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ただ、そちらの作品は次々と殺人が起きますが、どうやら殺されてはいないようです。
[ 気が付いたら穴に落ちた、というのが男が迷い込んだ感想であった]
……この作品を、やりなおしたい?
[ "これでは私小説です。フィクションはもっと娯楽でなければ"
そんなやりとりで、ひとつ幻の作品を作ってしまったことを思い出し、苦い思い出に笑みが浮かぶ。
ネギヤはワードプロセッサーの類を昔から使用せず、原稿用紙に文をつづってはいるのだが――
その作品の名は、今オトハが一片を手に入れたものである]
ファンタジーは正直専門じゃないんですけれどもねえ。
[ ガモンが頭をかくのとあわせて自分はあごを掻く]
そうですね、まぁ何にしろ、ネギヤ先生を探しましょう。私たちがよく知っている、もちもちとした方のネギヤ先生を。
[ さてどうすれば探せるのか。ネギヤが好きなにおいでもさせればふらふらとやってくるのだろうか。
いつも屋敷に来る都度手土産として持ってきた「たい焼き」があればなぁ、と思った]
なるほど、庭園ですか。
[ 確かにネギヤの著作は、草木花が暗喩として使われていることが多い。
幼いころから過ごしてきた場所との関連を考えると、なるほどとガモンの言葉には説得力があった]
[ ガモンの後に続いて、向かう庭へ。
先ほどヒナとともに密談を行った庭とは、咲いている花も、植木も色も形も姿をかえていた]
[ 庭園にある遊具は、大人が乗ったら大変なことになりそうなものばかりだった]
ああ、あの猫を抱いた…ウミさん。
[ 庭師さんも来ていたと記憶をたどりながら。
そして幼馴染の彼が、ふとっているネギヤをネギヤというなら、警察に知られている細いネギヤはいったい何者なのだろうか。
何をしたら、人は記録と実物が乖離するのか。
ひょっとしたらこれが一番のミステリーなのかもしれない]
……あれは……
[ あの丸い後ろ姿は忘れない。
さて、この場に迷い込んだ他のものらも、彼の姿を見つけることができるのだろうか]
うん、ミステリーではなくファンタジーですね。
まったく、あなたという人は。
[ 満ち足りたネギヤの顔を見れば、巻き込まれたことに対しての怒りや不満は出てこなかったが……]
[ 小さな少女には、あの時庭園で出会った女の危険な香りはしなかった。
時とともに失われていくものを持ったままの小さな少女が、ネギヤの前にいる]
[ なつかしいもののピースがはまってゆく。
男はふらふらと、その足は庭園の隅にあるところ―― 蔵へと向かった]
そうなってくると不思議なのですよね。
私は、ネギヤ先生と幼いころの記憶を共有しているわけではない。
では、私にとっての「なつかしいもの」とはいったい何なのか……。
[ それが原稿でないことも確かだ。
原稿を手に入れたのは、昨日のうちなのだから。
では一体――]
― 蔵 ―
[ ネギヤ先生と、蔵の話をしたのはいつだったか。
古い蔵で、編集者になる前にやっていた活動を。]
……よっこいしょ、と。
[ 蔵を開く。
そこには、「おつかれさま」と声をかける人がいた。
無残な姿になっていた人である]
思い出しました。貴方、だったんですね。
[ 大学時代から、劇団を立ち上げてきたその仲間。
だが自分は、袂を分かち出版社に勤めた。一方夢を追いかけた彼らとは疎遠にはなっていたが――]
出演、お疲れ様でした。
[ 劇ではなく、裏方としてマネージャーをやっていた時と同じように、彼の横に腰掛けて]
見事だまされましたよ。
貴方だとは見抜けませんでしたから。
ですが、そのナリでネギヤ先生の代打はおかしいでしょう。綿も脂肪も足りていません。
[ 蔵の中で、二人分の笑い声が響いた]
― 現 ―
[ 気がつけば、男はひとりだった。
庭園へと顔を出せば、警察はいない。
まるで、騒ぎが起こる前のように静かだった。
何故ここにいるのか、記憶はあいまいだが。
鬼籍に足を踏み入れた旧友と出会った気がする]
……ここはネギヤ先生の……
[ そう。今日は。
噂の新作原稿を拝見する日だ**]
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