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夏祭?今日だったかね。
……ああ、そういえば確かにそうだ。全く、一年経つのは早いもんだなあ。
[血圧の薬を取りに来た老女の口にした「今日のお祭」という言葉に、初めて催しの事を思い出した。]
坊やに、夜店で食い過ぎるなよと言っとくといいよ。
もう、あんたがおんぶしてウチ連れて来るには大きくなりすぎてるだろう。
[老女の孫が、祭が終わった夜更けに腹痛を訴えて、この診療所に来たのは何年前だっただろう?]
……そうだな、ちょいと覗くくらいにしとくつもりだがね。
お大事に。また後でな。
[老女を見送った後、ふと窓の外を見る。
そろそろ赤みを帯び始めた空には、ふんわりとした獣の毛並みを思わせる雲が浮かんでいた。**]
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