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[毒殺請負人の青年が、
もうひとつ口にしたものがある。]
…ごちそうさま、爺や。
[カウンターの上、放置され――冷めきった紅茶。]
あたたまったよ。
[血圧降下剤の効果は、もう切れて居る。
感じるあたたかさの故を、死せるピエトロへ伝え。
然し通信に返らず…笑みながら悄然と俯く。]
…もう飲めないんだね。
[死せる共犯者のむくろと共に在る
通信機から漏れる呟きは――――]
おつかれさま。
[いもうとを死なせた白い蜘蛛への、ねぎらい。]
…せめて
見届けて、あげたかったよ。
[父母が祖父から継いだ、莫大な富の出所は
――毒で死を演出する生業。
しらないまま逝けたいもうとへ安堵の呟き。]
おやすみ…しあわせなプレーチェ。
[青年が、幼いいもうとのぬいぐるみへ名づけた
「ひつじくん」。
其れは、如何にも人畜無害な己が友人たちから
からかい半分でつけられていた呼び名で――…]
発想がおンなじ って。
[思いは傍にと。長く離れていても、きょうだい。]
ひどいなあ。 ああ。 ひどい…
[面白がるような語調にしか、ならないのに。
青年の頬を伝う熱い涙は――ほんものだった。]
…どっちでも、よくなってきちゃうだろ。
[乾かぬ涙。
哀しみは、「怒り」を演出する薬のせいでなく]
ああ、動悸がしてきたよ…
なんだ、このコ。 ――もう知ってたんだ。
[音なく霧を広げて、
毒を撒き散らした加湿器の部屋で休んだおんな。
ポルテの顔を思い浮かべながらつぶやいた。]
あの刑事さんは、最後まで
殺すつもりなかったんだけどな。
[抱える因縁は人知れず――
青年は離れた部屋で息絶えた女とその縁者を想う。]
もう くるしませなくていいかな、なんて。
お互い生きてたら――何か話せたのかな?
あー…まだ殺すんじゃなかったな。
きみが泣くまでやめないよ、
って言ったら――どんな顔してくれただろ。
やっぱり、同じ顔するのかな…
[遠き日。初めて殺した相手と重ね、想いは*毀れ*]
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