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―――― 賑やかですね。
[ビセの物らしき悲鳴が上がり初老の男が走り去ると
厨房で作業をする青年がポルテへそう声をかける。
己も駆けつけたものかと迷う素振りはするも、
糀まみれの両手を持て余して結局場に残る様子。]
皆さん、気さくな方ばかりです。
ええと…貴女以外は?
[遠慮がちに笑みかけて、炊いたもち米と糀を混ぜ]
[湯で温めた保温器具に糀と米を入れ、蓋をする。
控え目に親指を舐め発酵前の味を確かめてから
気さくでもないと言うポルテに頷き、手を洗う。]
普段からなのでしたら、安心します。
僕は――
大騒ぎには大概乗り遅れてしまうタイプなので。
利き酒会は明晩と伺ってます…でも湯は沸いてますし
ご所望でしたらすぐに燗をおつけしますよ。
[行李から取り出すのは、清酒の五合瓶が8本。]
うん。お仕事のかおり。
少しだけにしてるのはえらいぞ、プレーチェ。
[甘酒の仕込みが終わったあとは、妹へも視線を。
プレーチェが抱えるぬいぐるみに両目を細めて]
ひつじくんは、まだ大事にしてくれてるんだな。
あれ、きょうだいが出来たか…?
[カプセルの中から顔を覗かせたひつじの玩具に
思わずふくりとたのしそうに笑みを燻らせた。]
…やだな。少々なら警戒されるのも
スリルのうちとか思ってるくせに。
[互いに顰める声は、極小の通信機を介し。
温厚な青年の声は印象を変えず笑みを含む。]
あのひと、刑事かもしれない――とは言ったけど
いきなり探り入れてるからびっくりしたよ。
[あのひと――とはポルテを見遣って]
[戻り来たピエトロとしばらく厨房を使って、
やがて卓ではささやかな酒席が設けられる。
取って置きの大吟醸は明晩に、と添えて
青年は甘口を燗で、辛口を冷やで饗する。
騒ぎに乗り遅れる性質、と自ら評した儘に
談笑の場では控え目に在って――不安がる
アンを宥めたり、辿々しい日本語を操る妹を
微笑ましげに眺めたりと時を過ごす様子。]
……。爺や。
[コトン。通信機を、ごく軽く叩く音。]
刑事には、そうだね…気をつけよう。
爺や流のサプライズも、覚えておくよ。
[青年が慎重に、言葉を選ぶときの癖。]
けど…
ここに、呼ばれてしまったんだから
プレーチェは もう 死ぬ子だよ。
[コトン…]
――帰さない。
[コトン…]
嵐のなか、泥まみれで
のた打ち回って死ぬのはかわいそうだ。
それにしても。
ひつじ… ひつじね。
[いもうとの抱くぬいぐるみと、
カプセルから現れたひつじと――
何かを重ね、青年が漏らす声は]
いけにえのひつじ… ふふ、*傑作だなあ*。
[夜も更けてくると、やがて場も散会となりだすか]
…うーん…
妹のこともあって、気楽に考えてましたけど。
そう言われてみればアンさんがさっき仰ったように
まだお着きでない方…も心配、ですね。
[未だ現れぬ招待主。朝になれば知らせもあるかなと
面々と話し合いつつ覗かせる不安はまだ*僅か*]
[青年は温泉風サラダをつつき、人参を口へ運ぶ。
おいしいです、と温厚そうな笑みをピエトロへ向け]
瑞原さんも、おかえりなさい。
ハリセン軍曹さんのご戦果は如何に?
[饒舌なフリーターの男が戻り来ると、まだ温かい
徳利を差し出して迎える。――ふと一同を見回し]
そう言えば、レンさんや金髪の貴女は、ご招待主に
何か持ってくるように言われてたりしないんですか?
[返答があれば、首元へ指を添え耳を傾ける*。]
――うん。
[赤くないドレッシングのかかった卯の花を、
零さないよう口元へ運び――一度止めて呟く。]
白い、…蜘蛛 だったら困るなあと思って。
レアアイテムなんてあるんだ。…狼だといいね?
お守り代わりに、もうしばらく持っておくよ。
ああそっか、電話線…まだ切ってないんだね。
プレーチェに、せめて父さんと母さんの声でも
聞かせてやりたいけど…さすがに後がまずいや。
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