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[ごめんね、と言ったミナツを見上げれば
涙を拭っていて。自分も少しだけ鼻をすすった]
ううん…んーと。
もやもやした、人みたいな影…あそこ。
でももうどっか行っちゃった
[ミナツに告げて、ふあああああああと欠伸を]
うん…眠い。
[布団をしいて貰ってそこに横になるなり
こてんと眠りにつく。
その直前までミナツの服を握っていた手が
時折何かを求めるように小さく、動く]
[さらさらと、こぼれおちる砂のように、記憶は静かに薄れ行く。
最期数日間の、それだけが色濃い。]
パフェ、食べにいこうか。
[約束だけは、消えず胸の中。]
[そう返ると思っていなかったせいか]
え……あの…
[ひくっ、としゃくりあげ、挙動停止]
――。
[じ、と彼を見つめ]
…いいんですか?…それで。
[小さく、念を押すように問い掛けた]
[ムービーを再生するのをやめ、傍らに寝ているデンゴの頭を撫でる。]
デンゴ君が見た人影って…ジュンタだったりしないよね…?
[すぅすぅと寝息を立てて寝る彼が答えられるわけもなく。
そのうち気がつけばデンゴの横でうとうと。
それでもデンゴが起きれば、それに気づくだろう。]
ん…んうー……
[ごろりと寝返りを打って
何かに手が当って目が覚めた]
…あ。ねーちゃん。
[そっか、と寝る前のことを思い出して]
みんなが帰ってくるどころか…
にーちゃんが消えちまった。
[寝返りを打った体を元の位置に戻して]
……うあ。
[目の前にモヤモヤがこちらを覗き込むように。
あー、と口を開けたまま、それを凝視]
[微睡の中、何かが体に当たるのに気づく。
それでもすぐに起きられなくてデンゴの言葉を夢現で聞く。
デンゴが何かに驚く声をあげればはたりと現実に戻り]
デンゴ君?
[身を起こし布団の中で何かを凝視している少年の顔を見た。]
もう一つがもう無理なのは…わかってるから…さ。
[永遠に訪れない11月2日。
それを待ち続けるだけの…永遠の今日。]
なら、約束の方が先さね。
[まばたきをせずともそのモヤモヤは見えていて。
けれど驚きでなんどもまばたきを繰り返す。
ミナツの声を片耳でききながら、
目は凝視したまま離せない]
だ、だれだぁ…オマエ…
[不意にこちらにモヤモヤの一端が近づいて
慌てて首をすくめたものの。
それは触れることなく身を掠めた]
…あれ?
[モヤモヤを触ろうとして手を伸ばす。
しかし手はむなしく空を切った]
ねーちゃん、そこに、なんか…見えねえ?
[指をさしてミナツに問いかけた]
[誰だと何かに問いかける少年の様子に首を傾げる。]
え…?何にも見えないよ?
[少年が指さす方を見るも何もなくて。ふるふると首を左右に振る。
布団から起き出したデンゴが触るなと言って慌てて手を振る様子を見て]
デンゴ君…どうしたの?
何か見えるの?
[少年が見えている物がなんなのか分からず頭の中は疑問符だらけ。]
[無理なのはわかるから、という彼の言葉を聞き]
――、
[暫し、考え込むが、ゆっくり立ち上がり]
うん、それじゃあ…
何処かで、パフェ……食べましょうか
[云えば、にこりと笑う]
…????
[モヤモヤが一度、こちらに向かって
さらにゆらゆらとして]
な、なんだぁ……
[一体その正体はなんだろうとじいいと目を凝らす。
ごく荒いモザイクが歪んで立体的につながっているような
それが、少しだけ細かく見えた気がした]
…?にー、ちゃ…?
[ミナツに触るなと言った後、モヤモヤはそこから後ずさる
それがなんとなく…目の前で消えた人物を思わせて。
しかし、やはりよくわからずに困ったように声を上げた]
あぁ、行こうか。
[少女の笑みに、笑い返して立ち上がる。]
…何処の店のが良いかな?
[その様子だけなら、まるでデートのようで。
けれどもそれは、最初で最期。]
そこに、なんかいるんだ…
ねーちゃんには、見えないのか?
[ほんの少し、形が見えたモヤモヤを指差して
ミナツの顔を見た。
しかしその表情からはやはり見えていないのかと
はうう、と肩を落としてしょげた]
[何かと対峙しているらしい少年の様子に訳が分からないまま。少年が見つめている方をじっと見る。
見てもやはり何も見えなくて。
その時、デンゴが発した言葉に]
え…?
ジュンタ…?
…………。
ごめん…。
私には見えないみたい…。
[ふるふると首を振り、それがジュンタであるなら自分も会いたいと目を凝らしてみるも何も見えなくて。
肩を落としてしょげる少年の肩にぽんぽんと触れ慰める。]
[立ち上がる彼に、変わらず笑みを向けたまま]
……ズイハラさん、何処かオススメのお店…
[ありますか?…と、問おうとして]
――。
[彼を凝視。一転、訝しげな視線。]
[ぽんぽんとミナツが触れる肩に温もりが広がって
落とした肩をそのままに顔を上げる]
そ…か。
見えねーのか…
オレにも、ぼんやりとしか見えてねーんだけ、ど
[ミナツの顔を見てモヤモヤヘ目を移す。
せめて、もっとはっきりと見えたなら。
もどかしくて、もどかしくて]
[不思議そうにしている彼を見つめる。
訝しげな視線はやがて値踏みする様な其れになり]
……知らなそう、ですね
[ぼそりと失礼な事を呟く]
…駅前に、私のオススメのお店があるんです。
よかったらそこに、いきませんか?
[にこ、と問い掛けるも、思考の端。
其処に人が居ない可能性を奥底へと押しやり。]
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