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蓮の花がきれいだったのよ。
[遠くをみるように、あの日に想いをはせるようにこぼされるつぶやき。
――無意識にのびた手がカメラをつかむ]
[ずっと胸元にあったならこれまできづかなかったはずもなかったろうに……?
そんな疑問をいだくこともなく、パシャリ――
向けられたその先は…………**]
…蓮。あの日、加奈はどこにいた?
[最初の夏のあの日。]
祭りがあって…。
[そして、謡いを聴いた]
―― おあけなせ
―― おおかみ さまの
―― とおりみち
[遠い日を、なぞるように音を出す]
其方の言う通りの存在だとして、そう認めると思うか。
人間によって排斥されては堪らないもの、正体の事実を吐きはしないだろう。
人外に対しての貴方の考えや対応を知れば、また別やもしれぬが…
[参道の途中で、一度、肩越しに振り返る。]
で。参考に訊くとすれば、例えば
神隠しを起こす人ならざる何かに対しては、如何するか?かな
先立たれた、って――
チカノちゃんのこと?
[神社でため息をつくユウキの姿が脳裏をよぎる。先立つという言い回しに血の気が引いた]
ふさわしいなんて――
[繰り返された神隠しの行き先など、想像することさえ出来ないけれど。
ぐしゃり、と、手紙を握りしめる]
そんなの勝手に決めないでよ。
[もう、迷わないと、言った相手さえ。
傲慢な神のせいに思えて、唇を尖らせた]
そういうもんかネェ。
[人ならざるものだとしても、人だとしても、自分はレンに対してどうこうする気はない。
単に、そういう存在が実際にいるのかどうか、という興味が湧いただけである]
別に。
[立ち止まり振り返ったレンに、参考に…と尋ねられた言葉には肩を竦めた]
チカノさんの後を追おうなんざ思ってはいないが、できればチカノさんを此方に帰して欲しいだけだよ。
……あとは、まあ。
要望があるなら、私に出きることなら聞いてやるから。問答無用で他人の人生ひっかきまわすな、って言いたいくらいかネェ。
[ささやきのように、
消えたはずの声、幾つか。
向日葵迷路でつまさきをなくしたひと、とか。
まよいみちの歌は無く、
青田を渡る風の音もない。
光の粉。黄金色が空にひかる。
茜色は、鳥居の下で佇んでいる。]
なら、貴方が代わりに、俺と行くか?
[言いながらザクロに向けて、すっと、手を差し出す]
でも――、貴方は、強い。俺の手を取ったりはしないだろう。
[そう言った後、男は苦く、弱々しい笑みを浮かべた。
だが、すぐにその笑みも消え、差し出された手が下される。
目に揺らめく赤い光が、一層の色を増すと、刹那、夏の日のものではない強い風が吹いた]
――時間だ。
[短い声を残して、男の姿は其処から消えた**]
[男の手とはこんなだったかと、差し出された、自分より大きな物を見て。
逃げるように遠ざかる手。顔を上げれば、微かに残る笑みが見えたけれど。
それも、消える。
赤き、風と共に]
神様は、いる、か。
[思い出すのは、蒼い瞳の男の言葉。
おおかみの面をつけて舞う]
―― 彼方より 此方へ
―― おあけなせ
―― おあけなせ
―― おおかみ さまの
―― とおりみち
…そう か。
[どこか驚いたトーンの声音が短く落ちる。
して、医者へ浅く頷いた。]
願い事へ耳を傾けぬ神は居ないだろう
だから願えば、要望すれば、その声は、神のもとへ届くだろう。
ま、望みが叶うかどうかまでは、わからぬがな。
……何しろ、気まぐれな相手だ。 くく
[吹きつける、強い風。]
―――……。
[顔の向きを戻すと、先程に紫煙を巻いた側の手を伸ばし、風へ触れようとした。*]
[茜色。]
[夕暮れ色の神社のこども。]
[遠く近く聞こえる祭り囃子に乗せ謡いをうたう。
―――おあけなせ
―――おおかみさまの――
さあ。
つぎはあなた。
あなたとはどなた?
引かれた線に似た色の朱塗りの鳥居は素知らぬ顔である**]
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