前に何か聞いたことあるな、このフレーズ。
他に続きがあったような……。
[うーん、と唸って腕を組み、どうにか思い出そうとするも、すぐには出て来ない。その間に祖父が書き物を終え、書き留めた紙を封筒に入れて封をし、傍にあった小箱に封筒を仕舞いこんだ。その作業の途中、封筒の宛名が目に入り、あ、と小さく声を漏らす]
俺宛…?
貰ってねーぞ、あんな封筒。
あっ、待てじぃちゃん!
俺ここに居るんだからそれ寄越せ!!
[祖父は小箱を手にすると立ち上がり、どこかに持ち出そうとしているようだった。思わず声を上げるが、それが祖父に届くはずも無く。こちらへと向かって来た祖父が目の前で掻き消えるのを呆然として見るだけになってしまった]
…………結局、なんだったんだ。
[10年前の自分が知らぬ出来事を垣間見ることは出来たが、それが何を意味するのかまでは判明せずに終わった]
だよなぁ。
自分と会話するとか想像つかねー。
[そんな会話をする間にも、目の前では例の光景が進んでいて]
あー……なんっか、遭遇の心配はしなくて良い、のかも。
いや、これ俺だけなのかも知れないけど。
……今さ、死んだじぃちゃんが居たわ。
声かけても気付かなかったけどな。
[ぽつ、と。と言うには長いけれど。ほんの少しだけ気勢の落ちた声で今体験したことを祐樹に伝えた]
/*
よし、過去軸に居るうちにやりたいことはやった!←
こっちに居るうちに思い出すかは流れ次第、っと。
最悪現代軸で思い出す予定。
[そのための仕込みがあの封筒だったりする]
/*
ただ問題は。
このままで行くと、忘れたのは6歳くらいの時の記憶になりそうで困っている(
10年前の記憶……にしても何とかなるかな。
忘れた切欠は大学に行ったこと、には出来る。
何忘れてるかも忘れてるんだから、しばらく話しなきゃなんねー気がする。
[10年前の自分が覚えていても、それは当たり前のことで。それがワスレモノであるなんてことは分からないはず。それを知るには記憶の照らし合わせが必要な気がして、そんな風に返していた]
ん。
……なんだよ、お前まで暗くなるなよ。
[途切れがちな声に僅かばかり苦笑する]
そう言うもんなんだ、って思えば気も楽になる。
そこまで落ち込んじゃいねぇよ。
ワスレモノ………か。
[自分は何かを忘れていて、そのために10年前に飛ばされて。そうして目にした光景は、何か意味を持つはずなのに、それが分からない]
10年前、何があったっけな。
[縁側から外へと出ながら思い出そうとしてみる。大きな出来事だったかもしれないし、日常的なことだったかもしれない。どれがワスレモノに関わっているのだろうか]
あん時俺は16だから、高校入った辺りなわけで…。
[そんな風にぶつくさ言いながら、進路は駅前の方へと向かって行った]
へーへーそーですかー。
俺が悪ぅござんした。
[素っ気無い返答にこちらもふざけるような態で返す。そんな風に軽く返してくれるのは、気持ちの切り替えの部分を考えればありがたいことだった]
…まぁなんだ。
とりあえずビミョーな気分にはならずに済むぞ。
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