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……そっか、そうだよね。
[流石に、人数が多すぎる。
一瞬過ぎった嫌な想像は、>>1 ソラさんの言葉で打ち消して。]
0番さんが死なないように、追ってるんじゃない、かなぁ。
それも狙ってネギヤさんを逃がした、って、おじさんも言ってたし。……行ってみる?
チート日記の力、見られるかもしれないし。
[集合時間までは、もう少し。
でも、大所帯ならカノウくんも動くのに時間がかかるかもしれない。
それに、4番さんと離れない内は、少なくとも動向だけは確認できる。
私は、階段の上の方を指差す。私の世界と同じ構造の建物なら、この階段はきっと、屋上に続いているはずだから。]
[>>11ソラさんの言葉に頷いて、私はソラさんの斜め後ろについて歩く。
真横じゃ武器を振ることになった時に邪魔だし、後ろは隠れるみたいで嫌だから。
人数の計算から、>>13ソラさんの話を全部ちゃんと聞いて、私は考える。]
凄くも、難しくもないよ。ただなるべく、人が死なない方がいいな、って思うだけ。
実際に考えてる通りに出来るかは、また別の話だし。
でも、……守ってくれるって言われるのは、嬉しい。
ありがとう。ソラさん。
[私は、気付いてる。
チート日記の人を探して、なるべく早くゲームを終わらせるっていうのは、チート日記を持っている人を悪者扱いするのと多分、同じ。
ただ持ってる日記が違うだけで、生き延びたい、守りたい、って思ってるのはきっと同じはずなのに、その想いをなるべく多くの人が生き残る為に駄目にする、ってことだ。
みんなが救われる終わりは無い。
だから、私が言ってるのはきっと、綺麗事。]
[でも、もし。
……もし、神様になれたら。
そうしたら、出来るかもしれない。
私の生き残りたい理由に足される、綺麗事が綺麗事でなくなるかもしれない、一縷の望み。]
……ソラさん、これ。
[屋上の扉の前。私の端末が点滅する。新しく増えた私の日記の内容は、
『0番の子が、死んじゃった……』
それが表示された画面をソラさんに見せてから、私たちはそっと、屋上への扉を*開いた。*]
[屋上の扉を開いて、まず目に入ったのが赤色の風船。
空に上って行くのを目で追っていたら、風船は後から後から増えてきて、気付けば視界を埋め尽くすほどになっていた。
そこに重なる>>50ネギヤさんの声。大量の風船で埋もれ、くぐもったように聞こえる声は、ちょっと遠くて。
私達は、風船があがりきるまで待つ。でも、私の日記の表記は、変わらなかった。
風船が空へ消えていった後、開けた視界には倒れている0番さんと、……床に広がる、赤色。
私の目はそこにくぎ付けになってしまう。ネギヤさんの姿も、ネギヤさんと一緒にいた2番の子の姿も、目には入らない。]
…………死んでる、の?
[私の端末が、点滅する。そこには、『0番さんが死んじゃった!カノウくんにも知らせなきゃ!』って書いてあった。
まるで、怖くて近寄れない私の心の内を読んだみたいに。]
私、……知らせてくる!
[言うが早いか、私は屋上に背中を向けて駈け出していた。
急いで階段を幾つも降りて、2階の婦人服売り場に辿り着いた時には、完全に息が上がっていた。]
……うん、私は大丈夫。ちょっと……驚いた、けど。
心配してくれて、ありがとう。
[ずっと眠っていないのもあって、私の顔色は多分あんまり良くない。
でも、まだ閉まったままの薄暗い店内は、それを隠してくれる。
落ち着いてる、といえば嘘になるけど、まともに死体を見なかった分だけ、きっとまだマシ。
私は、カノウくんに状況を伝える。
風船がいっぱい飛んだこと。その中でネギヤさんの声がしたこと。そして、風船が消えた時には死体があったこと。
2番の子がいたのは、気付いてなかった。]
[>>75カノウくんの言いたいことは分かる。きっと、その気持ちも。
私は少し、首を捻る。どうするのか、考えたって答えは出ないって分かってるのに。]
私もそう思ってた。
けど、知らないままの他人だから殺していい、ってわけじゃない、よね?
