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[>>212 デンゴくんからの問いかけに、私は暫く端末に視線を落としたまま、考える。]
んー……私の世界では、仲間とか、チームは信じるものだって、教わったから。
っていうのが、多分きっかけだったけど、今はそれだけじゃなくて……。
[説明する為の言葉が上手く見つからなくて、私は首を捻る。端末をポケットに仕舞ってから、私はようやくデンゴくんに視線を向ける。
笑みを浮かべるデンゴくんに比べて、私は考えながらだから、真面目な顔のまま。]
上手く説明できない、けど……
多分、ソラさんとカノウくんが、私を信頼してくれたからだと思う。
信頼して、大事にしてくれたから、私も同じだけ大事にして、信頼出来るんだと思う。
んー………分かんない。
というか、……信じられる、って思わなきゃ、手を組もう、なんて言わなかったと思う。
[>>245上手く説明するのは、難しい。
デンゴくんの表情が変わっていくのを、私はじっと見る。
そこに何が見えようと、目を逸らすつもりは、なくて。]
くれるから、とか、そういうのは考えたことないよ。
何処かで、考えてるのかも知れないけど。
自分から渡してるかどうかなんて、意識することじゃ、ないと思うし……自分から渡してます、なんていうつもりもないよ。
だから……もしかしたら、貰ってばっかりなのかもしれないね。
[目頭が少しだけ熱くなるけど、何度か瞬きをして、耐えて。
私は笑う。上手く笑えた気はしないけど、それでも笑う。]
[>>264 デンゴくんのカボチャさんが鳴るのと同じタイミングで、私の端末がポケットの中で光った。
それを取り出し、画面を見ると、ゼンジさんの行動が更新されている。
『4番さんが、傷ついてる2番さんと5番さんを3階で見たよ。』
『4番さんは、1番さんの名前を呼んでた。』
それが示すことは、考えなくても分かった。
私は、眉を寄せる。デンゴくんの小さな呟きには、気付かない。]
……上で、何か起こってる。
行かなきゃ。
[コハルちゃんとデンゴくんに、どうするかを聞くことはない。
私はベンチから立ち上がり、階段へと向かって走る。
太腿に幾つもついた傷が痛んでも躊躇うことなく、階段を駆け上がって。
客足の引いた店内で、4人の姿を探す。]
[3階を忙しなく駆けて、4人の姿を見つけた時、>>272ゼンジさんがカノウくんに銃口を向けていた。
私は、何も言わずに、ゼンジさんの銃口から庇うようにカノウくんの前に立つ。
カノウくんが銃をつきつけている方へと視線を流せたのは、ゼンジさんが容易く銃を撃つことはないと思えたから。
気を失っている5番さんの下に広がる赤色は、彼の命が尽きていく証拠。
それから目を逸らさずにじっと見めていたけれど、>>278 2番さんの声がして、私は再び、そっちを向く。
ゼンジさんは、何も言わない。
私は、ゼンジさんの後ろにいる2番さんの、白い顔を見る。]
……もっと早くに会えてたら良かったんだけど……呑気に話をする、っていう状況じゃ、ないね。
[銃の行き先を気にすることは無い、けれど。
>>309 視線の先、カノウくんの身体が痛みに折れるのを見て、私は咄嗟に鞄から、裁ち鋏を取り出して……止まった。
8番さんにそれを投げつけようにも、カノウくんの身体が彼を庇うかのように、私と8番さんの間に挟まるから。]
――――……カノウくん。
[8番さんがその銃口を私に向ける気なのは、何となく分かっていた。
それをカノウくんが庇ってくれていることも。
だからこそ、私は名前を呼ぶしかできない。何もしないで、甘えているだけだ。
銃口の行く先も見ないまま、私は>>322 コハルちゃんの声に視線をそっちに向ける。]
コハルちゃんも、そんなこと言わないで。
ゼンジさんもカノウくんも、私が守りたいひとなんだ。
だから、……殺して欲しいなら、私がする。
みんな、殺したくて殺すんじゃないんだよ。
そうしなきゃいけないから、そうするだけ。
だから、……殺してなんて、頼んじゃいけないと思う。
でも、それがコハルちゃんの戦いなら、私が、引き受ける。
……だから、ちょっと待ってて。
[>>325 コハルちゃんへの言葉を全て口にしてから、私は8番さんの方を向く。
>>329 カノウくんの動きで、私を庇ってくれているのは分かった。
それだけの価値が、私の命にあるのかが分からなくて、私は眉を寄せる。]
8番さんも、銃を下ろして。
8番さんが殺したいのは、私、だよね?
だったら、カノウくんと向き合う必要はないよ。
[それが、カノウくんの意志が招いた未来なのか、コハルちゃんの決意が招いた未来なのかは、分からない。
ただ一つ言えるのは、どれも私が引き寄せたものではない、ということだけ。
私は渦中にいて、一番の傍観者、だった。
>>364 再度放たれた銃弾は、>>365 掛けられた声に屈む刹那、私の右肩を撃ち抜いた。
その衝撃に、眉を寄せたのは一瞬。
血が滲みだしても、撃ち抜かれた箇所が痛みを訴えても、私はコハルちゃんに笑いかけた。]
……大丈夫。……大丈夫、だよ。
[銃弾が急所を撃ち抜いたのは、見て取れた。
だからこそ、笑う。悲しい顔を、させないためだけに。]
[>>383 コハルちゃんの口角が動く。
微かに、でも確かに口許は笑みの形に刻まれて、コハルちゃんの目が閉じた。
私は、手を握ったまま少しだけ俯く。
傍から見れば黙祷に見えただろうそれは、必死に唇を噛んで、涙を堪える為の動作だった。
守りたい人を守る為に、殺すことも厭わないと思った人が、死んだ。死んでしまった。
そのことを嘆く資格は、きっと私には無い。
8番さんの言う通り、正論なら幾らでも言える。
綺麗事を口にするだけなら、それはとても容易い。]
――――……ごめんね。
私、多分、約束……守れない。
[それだけを告げて。
私はそっと、手を離す。]
[生き延びて、したいことはきっと、コハルちゃんとの約束を裏切るものだ。
それでも、私は、したいことを曲げるつもりはない。
誰かに咎められても。詰られても。]
――――……私は、優しくないよ。
[ぽつり、呟いた。]
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