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ん?……変?
あ、そういえば、コハルちゃんは何で、私の名前、知ってるの?
[変、と言われて私が思い出すのは、そのこと。
場にそぐわない、穏やかな空気が流れる。
それもきっと、機会があれば崩れてしまう、脆いものだけど。
今はまだ、鞄の中の刃物に手を伸ばすことはない。]
うん、楽しいよ。
私、野球やってて。チームの子とかもみんな仲良いし……友達も、いるよ。
たくさんかどうかは、分かんないけど。
んー……そっか。
[それが失われるかもしれない世界だと思えば、そんな曖昧な相槌しか打てなかった。
安心したような溜息に、私は首を傾げて。]
……なんで、そんなこと聞くの?
[私の世界で、私がどう過ごしているのか、っていうのが、コハルちゃんにどう繋がるのかが分からなくて。
疑問をそのまま、問い掛ける。]
[私は、コハルちゃんの話に耳を傾ける。
それから、暫く床に視線を落とす。
言いたいことをちゃんと考えて、まとめてから、口を開く。]
……私は、コハルちゃんの世界の「クルミ」じゃないから、代わりにはなれないよ。私が幸せなことで、コハルちゃんが得る安心は、ごまかし……だと思う。
それに、……それは、本当に、助けることが「出来なかった」なのかなぁ。
その「クルミ」の気持ちに関係なく、助けることは、出来なかった?
[コハルちゃんの世界のことを、私は知らない。
だから、自分勝手に、主観で話すだけ。]
[コハルちゃんの話に自分の名前が二つ。
少し不思議な気分になりながら、私は、コハルちゃんの世界の私を思ってみる。
でも、私の外見を思い浮かべただけで、それはどうしても私になる。]
嫌い?なら、コハルちゃんは、自分の世界がなくなってもいいと、思ってる?
[嫌い、というそれは、世界を守る為の戦いの中で、やけに浮いて見えた。]
咎められても……やらないよりマシだ、って、私は思う。
でも、……コハルちゃんは、優しいんだろうなぁ。
[気持ちを思えるのは、きっと優しい証拠。
ソラさんの名前を聞いて、私は泣く代わりに、ちょっとだけ笑った。]
でも、コハルちゃんの世界を壊す、ってことは、もしかしたら、まだ生きてるかも知れない「クルミ」を、コハルちゃんが殺しちゃうのと、同じことだよ?
[はっきりと返る言葉に、強い意志は読み取れる。
それで良いのかどうかなんて、私には判断出来ないから、私はただ、浮かぶ問いを口にするだけ。]
……人殺し?
[ここに来て、コハルちゃんが誰かを殺した、なんて文章は見ていない。
だから私は、首を傾げる。]
[私は、コハルちゃんの話にじっと耳を傾ける。
少しでも多く、背負う為に。
―― 本当に守る為には手が少ない、って言った、ゼンジさんの言葉が頭を過ぎる。
そう、手が少ない。だから、……全てを、守れない。]
……お父さんを?どうして?
[親を殺す、なんて、私の世界では滅多に起こらない。
目を見開いたのが、自分でもよく分かった。]
[コハルちゃんの話す父親は、私が知っている父親とは大きく違う。
私の両親は、あまり家にはいないけど、優しくて、温かい。
友達の家も、みんなそう。
私の世界は平和なんだな、って、改めて思う。
私からは、目を逸らさない。]
んー…………そっか。
うん、やっぱりコハルちゃんは、優しいよ。
[何がどう、とは上手く言えないけど。
呟いてから私は、ちょっと考え込むように首を捻る。
口を開くまでには、少し時間がかかった。]
……あのね、コハルちゃんがここにいてはいけない、ってことは、ないと思う。
あの声も言ってたじゃん?呼ばれた人には、資格がある、って。
だから、ここに呼ばれたってことは、それだけでいて良いんだと思う。
それで、自分のしたいことの為に、戦っていいんだと、思う。
[世界の為に、とは言わない。
それは多分、コハルちゃんの望むことじゃないと思ったから。]
多分、ソラさんもそう言うよ。
「自分のしたいことやりゃいいんだよ!」って感じ、かなぁ。
[ちょっとお粗末な、ソラさんの真似をして、私は笑う。
今はまだ、もう少しだけ、穏やかに*話していたい。*]
[>>212 デンゴくんからの問いかけに、私は暫く端末に視線を落としたまま、考える。]
んー……私の世界では、仲間とか、チームは信じるものだって、教わったから。
っていうのが、多分きっかけだったけど、今はそれだけじゃなくて……。
[説明する為の言葉が上手く見つからなくて、私は首を捻る。端末をポケットに仕舞ってから、私はようやくデンゴくんに視線を向ける。
笑みを浮かべるデンゴくんに比べて、私は考えながらだから、真面目な顔のまま。]
上手く説明できない、けど……
多分、ソラさんとカノウくんが、私を信頼してくれたからだと思う。
信頼して、大事にしてくれたから、私も同じだけ大事にして、信頼出来るんだと思う。
んー………分かんない。
というか、……信じられる、って思わなきゃ、手を組もう、なんて言わなかったと思う。
[>>245上手く説明するのは、難しい。
デンゴくんの表情が変わっていくのを、私はじっと見る。
そこに何が見えようと、目を逸らすつもりは、なくて。]
くれるから、とか、そういうのは考えたことないよ。
何処かで、考えてるのかも知れないけど。
自分から渡してるかどうかなんて、意識することじゃ、ないと思うし……自分から渡してます、なんていうつもりもないよ。
だから……もしかしたら、貰ってばっかりなのかもしれないね。
[目頭が少しだけ熱くなるけど、何度か瞬きをして、耐えて。
私は笑う。上手く笑えた気はしないけど、それでも笑う。]
[>>264 デンゴくんのカボチャさんが鳴るのと同じタイミングで、私の端末がポケットの中で光った。
それを取り出し、画面を見ると、ゼンジさんの行動が更新されている。
『4番さんが、傷ついてる2番さんと5番さんを3階で見たよ。』
『4番さんは、1番さんの名前を呼んでた。』
それが示すことは、考えなくても分かった。
私は、眉を寄せる。デンゴくんの小さな呟きには、気付かない。]
……上で、何か起こってる。
行かなきゃ。
[コハルちゃんとデンゴくんに、どうするかを聞くことはない。
私はベンチから立ち上がり、階段へと向かって走る。
太腿に幾つもついた傷が痛んでも躊躇うことなく、階段を駆け上がって。
客足の引いた店内で、4人の姿を探す。]
[3階を忙しなく駆けて、4人の姿を見つけた時、>>272ゼンジさんがカノウくんに銃口を向けていた。
私は、何も言わずに、ゼンジさんの銃口から庇うようにカノウくんの前に立つ。
カノウくんが銃をつきつけている方へと視線を流せたのは、ゼンジさんが容易く銃を撃つことはないと思えたから。
気を失っている5番さんの下に広がる赤色は、彼の命が尽きていく証拠。
それから目を逸らさずにじっと見めていたけれど、>>278 2番さんの声がして、私は再び、そっちを向く。
ゼンジさんは、何も言わない。
私は、ゼンジさんの後ろにいる2番さんの、白い顔を見る。]
……もっと早くに会えてたら良かったんだけど……呑気に話をする、っていう状況じゃ、ないね。
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