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しかし喜べる気もしないな…。
[神の力を与えられるとはいえ、要は他から狙われるのだろう。
そうルールを解せば、ため息も落ちる。
”仲間”を簡単に喜べる気分にはなれなかった。
声の調子まで伝わるのかは知らないが。]
[どうしようか、なんて思ってる内に、目の前のエレベーターがチン、って音と一緒に開いた。]
あれっ。
[中に2番の子がいるのが見えたけど、彼女は戦える子みたいだし、いきなり襲いかかられたりしないかなぁ、なんて思ってる内に扉が閉まっちゃった。
ほっとしたような、残念なような。
多分、私には仲間が必要。出来れば、戦えるひと。
神になるのが1人以上、ってことは、多くても構わない、ってことだ。
それと、武器。私が得意なことに見合った武器。……出来れば、人を殺せたりするやつじゃなくて、逃げる時間が稼げるようなやつ。
迷った末に結局私は、2番が降りて行ったのと反対のエレベーターの、上矢印のボタンを押す。]
[それは、まだグリタと会う前だっただろう。]
カノウさんですね。
実は、私のこの、日記というんですか?
これに貴方の声が映ります。
そして、この日記はどうやら己を神と名乗っているようです。
神の日記。
ふと、思ったのですが、貴方のも左様で?
殺し合えって相手に、宜しくも変な話だが
[口髭を揺らし、く、と喉の奥で笑う。]
俺の世界じゃ、機械化が随分と進んでいてな。
店員が人なのは、どうも慣れないとこだ。
こういった場所もあるにはあるが
酷似かって言われると、そうでもない。
[それから、凶器、と口にするゼンジの顔を見、
それに対して自分の獲物の情報は伝えないまま]
…、
[真っ直ぐに突きを食らったような鋭い言葉。]
好きだよ。
くそ汚い世界だが、大事な事も沢山くれた。
大切な奴を、置いてきちまったんだ。
そいつの為にも、俺は 負ける気はないぜ。
[その時、再び右手首の端末が振動した。
ちらりと見遣った日記の告げる内容に目を見開く。]
”向こうから11thがやって来た”
[がさがさと鳴るビニール袋を手に、
視線を鋭くして辺りを見渡す。
見れば向こうからも、容易に姿は捉えられよう。
視界の端に、エレベーターが平和な客を乗せて動いていた。]
喜べないと。
ええ、なんとなくわかります。
この神の日記はどうやら、
ハズレくじかもしれませんね。
[声はどのようにカノウに伝わるのだろう。
いずれにしろ、それは単調に。]
ですが、
それもまた、なりゆき。
起きてしまったこと、振り返っても仕方ありません。
[勝負師の男は、そのとき、確かに笑んだけど、
きっと見えることはない。**]
[手帳に、手にいれた物を記入しようとしたらすでに記されていた。
ふと3rdの行動が増えている]
5階かあ。
[上を見上げた。
どうしようか悩みつつ、うろうろとして。
時折手帳を開いている]
そうか。
俺の日記には、あなたのメッセージが映されている。
話してくれれば通話出来るとは思うけど……。
[些か自信なげに端末を見て、緩く首を振る。]
ああ。そのようだ。
神の力を少し与える──…とか。
別に頼んでもいないのにな。
[再び右手首の日記が振動を伝えたけれど、
それへと視線を落とす余裕はなかった。
だから、3rdがエスカレーターから来たのに気づくのは少し遅れた。
フードコートの前に歩み出た。
明るい照明が廊下を綺麗に照らしている。
隠れるよりは、ひとまず動ける場所の方が良いとの判断だ。
11thが気付かなければ、そのままやり過ごせもするかも知れない。
手元のビニール袋から、美味しそうな匂いが漂っている。
それを左手首に引っ掛けたまま、
ポケットに突っ込んだ右手で錐を握った。]
悪くない。
できたらあんたの好きな世界の事も
もう少し聞いてみたいとこだ。
[こうして面と向かって協定を結ぶのは初めてで
差し出された右手へ視線を落とし、
その手を包むように両手で握り返す。
ルールは勝手に聞かされたから理解はしている。
故に、勝者が複数存在するなら結託するが利口。
それを理由を求めて行動する彼をやはり評価し、]
あんたが敵じゃなくて良かったよ、ゼンジ。
[右手を強く握った後、両手を離した。]
…前向きな人だな。
[文字であればメッセージとして映されるが、
声であれば音は耳朶へと直接響く。
どちらにせよ淡々として揺れぬ様子は、
その言葉選びからも伝わったが]
なりゆきか。
このゲーム自体成り行きみたいなものだしな。
ともあれ俺は、
死ぬのも自分の世界が壊されるのも遠慮したい。
…正面からで難しいなら、使えるものは使わせて貰うさ。
[これは戦い慣れていない自分へのハンデだろうか。
思考は殺人ゲームへと向けられて、
己の落とした言葉に、4thとは対照的に顔を顰めた。]
[ソラの紅い髪は良く目立つ。
更に長杖は肩のあたりに紅い石を湛えて
彼女の目立つ様を助長していた。
視線はキョロキョロと動かして辺りを見るが
その光は未だそれほど鋭くは、無い。]
で、あんたは何が得意なんだ?
服装からみて、弓道か合気道か。
[色合いが違うのが気になったけれど、
道着の一種だと思い込んでいる。]
…あぁ、それから
11thが包丁を手に入れた。
情報共有も協力のひとつだろ。
[視線を向け、そちらは、と*促した。*]
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