…なんやろねぇ?
同性同士の恋愛行為は風紀に反するからとかやろか?
[彼らが火星探索調査隊として宇宙へ送り出される事になったと知るのは、多分もう少し先のお話。]
[赤い染みのついた名簿。
そのタイトルには改ざんされた形跡。
訂正される前のそれは、第2期調査隊員候補生名簿。
職員室から何者かが持ち出したものだったりとかしたりするかもね。]
いこいこ♪
まだこのガッコ、見てないとこ多いんや。
[菊ちゃんと連れ立ってテクテク廊下を。]
…なぁ、菊ちゃん。
菊ちゃんは、なしてこのガッコに転校してきたん?
[並んで歩きながら他愛のない話。]
そかそかー。
越してきてガッコあったから来たんかー。
ウチと逆やなー。
[ふと、空を向いて憬れるような視線。]
ウチなぁ、夢ぇあってん。
その為に無理やり引っ越してこのガッコ来たんよ。
地球って、もう狭いやろ?
あちこち場所とりあって、喰いモンも燃料もとりあって。
せやからなぁ、空の向こうに…
[窓の向こう、飛行機雲。]
火星ィあるやろ?
あそこ、な?
頑張れば人住めるようになるかもしれへんねん。
赤い赤い大地を、緑の若葉で一杯にしてな?
ウチの故郷はもう狭くてどーしよーもあらへんから…
けどな?
そこ独り占めにしようとしてる奴らがおるんや。
なんや【JINRO】とか云うたかな?
そいつらが火星ィ独り占めんしてナ?
ウチの故郷の調査隊も、何回も行ってんけど…そのたんび機材ぬっ壊されておじゃんや。
…せやから。
[人差し指の先、とまるてんとう虫。]
南パライソや。
太平洋の海のど真ん中。
宇宙船飛ばすにゃ最適な国やで。
[秘密やで、と口元に人差し指を立てる仕草。]
…ま、観光と宇宙船基地しかあらへんのやけど。
だからナ、そゆのんは死活問題やねん。
なんとかして火星分けてもらわなあかん。
…調査隊、また行くらしいしナ。
…なによ、紅葉ちゃん?
だいじょーぶ、悪いようにはしないよー。
うまい事口説いて協力させたいからね、うん。
ま、半分くらいはホント…なんだけど。
だったらえぇのになー。
[一緒に空を仰いで。]
もし、うちらでいけるんやったら、一緒いってくれる?
菊ちゃんみたいな素直で可愛ぇ子と…一緒に夢ぇ追えたらえぇなぁ思うねん。
さ、こっちやで〜♪
[すたすたと菊ちゃん連れて手馴れた様子で廊下を突き進む。]
『根回しももう終わってるし、あとは…
うん、それだけだよね?紅葉ちゃん。』
[骨伝導の通信機で、外部でバックアップ体制を敷いてる相方と連絡を取りつつ、例の場所へと誘導。]
『ちがうよー?協力してもらうだけだもん。
…騙してるうちに…はいるのかな?これって。』