情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] 絞り込み / 発言欄へ
―村役場―
[轟いたサイレンの余韻が去りゆく頃――耳を
押さえうずくまっていた少年が漸う我に返る。
能面のような表情はそのままに、額へ薄い汗。]
ぁ…
隠れないと、また
[ふらりおぼつかぬ足取りで歩き出そうとする。]
美津保おねえちゃんが …こわくなる
[耳の奥へ、短く連続したノイズ音]
[―ざ―] [―ざ―] [―ざ―]
[切り替わる視界の幾つめか、端に
少年が―自分が―映る其れがある。
オトハ女史を見遣る相棒の、視線。]
.
…トカイの人
おばさんじゃ なかったんだ
[都会でなくトカイ(@ハンガリー)の発音で
オトハ女史へそう言いながら振り返る。]
ごめんね
あんまりよく 見えてないんだ
じゃ 俺、行くよ
[少年は、外へうろつき出す異相の村人たちに
見咎められぬよう身を低くして…役場を出る。
オトハ女史らへ告げる別れはみじかくも重い。]
…隠れる前に 忘れ物を取りに行かなきゃ
[道行きは、村の宗教施設―教誨所―の裏手を
抜けて、旧家たる少年の生家を目指し、辿る。
赤い涙を流す美津保嬢が、再度彼女の弟へ
ギンスイ―彼らの従弟―の行方を訊ねたなら、
戸籍を持たないあの少年が、幽閉されていた
土蔵から逃げ出したままだと聞ける*だろう*]
―穂積本家・土蔵―
あった、…よかった
[逃げた少年を探したのか、踏み荒らされた其処で
格子窓越しの薄明かりを頼りに探すふたつの忘れ物。]
… う
[「其れ」を拾い上げた途端、軽い眩暈。
用心のために時折視界を切り替えることには
慣れているのに切り替える先にノイズが走る。]
…視界酔いしてる場合じゃ ない
[1] 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了