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[夢の中。にいさまは僕の銀色の毛並みを撫でてくれる。
綺麗でしなやかで凶暴な僕の宝物…。
そう言うと、にいさまはうっとりとした表情で毛並みを撫で続ける。掌を触り、肉球が可愛い、と言いながら、掌をぷにゅぷにゅと触る。
僕の一番幸せな時…。]
んあ、寝てた…。ここどこ?
[さっきまでいた街だった場所とは違い、さらに埃っぽい。砂塵が赤い光に照らされ、不安な風景だ。]
ここどこ?
[埃っぽい風に血の臭いが運ばれてくる。]
ごはん、あるかな?
[ずるずる外套を引きずって、血の臭いがする方向へ歩いて行く。]
にいさま、会いたい…。
でも、夢の中の僕は銀色のまっすぐな毛並みなのに…。
[髪の毛をくしゃくしゃいじって、髪を抜く。それは真っ黒い癖毛。
しばし、髪の毛を見つめて…。]
ごはん、ごはん、血の香り、飲み物…。
[いつも通りの虚ろな瞳で、歩き出す。]
うあ、なにあれ、人がいっぱい。
ごちそうの匂いがする。
[白装束の人達が、救済を求めている様子など理解できない。理解できた事は、この時代に人=食糧がたくさん集まっている、という歓迎すべき状況のみ。]
んあ、どうしたんだろ?
[目隠しした男が、胸を血で汚しているのに気づく。]
おにいさん、どうしたのー。
目隠しして、何かの遊び?
胸から血の臭いがする。
それじゃ、食べてくださいって言っているようなものだよ。怪我したの?
[こちらを向いている男に話しかける。]
匂い?僕は臭くないよ!
[目の前のお兄さんに近づいて、鼻をヒクヒクさせてみる。
血の臭い、のはずだが少し違うような…。でも嗅いだ事ある匂い、あまり好きじゃない匂い、何処で嗅いだんだろう?]
お兄さん、僕の事知っているの?
完成品?なにそれ、僕知らない。
僕はベルンハード。完成品かどうかは知らないけど、お兄さんは誰?
お兄さんからする匂い、あまり好きじゃないんだけど…。
[じーっと見て、胸の血糊をペロッと舐める。]
うーん、思い出せないな。
実験体…、実験体。ああ、「きょうだいしまい」か。はじめまして、おにいさん、かな?
[皮肉めいた笑みを浮かべる。]
ああ、お兄さんのいう楽園にいたよ、あの日まで。そう…、にいさまが僕の事を…
[にいさまが僕をなじる、僕の長い手、体毛一つない身体、赤い目を見て。あの日、僕の事を…しっぱいさ…]
うるさいうるさいうるさい!
お兄さん、ぼくと一緒に楽園を探さない?僕、迷子になっちゃったんだ。
[不敵な笑みを浮かべる。]
お腹も空いたし…
[一陣の風が吹く。お兄さんの額に徴が見える。自分の髪の毛もふわりと浮くが、徴があるか、本人は知らない。]
決まりだね、あちらからいい匂いがするんだ。まずは、お腹をいっぱいにしたいんだけど…。
[祭壇のある方向を指差す。お兄さんの目が見えない事は知らない。なかなか動かなければ、手をとって促すだろう。]
うーん、両方だよ。
折角なら、どっちがたくさん食べられるか勝負しない?
ん、お兄さん目が見えない?大丈夫なの。
足引っ張らないでね。
[そう言うと外套を引きずって歩き出した。**]
[祭壇の近くにいくと、そこは血塗れの床、爆発した跡、まるで戦争か虐殺の舞台だった…、いや進行中である。]
わー、すごいね。食べ物、飲み物いっぱいあるよ。
[迷い子になってお腹も空いた。そばに居る、マティアスの事を忘れて、のそのそと祭壇近くに歩いて行く。
途中にいた恐怖で動けない人をじーっと見つめ、合掌する。]
いた…だき…ます。
[人間に覆いかぶさり、外套から出した肉切り包丁を急所にぶすり。身体中にかかった鮮血を気にせず、身体をバラバラにしていく。]
[バラバラにした身体を、一つ掴んでは咀嚼する。バリバリという音はあたり一面に響くだろう。]
んあ、鳥?あの時の鳥?
[祭壇には鳥がいて、人がいる。人は目を切られて血を流している。女の人が、何かを袋詰めにして、どこかへきえた。]
鳥、鳥、おいしいの?
[もう一つパーツを拾って、食べながら様子を見ている。]
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