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[最初に浮かんだのは、身を潜めやり過ごす事。
だが、真実はどう在れ、ベルンハードを「完成品」だと感じていた。その為に、動かぬ思考の中で緩やかな逡巡をしている。]
……―――……、
[身体に凭れ掛けさせながら、弓型のような槍を持ち、その上でもう片方の手で拳を作ると、ぐぅっと開くようにする。
槍はばらばらに解け、砂塵は零れ落ち、硝子や金属片は渦巻くように漂う。
ゆら、ゆら、と指先を上下させ、
この先如何するか定まらぬ侭、瓦礫に背を預け、]
[もう片方の手で、
抱き寄せていた酒瓶の表面をなぞった。
――――2012
有翼人にぽつり投げかけた時>>37>>65の気配の変化。その変化に引っ掛かりを憶えながらも、行動への還元は思い浮かばず。]
……―――…、…行か、なきゃ……。
[心地良い路に潜り込むナイトウォーカー《みみず》のように、ベルンハードと別れた場所へと向かい始めた。*]
[周囲の気配を探り、ビル廃墟や瓦礫伝いに移動したとしても、何時まで見つからずにゆけただろうか。其れでも、屋上庭園が在ったビルには幾らか近づけただろう。
―――…庭園からはらはら落ちる、合歓の花は見えねど、甘酸っぱい匂いが乾いた街を癒すように微かに漂っていた。]
[されども、空気は撓み、熱い。
完全燃焼より脱したとて周囲は暖められて。]
う…、ぁ……、あ?
[酒瓶が滑り落ち、瓦礫の合間に転がり込む。頭を両手で抱え込めば、無骨で捻れた花びらとして纏っていた硝子片や金属片の欠片も、小さな音を立てて落ちる。]
――――…ど…し、て………
………っ、……、縄、は?
[ガリ、と首の縄痕や先に軽業師に傷つけられた傷痕を引っ掻くように、頚を触る。それを聞き咎める者は居るだろうか?]
―――……っ……!
[絶叫に弾かれたように顔をあげた。周囲の瓦礫に手を付きながら、音と匂いと熱の源へ向かう。]
[上昇気流に煽られてか、花は真っ直ぐに舞い降りては来ない。ゆるゆると遠くへ漂い舞う。]
……―――――――――――…、
[大きな熱と……もう一つ。膨らみ熱を内包するもの。
ベルンハードへ向かって、手をさし伸ばす。]
……………。
[内側の犬歯をなぞり、]
[既視感。見えないけれど、同じ事があったような。
人差し指を向けた先が、うろ、とベルンハードの腹部を彷徨う。]
縄。
俺の縄がないんだ。
(だめ、だよ。)
(じっけんは、だめ。)
(しんじゃう。)
(やめようよ。)
[人差し指をゆると上げながら、手首を捻る。
掌を上に向けると、]
そうだった、あの時も――――…、
俺は、こうして、
[ぐっと、拳を――――]
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