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[助けを求めて居間に入ったものの、肝心な時に黒板はない]
[しかし、途方に暮れている暇は無い。身振り手振りで、伝える事を試みる。
何度も居間に出入りしていたせいだろうか――どうにか伝わったらしく、ニルスが来てくれた(>>112)事が心強い]
[ニルスと共に玄関ホールに戻ると、マティアスの傍らに、一人の少女]
………。
[たどたどしいながらも会話をしている様子に安心したのか、強張っていた顔がようやく緩んだ]
[そして、はた、と気づく]
[先ほど、助けを求めて飛び込んだ居間。その中に、あの人の姿が無かっただろうか――]
[ウルスラ。
この村に来た頃から何かと気にかけてくれて、時折食事にも誘ってくれる、品のいい婦人]
[そのお礼にと、採れすぎた野菜を届けに行く事も多かった]
[マティアスの傍に寄り、途方に暮れる]
…………。
[何をどうすれば、絨毯がここまで絡まるのか。そして、どう解けば良いのか]
[あまりにも呑気な言葉(>>141)に、思わず笑みがこぼれる。変わらない。何も。変わっていない]
[近くに何かないだろうか――と、辺りを見回し]
……?
[マティアスの私物、だろうか。無造作に置かれた荷物(>>31)が目に入った]
[さすがに勝手に開ける訳にも行くまいと、マティアスの頭の近くまでそっと動かし。
鋏か何か――裁断出来るような道具を借りる事は出来ないか、と再び居間に戻る]
[居間に戻ると、随分と人が減っていた。そして漂う、食事の匂い]
………。
[台所にいるのだろう。それでは包丁を借りるという訳にも行かないし、それ以前にマティアスを刺してしまいかねない]
[アイノ、というのか。その少女には、些か重労働だろう]
………。
[ジェスチャーで、代わると告げ、ニルスの指示に従った]**
[ニルスの指示が適切なのだろう。さほど労することなく絨毯がほどけ、マティアスの姿が露になった]
……っ。
[思わず、口元に笑みがこぼれ――口の利けない自分を訝しげな表情で見る少女(>>163)に気づく]
[余計な世話、だっただろうか]
[少し困ったように、顎に手を当て――こんな時に、言葉を紡げないこの身体がもどかしい]
[自分に出来る事は、こんな事くらいだ、と。顔に穏やかな笑みと、瞳に感謝を色を浮かべ、アイノの頭をそっと撫でた]
[ニルスの手を借りて立ち上がったマティアス。その腹が鳴ったのを聞いて(>>165)、彼は吹き出した]
[……と言っても、そこに声は無く、ひゅうと音が漏れただけだが]
[本当に、なにもかも、変わらない。変わらなければ良い]
[ニルスの問いかけ(>>170)を受けて、食事にしよう、とマティアスの腕を取った]**
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