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おいら、ずーっと……ひとりぼっちだったから。だから、待つの慣れてるんだ。
誰かが、どこかで幸せなんだと思えば、待てるよ。
家族だから、いつか、帰ってきてくれると思うんだ。
[笑みを浮かべているが、悲しいのか嬉しいのか見えない表情]
さっきね、紙幣を渡すとき、パオリンは、おいらたちのこと知ってるって言ってた。でも……この家で言わないでくれてたんだ。
ミナツに渡すとき、泣いちゃうかと思った。
幸せになると思うけど、家からいなくなると、寂しいね。
[笑みが徐々に崩れて、目元を手で押さえた]
ギンと友だちでも、ひとりなのか?
[スイの言葉を静かに聞く]
……そうか。
ああ、寂しいな。
なあ、スイ。
[皆の注意が逸れている間に、頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でた]
お前も、次の世で、幸せになっていいんだぞ。
ギンは、おいらとずっと一緒に居てくれたから。
だから、みんなと一緒に向こうに言った方がいいんだ。
[ギンの背中をそっと撫でる。
ユウキに頭を撫でられて、涙をこぼした]
おいら、今が幸せすぎて、ずーっとここに居たいんだ。
おかしいのかな……何かまだ忘れているのかな。
いたいなら、いてもいい。
だが、捕らわれてしまい過ぎないようにな。
誰の泣く姿も見たくはないが、泣かないと余計に辛いぞ。
泣くのは、想いが強いからこそだな、悪い事じゃない。
……忘れていること、か。
あるんだろうな。
ありがとうとーさん。
夢みたいに幸せでどきどきする。
でも、ちょっと怖いんだ。
大好きな人を食べたりしないかな。触れた人を傷付けたりしないかな。
[白い手を見ながらぽつり*]
そうだな。
俺も怖くないと言ったら、嘘になる。
だが人は、物を壊す手で、物を創りだす。
お前の手も、他人をあたためることが出来る。
そのことは、忘れるな。
[*部屋に向かうスイを、見送る*]
……今が怖いなら、新しい自分になってみるか?
[涙の引いた顔を上げて、自分の手のひらをじっと見下ろしている]
おいらが、この紙幣を渡すことで、みんなが次の生で幸せになれるんだよね。
新しい自分かぁ。先にいけるのかな?
送ってからじゃなくていいのかな………。
とーさんも怖いんだ。……ほっとした。
幸せになるかどうかは、次の生での皆次第。
渡せるのは、幸せになれる“可能性”だな。
先が見えないのは、不安だ。
だが、見えないからこそ、希望も持てる。
前の――過ぎたことは、変えられないからな。
いきたいときに、いけばいいさ。
そうだよね。幸せになれる可能性だね。
先が見えなくて、不安だね。
ちかはまだここに居たいみたいだし、誰に紙幣を贈ろうかな……。
そうだなぁ。
[編み上げられた竹篭見て]
ヌイにしようかと、考えていた。
バスも、待ち人も、来ないかもしれない。
……ずっと待ち続けるのは、辛いからなあ。
[スイたちに視線を移してから、窓の外、遠くを見た]
まあ、それこそ、余計なお世話なのかもな。
[またたきの後には、*何でもない表情*]
そうだね。
ヌイは寂しそう……待ち人来たらずだものね。
スグル兄さんは家族がいて見つかったみたいだし、兄さんとヌイに送ろうかなって思う。
[ふぅとため息をついた]
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