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― 40余年前 ―
若先生!
アンが見つかったって、本当!?
…あ…アン、本当に、アンだ。
良かった…心配、したん、だから。
今までどこに…ううん、違う。
───おかえり、アン。
やっとみんな、おうちに帰れるね。**
[暑い暑い夏の祭り。
カラコロと響くリズムは軽やかに、涼やかに]
踊りのこと、ご存じでしたか。
…やっぱり、先生は、お詳しいんですね。
[狼の面、戯れに作家の顔に重ね]
ふふ。
…みいつけた。
[また外して、にこりと笑う**]
─夏祭り会場─
ん…鼈甲飴、甘い。
次は、何しよう…かな。
射的に、風船釣り。
金魚すくいに、輪投げに…かくれんぼ。
─…かくれんぼ?
なんで、出てきたんだろ。
お祭りには、関係ない、のに。
…でも。
やってみたら…楽しい、かも。
[子どもがくれたわたあめ。
最後に残った割り箸をくわえてぶらぶら。
※危険です。テレビの前のお子様は真似をなさらないよう]
おにさんこちらー
[手に付いたポテトチップを叩くかのように、鈍く2回打ち鳴らす。
眠たげと言われる顔のまま辺りを見渡すと、面を被った老若男女が夜店の明かりに照らされてふわふわと]
[『還って』来ている人がいても、きっと誰も気づかない]
―現在 祭り会場―
たーのむよー ワカバ!
問題はあと、自由研究だけ!
そこがなんとかなれば!万事解決!
へるぷみー、
なんか半日で終わる研究おせーて!
[級友へ向かって手を合わせる、男子学生が一人]
ほら今ならもれなく、
「シンヤんちにおとまり勉強会に参加権」つき。
おまえも興味あるだろ、シンヤ?(あいつ女子人気高ぇんだよな)
それにあの古ーいうちの、趣?ってもんも味わえるぞ。
―現代―
[カロリーが無駄に高そうなかき氷を食べ終えると、
ソラを探していた様子の男性が現れる]
ごめん、用事あるからまたねー。
[そういって周囲の人々に挨拶を済ませ、やってきたのは公民館。
かくれんぼ踊りの前に行われる劇の打ち合わせがあったのだ]
ちぇー、リンゴ飴プレゼント攻撃でもおちねーか。
…しょーがねえ。
じゃあ、とっておきのひみつ。
おまえにだけ、特別に教えてやる。
あの家に、な―――
[カラコロ カラコロ
下駄の音が通り過ぎる]
[そのとき。
言いようのない、なつかしさを感じた]
はは
[そう笑い声をあげると、
カラコロ下駄の音響かせて]
伊達にモチーフにはしていませんからね
[踊りについてはそう返し、
ふと当てられるのは狼の面
面越しの狭い視界にヒナの顔があり瞬いた]
――…
…
[面の奥で一度、きょとりとして、
――ふ、楽しげな笑みを浮かべる。
面が外された時、ヒナが見た笑顔は、
いつもと同じでないかも知れず。]
やあ
[漸く、面と向かって―――]
見つかってしまいましたね
[くすくす笑う声は、下駄の音と妙に合う。
カラン、一歩動いてヒナに向き直り、一つ手を差し伸べた。]
じゃあヒナさん、かくれんぼの鬼と
折角だからかくれんぼの踊りでも、ひとつ
神隠しに合うかもしれませんけどね
[笑う声色は、*冗談めかしたものだった*]
………あー。いや。
やっぱ やめた。
お前に言っても、どーせさ、
「科学で証明できないもんは信じない」
っつーに決まってるし。
[にやりとした不敵な笑みを浮かべる
ひとり秘密を守り囲い込むことを決意した、そんなような。]
あ? 「でる」か? って………
[ワカバの口にした推測には、
自分から振った話題であるにも関わらず、沈黙をおし通したのだった]
[内容は――以前この村であった神隠しの話]
で、ここで何だっけ。
[散歩に誘われた]?
[というと一斉にツッコミが入る]
『違ーう!』
『[占い師 オトハ]はそんなことしてないだろが!』
『本当にお前この村の出身なのか?』
いや、ちょっとふざけてみただけ。
[反省心ゼロで言い切った]
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