[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[するり]
[触れた手はそのまま絵の中へと滑り込み]
[後に残るは一枚の絵画]
[にこり]
[絵の中では青い髪の少女が微笑んで]
[すまし顔で座っている]
[気配に気付いたのか、気付かぬのか、アーヴァインは変わらぬスピードで歩き続ける。
景色の色は目まぐるしく変わりゆき]
ん?
[少女の甘い香りが*届いた気がした*]
[ふわり]
[ここは絵の中]
[極彩色が漂う場所]
人が居る。
可哀想に、閉じ込められたんだ。
[くすくす]
[楽しそうに笑いを漏らす]
可哀想に、もう出られないよ。
[くすくすくす]
[笑いながらふわふわりと空間を漂う]
[外に居た時のような不安げな表情は無く]
[楽しそうな笑みばかり*浮かべている*]
[サイレーンの歌のような、風の音のような、軽やかでそれでいてどこかせつなげな声に包まれる]
何か、足りないな……。
[あかく燃え盛る太陽も、あおく広がる海も、アーヴァインに温度を感じさせはしない。
それなのに、鼻腔をくすぐる花のような匂いは消えることがない]
可哀相、なのは――。
[足を止め、振り返り、わずかに見上げ]
誰だ?
[それは、真夜中に不審な影に問うのと*違わぬ口調*]
[眠ったときと同じように、ゆっくりと目を開ける]
[そこは見知らぬ場所]
あれ??ここどこだろ?
メイさん?くまさん??
傍にいたはずなのになぁ……。
けど。なんかここあったかいや。
綺麗だし。
なんだか……、そう……。
ふああ。
……眠い。
[世界は静かで。ただ。ただ。美しい]
[極彩色の世界を眺めているうちに、また*眠りに落ちていった*]
[アーヴァインは、丸くなって無防備に眠っている金髪の少女を見つけた。
そこでようやく気付く]
明るい。
[懐中電灯をなくした両手を見下ろし、次いで、*空を見上げた*]
[まどろんでいる]
[世界の外側のことはよくわからない]
ふあぁ。
なんでこんなに眠いんだろ??
でも。……なんだか気持ち良い。
ふわふわしてる感じ。
[まどろみながら考える]
[途切れ。途切れに]
ん?
[人の気配がしたような。誰かがいた気がしたような]
気のせい……??なのかなぁ……。
[と。ふたたび*目を閉じた*]
[くるり]
[視線を感じて振り返る]
[そこには誰も居ないのだが]
[気配だけは感じられて]
…貴方なの?
またあたしをここに戻したのは。
[じっ]
[何も無い空間を睨みつける]
[聞き取れなかったが何事か声がすると気配はすぅと消えて行き]
…折角外に出たのにな。
[ぷぅ]
[頬を膨らませて抗議する]
[その相手は既にここには居ないのだが]
[アーヴァインは、たどり着いた湖の水面を覗き込んだ。
虹色をしている水と、映りこむ空。自分の顔。
その奥、空の向こう、遠くとおく声が届く]
何が、足りない?
『…違うよニーナ。
ここに戻ったのは私の意志』
[ぴくり]
[聞こえた声に眉を顰める]
…ニーナ…。
アンタの仕業だったのね。
あたしは外に出てもっと楽しみたかったのに。
外に出てもアンタの支配力が強くてろくに遊べなかったのに。
[ぎろり]
[自分の胸の辺りを睨みつける]
[声は自分の中から聞こえる]
[それはもう一人の自分]
『だって…外は怖いよ?
こっちの方がずっと良い…』
全く、ニーナは臆病なんだから…。
あたしは外で遊びたかったの!
[ふんっ]
[腕を組んで顔を背ける]
[自分の中でニーナが身を強張らせた]
[外から聞こえた声に、顔を向けた]
おや。
君はたしか――。
[記憶を辿り寄せる。どの位置にあった絵画の少女だろう。
そして、自分が彼女と同じ世界にいることに、やっとのことで気付いたのだ]
[くるり]
[聞こえた声に振り返る]
…ああ、警備員のおじさん。
そう言えば閉じ込められてたっけか。
[ちらり]
[胸の位置で腕を組んだまま]
[横目で視線を向けた]
おじさん。
[自分がおかれている立場よりも、その一言が胸に突き刺さる]
ま、君から見たらおっさんだろうけどね。
[湖に右手を浸す。揺れる湖面は、七つより多彩な色を孕む]
美術館の怪談が本当にあったとはな。
[存外に落ち着いているのは、覚悟があったからなのか、未練がないからなのか、戻れる確信があるからなのか]
怪談。
[くすり]
[おかしそうに笑いを漏らす]
おじさんにしてみればそうかもね。
でもあたし達にとっては、普通。
みぃんないつも出回ってるんだよ?
みんな?
[鸚鵡返しにそう言って]
それはそれで、面白い。
ただ、バレたらクビだな。
[やはり、元に戻れるつもりでいるようだ。
ぽちゃん、と音が反響する]
おじさんが言わなきゃバレ無いよ?
おじさんだけじゃない。
このことを知った人が言わなければ。
[くすり]
[何かを含んだ笑い]
尤も、ここから戻れたら、だけどね。
大人が、こういうことを言うのは許されないだろう。
[戻れたら、の言葉に肩を揺らして笑った]
君たちは外へいけるのに、私たちは閉じ込められるのか。
まぁ、それでも構わないが。
さぁ?
あたしには分からないわね。
[ひょい]
[肩を竦めて見せて]
あたし達は自由に出入りする術を持ってるもの。
でもおじさんは違う。
入れられたから、出られるかは、分からない。
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