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ここにある薬で今すぐ僕に出来るのは時間稼ぎだけでしょう。
…でも文明の波が何ですか。
どんなに残酷だろうと時は流れます。
それでも…―――
どういきるか選ぶのは自分です。
[車椅子から身を乗り出し、力を籠めてぐいぐいとアルマウェルの腕を引くも、地に足をつける事はしない。茶の入ったカップはいつしか床に転がり、薄汚れた床を更に黒ずませて、彼の腕を掴んだまま勢いよく振り返りトゥーリッキを顧みた]
…―――、…手伝ってください。
病に冒された人を癒すなら彼の力が必要です。
…ひとにとっては、必ずしも
滅びではないのだろうけれどな。
けものには、違う。
流れ流れて辿り着いたあたしには、違う。
[――窓外に、ちらちらと松明の灯りが過ぎる。]
[松明を持つ村人たちの様子に、凍る湖上の祭壇へ
ドロテアを捧げた折のような躊躇いは窺えない。
おおかみの届かぬ屋根に上った村人たちが、
狼遣いを小屋諸共焼こうと火矢を用意し始める]
…
ああ。
長老さまは…「癒す」おつもりのようだな。
…
あんたが「変わらない」と言ったのは、
レイヨ。
変われないことへの方便だったのだな。
[手伝いを求める求道者へはそう言い落とす。
埋まる者へ歩を寄せると、ぎ…と床が軋む。]
…。では、選んだままに。
せめて、けものの性で。
儘にあじわって―――愉しむ、さ。
…彼女なら何かしてくれたかも知れません。
貴方が狼に村を襲わせる理由が病なら…
望みと評する彼女だけでも全て告げればよかったんだ。
確かに彼女はここにいる彼に殺されました。
でもそれは貴方が…
口を開かなかったからでもあると思います。
その術を僕よりずっと貴方は握っていた。
[窓の外に見える焔の揺らめきは松明だけでないけれど、寒さを凌ぐのにやっと用を足すだけの崩れかけの小屋は、人の力に抗う術を持たない。獣の滅びを想えど眼差しは狼にも白蛇にも移らず、眼前にある群れの頭角を捉えるまま]
飼い馴らされるのと…
獣にはどちらがマシなんでしょう。
[煽動される狼に対してだけでなくぽつり呟いて、零した呼気は隠し切れぬ想いに微か震える。トゥーリッキの言葉に面持ちを違える事はなく、引き出せぬアルマウェルの腕をまた引いた]
…どう受け取られるも受け手次第です。
僕はその前言を訂正はしません。
[トゥーリッキの言葉を前面から否定せずも、容れず答える声は静か。軋む床は抜けず、引く腕に添えられる手はあるだろうか]
………結局は、貴方から奪わせてしまう…
わざわいの先触れたる我らが潰えるなら、
そののちの「望み」…そういう意味だ。
けものの理にひとの理でもって
つきあってくれる必要はないよ、若先生。
[抱いた望みの小ささ故に、遣い手は話を切る。
確かめることが出来るのは重ならぬ性(さが)ばかり]
歩まぬレイヨ、と呼ぶ訳を
言ってしまわねばならんかね?
[車椅子の脇をやわらかく踏んで進み出るのは、
遣い手の傍らへ添っていた一際大柄のおおかみ。
半ば生き埋めとなったアルマウェルの乱れ髪を、
襟元をすこしの間くんくんと嗅いで――――
ぞぶり。
アルマウェルの肩口へと牙を深々うずめた。]
…引け
[本来ならば、告げる必要も無い下知は短い。]
引っ張り出して、生きていたなら
手伝ったことになるのだろうよ。
[瓦礫混じりの雪のなか、使者の全身は果たして
如何なる状態だったか。引出す力は*容赦ない*]
…―――律儀ですね。
[切られる話へ返した言葉は短く、前髪に隠れぬ面持ちは酷く…―――続いた言葉へ引き結ぶ口元は笑まず、眼鏡の奥の眼差しだけが細まった]
望まれぬ言葉なら求めるのは気が引けますが…
お聞きできれば幸いです。
[寄り来るひときわ大きな狼の開く口―――覗く鋭い牙はアルマウェルへ深々と刺さるも、前髪に隠れる眉が痛みを思い潜まれど苦言を呈する事はない。引かれる力に助けられ、彼は雪より引きずり出されるだろう]
[蛇と狼を遣う者と車椅子の男の会話に
僅かに眉が下がる]
病、か。
全然気づけなかったねえ……
もし、少しでも気づけたなら。
もっと違うことになれていたのかね?
[為される事に、けれど視線は逸らさず。
ただ、帽子をぎゅっと深く。]
見えずも見えるその景色。
松明が、火矢が、そこかしこに見えようか。]
見届けるまでは、死んでも死にきれねーわな。
[もう、何も出来ない体。見ることしか出来ぬ。
それでも――]
今も俺は、無力だとは想ってない。
[ドロテアには聞こえようと聞こえまいと、呟き。]
[ウルスラの声に、ちょっと間考えて]
――どうだろうな。
あのバカが、何もかも隠したままじゃ――
変わらなかったかもしれんし、変わったのかもしれん。
[ふ、と小さく息吐いて]
もしこうだったら、なんて、
……なってみなきゃわからんもんだ。
ま、タラレバの話なんて
しても意味はないってことだね。
[やれやれ、とばかりに軽く天を仰いで]
それにしたって、どうして隠したのかって
気持ちには変わりないけどね。
何も言わずに気付け、ってのも酷い話さ。
ま――そうとも云うな。
[タラレバについては肩竦めて告げて]
そうだな――だから多分、ばかなんだよ。
俺に言われちゃ世話ねーだろーがな。
[知己の想いの全てを汲み取れるわけではないけれど、少なからず抱いた感想はやはり、その一言で。]
[知己を眺めやる目は敵意でも慈愛でもない。]
お前の死を望むわけでも、狼の滅びを望むわけでもない。
ただ――この村と、
俺のつまらん意地で、レイヨを生かしたいだけだ。
[そうして、牙に引かれる使者には目を細め]
お前も、んなとこで、死ぬな。
やることがあるはずだ――……、まだ。
[小屋の外の状況と、小屋の中の状況と――
きっとどちらの時間も、あまり*ない*]
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