[出かけていたのか皆よりだいぶ遅れて、
いまごろ少年が食堂に顔を出す]
おや、みんなもうお集まりなのですね。
……ご飯もうなくなってしまった……かな?
[熊さんのプリントがされたハンカチで口元を拭いて]
渡してくれたってだけでやっぱりお礼言いたいですけれど。
うふふ、ときますかー。大人のミリキです。
そういえば、用意したひとは誰なんでしょう。
美味しかったです。とても。
[ボタンにやんわり笑った]
なんだか言いたくなったのです。
[怪訝そうなボタンに、恥ずかしそうに]
でも、きっと、ちゃんと書くと良いですよ。
少しだけ赤面しながらでも、心を込めて。
[どよめきたつゼンジにおろおろとして]
く、くますけです。
ぼくの数少ない友達、くますけです……。
[奪われないようにハンカチをいそいそ仕舞う]
[ボタンが書いてみることにするというのに、こくこく頷いて]
はい。
ぼくはもう、書く相手、決まってるんです。
半分くらいは、そのために来ましたから。
[ボタンさんは誰にするんですかー?とか聞いた]
くますけには僕が用件を取り次ぐシステムになってます……。
[くますけに挨拶するゼンジに、きりりとして]
しょ、小学校時代のクラスメイトの名前とか一人たりとも覚えてませんもん…!っていうか何その生々しい使い方…!?
[友達くますけだけじゃないですよ!とか心外そうに]
[皆の会話を聞いて少し心配そうにしながらも、何か言う前に皆がフォローしてるので結局何も言わなかったり]
誰に送るか、興味津々ですかー。
聞けばすごく普通だと思うと思う。
[ボタンさんの表情を見て、少し眩しそうに目を細め]
ぼくです。
ぼくは、ぼくに送る。
うおおい!?ヤですよそれー!?
[下手するとさらしものになるというゼンジの言葉に愕然]
そうです。他の友達もいます。
例えば――はい。ゼンジさんとか?
[皆の言葉とか、ゼンジさんの提案とかを受けて、楽しそうに言って]
ゼンゼンとセイセイって呼び合う仲も近いらしいですよ。
[不安そうだったルリとか皆が笑ってくれたので、ひっそりと満足]
はい。
素敵です。僕もそう思った。
なので、そういってくれると、嬉しいです。
お姉さんも、素敵なのを書いてくださいね。
いつか同じ方法であなたに返信があるかも。
[にっこりと柔らかに口元を緩め]
[心配してくれてるお婆ちゃんにしんみり和んでる]
意外でした? だとしたらちょっと自慢です。
そうなのです。そういうのもあるのでした。
ボタンさんのは、まだ内緒です?
[内緒なら無理に聞こうとは思わないのだろう。そんな口調で]
[うふふときますかー。とか心の中でもう一度]
旦那さんにですかー。うん。
なんとなく、そうなのかなと思いました。
さっき、ボタンさんがした顔で、なぜかそう思った。
ありがとうございます。教えてくれて。
[先刻見た表情を反芻するように目を瞑って、礼を言った]
[してやったりの表情をすまし顔に押し隠して]
はい。じゃあぼくたち友達ですね。ゼンゼン。
友達から始めて、親友を終点にしましょう。
[女将はヤです。とか]
[皆の言葉を聞いて、こくり頷き]
では、とりあえず解散かな。
ぼくも一度部屋に戻ろうと思います。よっこいしょ。
[じじ臭いかけごえと共に席から立ち上がった]
そんなものでいいのです。
[訳知り顔でこくこく頷いてみた]
じゃあ、また次のご飯時に、でしょうか。
[そんなことを言いながら、誠司も部屋へ戻っていった*]