ここで誰かを殺すっていうのは、その人の世界を壊すってことでさ、なんていうか……。
そういうのの重みって、ちゃんと分かってなきゃいけないと思う。
今の神様がどう思ってるかは分かんないけど……生き残って、新しく神様になるっていうのは、そういうの全部、背負うことだと思うんだ。
私は、生き残りたい。だから、……ちゃんと全部、受け止めたい。
って、思う。
[言葉を整理しながら話すのって、難しい。
でも、口に出してみれば、それはすとんと落ちてきた。
そう、多分私が求めてるのって、そういうことだ。
私は、カノウくんをじっと見上げる。]
んー……私、後悔はしたくないんだ。
どうなるか分かんないし、負ける試合かも知れないけど、……だからこそ、やれるだけやりたい。
……それだけだよ。
[苦しげな表情を見るのは、辛い。
でも、それも多分、目を逸らしちゃいけないものだと思うから、私は目を逸らさない。]
カノウくんもさ、……したいようにしたら、いいと思う。
なるべく悲しい顔しないで済むように。ね。
[言いながら、カノウくんのほっぺたを軽く抓ろうと、手を伸ばした。
やっぱり、苦しげな顔を見てるのは、嫌だったから。]
[カノウくんが驚いた様子に、私は笑う。
さっき人が死んだばかりなのに、この場に漂う穏やかな空気は、それを忘れようとしてるみたい。
でも、そんなの長く続くわけもない。]
……大丈夫。
簡単には、壊させないよ。
ん……?
[示されるままに見たカノウくんの右手。
そこにあるモニターの文字を確認して、私はちょっとだけ、眉を寄せた。
悪い人だとは思ってない。けど、警戒しちゃうのはやっぱり、ソラさんとの遣り取りのせい。
それと、下ネタも。]
……おじさん。
[私が呟いた声と、カノウくんの視界におじさんが入るのと、どっちが早かっただろう。
私の日記には、『10番さんと1番さんが遭遇したよ!』って、書かれてた。]
[>>100 逢引でもなければ、私は面食いでもない、けど、いちいち突っ込んでたらキリがない。
自分から名乗るおじさんと、>>101私を庇ってくれるカノウくんとの間に、ぴりぴりした空気はない。
だから、私は大人しくしてた。
けど、>>103 おじさんがカノウくんを誘うのには、少し眉を寄せた。
一人になるのが嫌なんじゃない。ただ、おじさんは武器を持っている。
その気になれば、カノウくんを傷つけることなんて、簡単に出来てしまうだろうから。]
―――……気を、付けて。
[声をひそめて、囁く。カノウくんが行くなら、止めはしない。]
[店頭のマネキンからコートを2枚、拝借して試着室に入る。
1枚は床に敷いてその上に寝転がって、もう一枚は毛布代わりに自分の身体の上に。狭い試着室の中で、丸まって仮眠を取る体勢。
決して寝心地が良いとは言えないけど、床に直で寝るよりはよっぽどマシだと思うし、ここなら少なくとも多分、男の人に見つかる可能性は、低いはず。
深い眠りは取れないけど、それでも疲れてたみたいで、目を閉じれば眠気が襲ってくる。
私はそのまま、少しだけ眠ることにした。]
――――……っひゃあ!!
[思わず、素っ頓狂な声をあげてしまったのは、何か音がしたと思ったら……試着室のカーテンが開いてたからだった。
どうやら、開店の準備を始めていたお姉さんらしい。目が合っても、相手はあんまり驚かなくて、声を出した私がちょっと、恥ずかしい。
二枚のコートをお姉さんに渡して、頭を下げて、私は店を出る。
まだ少し寝ぼけた頭で、何も考えずに歩いていたら、がこん、と何か機械の動く音がした。]
……ん、もう、そんな時間?
[きょろきょろと周りを見回せば、さっきの機械音はエスカレーターが稼働し始めた音だと分かった。
きっともう、開店が近いんだ。]
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