[森に足を運んだのはたまたま、ではなく。
この森の中に不思議な屋敷があるという噂を確かめに。
水面下でひっそりと広まっている噂だから興味を惹かれてやってきた。
なにかの、メシの種になるかもしれないし、と。
そしたら森の中、雨に降られて道に迷うという羽目に陥っているわけだが]
どっか雨宿りしたいなあ。
[つぶやきを一つ。
溜息とともに落とした時、視界を遮っていた木々が開けて。
緋色の華が視界一面に広がり、その中に。
古びた屋敷が、見えた]
噂の屋敷かどうかはともかく、雨宿りさせてもらおう……
[幾度か瞬きを繰り返して、見間違いでないことを確認した後。
屋敷の扉を叩く]
すみませーん、どなたかいらっしゃいますかー。
[声を張り上げれば、静かに扉が開き。
その奥にメイドと黒衣の娘がいるのが見えた]
― 二階個室 ―
[メイドに案内してもらった客室に入り、着替えやら湯やらがすでに用意していると知らされる。
至れり尽くせりにぽかんとしている間にメイドは立ち去り。
やれやれと濡れた帽子を脱いで溜息を一つ]
ここがあの噂の屋敷なのかねえ……
[ぐるりと客室内を見回していると、くしゃみを一回。
ふる、と体を震わせて、とりあえずは好意に甘えておこうと備え付けの浴室を借りて体を温める。
一息ついて着替えた後、屋敷の中の確認するために、廊下へと出ていく**]
― 一階 ―
[タイミングがいいのか悪いのか、エントランスに続く階段を下りた時にメイドに声を掛けられる。
何か用事かとの問いかけに、今は帽子をかぶってない頭を軽くかいて]
あー、そういうんじゃないんだが。
ちょっと気分転換にでも、と……うろちょろするなってんなら、部屋に戻るけど。
[言い訳を連ねつつ、屋敷の中では自由にしていいといわれて、ゆるく笑みを浮かべ]
そりゃあ助かった。
ありがとう。
[大広間や室内庭園などがあることや、地下があることも聞き出し。
大広間は食堂も兼ねているし、食事の用意もするということに、どこまで至れり尽くせりなんだか、と驚いたように瞬く]
雨宿りさせてもらえるだけでもありがたいってのに。
太っ腹なご主人がいるもんだねぇ……
[呟きつつ、メイドと別れて。
― 室内庭園 ―
[室内庭園は、緑があふれていた。
一部サンルームのような、ガラス張りの天井部分もあり、温室も兼ねているスペースもありそうだと、ぐるりと周囲を見渡して思う。
真ん中の花壇と小さな噴水があり、壁際にも木々や花壇と休憩するベンチまであるので、うっかり室内だと忘れそうになりそうな部屋だ]
はー、森の中に屋敷があるのに、屋敷の中でも森があるって、
金持ちの考えることはわからん……
[あきれたような声をこぼしつつ、中を歩く。
とはいえ、部屋はそこまで広いわけでもなさそうだ。
配置の妙で広く見えているのかと思いつつ、ぐるりと室内を回るのにさほどの時間はかからなかった**]
― 室内庭園 ―
[真ん中の噴水は、噴水というより水盆というほうがただしいのかもしれないが、上から水が零れ落ちて。
鉢にたまって周りの花壇へと流れ落ちている。
かといって通路に水がこぼれていることはなく、歩くのに支障はない]
花だけじゃなくてハーブやらもあるのか……
[花壇には色とりどりの花以外にも、ハーブだなんだとあって。
知識にあるやつならわかるが、そこまで植物に詳しいわけでもないので緑がいっぱい、だと思うぐらい。
室内に他に人影なく、一周して扉の近くに戻ったところで、さてどうするかと顎に手を当てる]
ここが例の屋敷だとしたら、噂の確認をしたいところだが。
[案内してくれたメイドを思い浮かべてみても、おしゃべりに興じてくれそうには思えない。
となると、二階ですれ違った人か、それかほかに人がいないか探しにいくか、と廊下へと足を向けた*]
[男>>45の軽い口調に軽く肩をすくめ]
なんだ、お仲間か。
同じく雨宿りさせてもらってる、カウコってんだ。よろしく。
[屋敷の人間は、エントランスの黒衣の娘とメイドしか見かけていない。
他にいるのかどうかすらわからぬが、それは置いておくとして。
目の前の男に、軽く名乗っておく]
屋敷の人に話を聞くなら、あの娘に声をかけるしかないかなー。
[エントランスにいる黒衣の娘は、出迎えの言葉を告げたあとは口を開いていない。
なにより無表情さが、メイドたちよりさらに人形っぽく感じられてどうにも声をかけるにはハードルが高かいとばかりにため息をついた*]
[男の名乗り>>47によろしくと軽く返し。
続くメイドたちへの言葉にはよくわかるとばかりに何度もうなずいた]
そうなんだよなー、必要なことならすらすら説明してくれるんだが。
説明したらすぐにいなくなる、という……
[続く、小声での呟きには、いままさに思っていたことだったから、一つ瞬きをし]
あー……それも、わからんでもない。
世話になっておいてなんだが、こう、ちょっと普通じゃない感じはあるよな。
[そも普通の人がこんな屋敷に住んでて、なおかつあんな手厚い対応をするのかという問題もあるが。
出てきたばかりの室内庭園のほうにも一度視線をむけて]
屋敷の中もまだ見てないところが多いが、少なくともこの部屋とかすごすぎて、
屋敷じたい、普通じゃないよなあ。
[室内庭園への扉は半分空いたまま。
中の緑が見えている*]
森の奥の屋敷とかあやしいもんなあ……
[アルマウェルの言葉>>49に、だよなー、と軽く頷きつつ。
噂の真相をたしかめにやってきた身としては、好んでかかわりに来たわけだからそこのところは、笑ってごまかした]
強度? へー、三階は展望台になってんの?
そりゃすげぇ。
二階に客室がたくさんあったことといい、不思議なつくりの屋敷だなあ。
地下もあるらしいし、そのくせ屋敷の住人は少ないっぽいし。
なんなんだか……
[三階の話には驚いて瞬き。
後で行ってみようと呟きをこぼす。
雨が止めばいいという言葉には同意の頷きを返しながらも]
まー、雨が止むまでは、ありがたく世話になるしかないもんな。
[しかたない、と肩をすくめた*]