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[スイは台所で手際よく米を研ぎ、菜を刻む。
──しばらくの後。
ちゃぶ台の上に大根の味噌汁、大根の青葉と胡麻を混ぜ込んだ色鮮やかな大根飯、きんぴらごぼう、ネギと茗荷と青葉の冷や奴、かぼちゃの煮付けが並んだ]
にゃああん!
[スイの足元でギンの抗議の声が響き、ミナツの買ってきた猫缶を一つ皿に空けた]
えっ!?
えっとあの……おいら、当番じゃないかもしれないけど、晩御飯作っちゃいました。
ごめんなさい。
[ひょろっとした体を縮込ませてスイは謝った]
え! あ。えーと。
あの、おいら……変かな?
[スイは困ったように笑うけれども、ご飯を褒められればふわりと笑う]
うん。頑張って作ったんだ。
あ、う、うん。
美味しい……?
[スグルに促されれば、おとなしくぱくりとご飯をつつき始める]
おおきく、なれるかなおいら。
スグルにいさんみたく……。
よ、嫁って!
おいら、アンねえちゃんとか、ちかとはちがうんだよ!
男だから、嫁には行かないよ!
[スイは真っ赤になって否定する。
けれどもきんぴらが美味しいといわれれば嬉しそうでもあり、表情は複雑だ]
とーさんの「役目」?
かーさんと一緒に居たいから、じゃダメなの?
一緒に居たいから、家族なんだよね? とーさんは役目だからなの?
あの……おいら、今日、パオリンならあっちに行っても幸せになれると思う。とーさんが別な人がいいなら反対しない。
え!? あ。う。
おいら、アンより上手、なのかな?
いいお婿になれるのかな。
捨てられないってことは、ずっと一緒なのかな。
[スグルの言葉に照れくさそうにスイは微笑んだけれど、下着姿のミナツに真っ赤になる]
ミ、ミナツちゃん!
その格好は……どどどどどどどうかと思う!
パパパパパンツ見せるのよくないよ!
[真っ赤になって周囲を見回して、何も無いことに気がつくと、自分の白いシャツを脱いでミナツに手渡す]
せめてこれくらい着てよ!
[いろんな意味で一生懸命]
お、おじいちゃん!
年上キラーって何!?
おいら、そんなのじゃないよ!
[スイは真っ赤になってベックに向かって否定する。
ミナツがシャツを着てくれてほっとしてもごもごとよかったとか呟いていた]
虚ろ……うん。
おいらも、胸のここが、ぽっかり空いているみたいで、少し不安だよ。
でも、素直に、単純に思うと……ここにいると幸せだし、みんなに幸せになって欲しいなって思うんだ。
難しいことって、おいら、頭悪いからよく分からないんだよ。
>>117
ええと、ね……ちか。
みんな、ずっと一緒だよ。ずっと家族だよ。
おいら、家族みんなが幸せなことをずっと願ってるよ。
[たどたどしいながらも、スイは精一杯のやさしい笑顔で告げた]
-スイ-
>>132
え……。
えええええええっ!?
[一瞬黙り込んだ後、ものすごい悲鳴を上げる]
お、おいらヒモなの!?
ヒモしか人生生きる道ないの?
平凡に奥さんをもらって子供ができて、家族みんなで一家団欒とか……。
[微妙に涙目]
>>136
お、おいらでよかったら幾らでも教えるよ。
おいらも、ちかの料理食べたいな。
[スイは思わず殴った手をびっくりしたように見つめた]
スグル兄さんって、強いんだ。
[ぽつりと呟いた]
うん……。
どっちがいい方法なのかとか、おいら、わからないんだ。
ずーっと間違って生きてきたから。
今は、間違ってたのかすら、わからないんだけれど。
でも、いま、手に紙幣があって……それでみんなが幸せになるなら、送りたいんだ。
次の世で幸せになれなかったら、またここに戻ってくればいい。
おいら、ずっと、ここで、みんなを待ってる。みんなが幸せになるまで、ずっと。
[笑った]
ああああああ、愛?
愛……。
[赤くなって居間にいるみんなをぐるりと見回し、照れくさそうに笑う]
愛、だよね。
……で、でででも、ヒモじゃなくてもいい?
おいら、ヒモとかできる自信ないよ?
[困ったように続けた]
>>154
うん。おいらの知ってるごはん教えるよ。
ちかが旦那さんにいろんなご飯作ってあげれられるように、一生懸命教える。
ちかなら、きっと幸せな花嫁になるとおもう。
[小さな声で照れくさそうに続けた]
かーさんみたいに。
>>162
すごくなくても、いいの?
おいらでも……できるのかな。じいちゃんみたいに、娘とか、孫とか、みんなたくさんで幸せに暮らせたりするのかな。
[不思議そうな顔でスイは呟いた]
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