―回想―
……別に、口封じって訳じゃないよ。
ただ、計画を開始する前に捕まるのは困るから、さ。
ごめんね?
[アンに向けた言葉は平静そのもの。
手にした凶器と似つかわしくないその様子に、哀れな獲物は更なる恐慌を来たす]
さよなら。
[ざくり。ざくり。
命を絶つ。
紅が広がって、娘は動かぬ肉となる]
僕だけは、君のために祈ってあげる。
――二度とこんな村に生まれて来ないように。
[娘が完全に動かなくなった後、死体を見詰めて呟いた]
『次』の時に、この村がまだ存在するとは限らないけどね。
[無論、返事が返るはずもない。
肩を竦めると、他の村人に見付からぬうちにその場を離れた]