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[さて、部屋に入ってからどれだけの時間が過ぎたか。
>>3扉の向こうのヴァルテリの呟きは耳に届かずとも、>>6流石に怒鳴るような声は聞こえる。]
……やれやれ。
折角のデートだというのに、邪魔をするとは野暮な奴だな。
[どうやら、思う通りにはいかないようだ。人狼が誰であるか、その手法はどうであるかを見てみたかったのだが、仕方がない。
また来る、と、嘘とも本当ともつかぬ言葉をドロテアに残し、ニルスは腰を上げて扉の外へと出る。
そこにユノラフだけではなく、ヴァルテリの姿を認めれば些か意外そうに目を瞠った。それから、視線をユノラフへと流し。]
なんだ、二人ともそんなに私が心配だったのか?
[ニルスは冗談を紡ぐような口調で言い、口許に笑みを浮かべた。もし部屋に長居した理由を問われれば、調べ物があったと嘘を吐く。
そうして二人と連れ立って、居間へと戻って投票の話を聞いた。]
[ニルスは少しの逡巡の後、一人の名前を記して投票する。
恐らくは誰からも名を書かれないであろう人物の名。
根拠も理由もなく、というのはニルスの主義に反する。
謎は解いてこそのものであり、あてずっぽうで真相に辿り着くべきではないのだ。
尤も、そんなことを言っている状況でないのも、また確かなのだが。
考えようにも、あまりにも材料は少ない。
それから貰いそびれていたお茶を貰い、幾らか話をしてから、ニルスはユノラフを伴って自室へと引き取る。
流石に一つのベッドを二人で使う気にはなれず、別室から布団を一枚失敬してユノラフはベッドの上へやり、自らは床に陣取った。
いつものように本の頁を指先で捲りながら、しかし読む速度はいつもよりも随分と遅かった。]
……もし、人狼としての目覚めが意識的なものではなく、それこそ夢遊病のようなものであったとしたらそれは、人狼本人にも自らが人狼である、と分からないということになる。
つまり、例えば俺が人狼だったとしても、俺自身はそれに気付いていない、という可能性もあるということだ。
そもそも、ここに集められたのが人狼であると疑わしき者ばかりだと言うなら、きっと誰が人狼に目覚めてもおかしくはなかったんだ。
[パタンと音を立てて本を閉じ、ニルスは床に寝転がる。
目の前に広がる天井をぼんやりと眺めたまま、普段より幾らか砕けた口調で話す。
言い聞かせるものでも、説くものでもない、ただ思考を垂れ流すだけの言葉。]
苦悩の内にあるのは何も人間だけではない。人狼に目覚めた者も、きっと同じだ。
此処にいる者を欺き、殺さねばならない。それはきっと、辛いことだろう。……早く謎が解ければ、より早く苦悩は終わる。
その為にも、もしお前が見極める者なら……絶対に、死ぬなよ。
[最後に願望を添えて、ベッドに背を向けるように寝返りを打った。そのまま振り返らず、眠りに落ちるまでニルスはじっとしていた。**]
[悲しげな表情は、間違いなく自らが知るイェンニのものだ。
しかし、一度疑いを抱いてしまえば簡単には拭えない。]
そうか……私は、それが君の本心であることを願ってやまないよ。
……さっき、マティアスの部屋の扉で、何をしていたか……教えてもらえるかい?
[問い掛けを発すると共に、>>73 杖をつく音が響き、ウルスラが現れる。
てっきりイェンニを手伝いにきたのかと思えば、その手が握るのは流し台の中にあった凶器で。]
ウルスラ、何を……。
[泣き腫らした顔に、手の中のナイフ。
嫌な予感がじわりと這い上がるのに咄嗟に身が動かず、居間へと向かうウルスラを制することは叶わない。]
……そう、か。
[>>86 返ってきた言葉に返す返事は短い。
単に調べていただけならば、何故、扉を隠すように密やかに行動する必要がある?
そんな疑問を飲み込んだのは、服の裾にイェンニの手が伸びてきたが故。一つ、大きく息を吐く。]
イェンニ、……誰も疑いたくないのは、私とて皆と変わらないよ。ただ私は、理由があれば誰かを疑う。
……それが誰であれ、君の言う「大義ある殺人」を行うよ。必要であれば、私の手を汚すことも辞さない。
[それだけを言い置いて、裾に触れた手に促されるように調理場を後にして、急ぎ足で居間へと向かう。
飛び込んだ先、目に入ったのは>>87 ウルスラがナイフを振るう光景。]
ウルスラ、気をしっかり持てよ。
彼は君を、動揺させようとしている。
[>>110 ナイフの柄をしっかりと握りながら、ニルスの視線はレイヨへと向く。
叫ぶウルスラを焚きつけようとするかのような台詞に、その意味が分からずにニルスの表情に浮かぶのも渋いものだ。
ただ、分かることは一つだけ。]
……レイヨは人間だ。それは、恐らく間違いない。
ただ……それと、信用できるか否かは別だ。
レイヨ、君はどうしてそこまで取り乱さないでいられる?
君が仲良くしていたアイノが死んだんだぞ?
[昨日、2階でアイノとレイヨが話していた様子を見ている。
だからこその問い。]
[>>113 レイヨの声に、>>116 視線はクレストへと向く。
服が汚れている所為で、一瞥した限りでは怪我をしているのか否か、判別がつかない。
ただ、何か思うことがあるかを探ろうとするかのよう、クレストと一度視線を合わせた。勿論、それだけで伝わるものはそう多くはないが。
それからもう一度、視線をレイヨに戻し>>119 告げられた言葉に眉を顰めた。]
私は君が人間だと知っている。
そして、ウルスラが人ではないとも思えない。
だから、どちらを殺すつもりもない。
君の口車に乗るつもりはないよ。
教えてくれ。……アイノが死んだのに、何故君は笑っていられる?
[>>120 浮かべる笑みはニルスの目にはまさに、狂気めいて見えた。
人狼でなくても、彼は危険だ。そう訴える声が自らの内にあるのもまた、確かで。ナイフの柄を握る手に、俄かに力が籠る。]
男は、女性の涙に弱いものだからね。
厄介、というのは褒め言葉として有難く受け取っておくよ。
ついでにもう一つ、聞かせてくれないか?
……君は自分が死のうとしているのか、ウルスラを殺そうとしているのか、どちらだろう?
狼を殺すなら、わざわざ私たちを焚きつけずとも君が自らすればいい。
決して君の味方が多くない此処で、それだけの弁舌を振るう必要はないだろう?
[>>128 イェンニの疑問には、ちらりと視線を向けるのみ。言葉を返せないのは、彼女に対する疑念故のことだ。
>>129 レイヨに再度の問い掛けを向けながら、手の中のナイフの切っ先をすっとレイヨに向けた。
>>130 視線を向けたのは、その表情から何かを窺えないかと思ったが故。遣り取りの有無などは察することは出来ずに。]
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